堤防が決壊した三坂町を現地調査
 9月11日午後、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会(高崎進県議、田村けい子県議、八島功男県議)は、公明党の石井啓一政調会長(衆議院議員)とともに、鬼怒川の堤防が決壊し大きな水害被害を受けた常総市内を視察しました。これには、地元の遠藤正信常総市議も同行しました。
 一行は、常総市三坂町を現地調査。濁流によって倒壊した家屋や分断された道路などを目の当たりにしました。
 国交省は平成26年10月に鬼怒川の河川調査を行い、三坂地区を「10年に1回レベル」への備えが必要な区域と指定。高さをかさ上げして幅を広げる工事を7年以内に行う計画を策定しました。たという。
 決壊の原因はさまざまなことが考えられますが、堤防を越えあふれた川の水で堤防が削られる「越水破堤」が起こった可能性が高いと専門家は分析しています。産経新聞の報道によると、名古屋大学大学院の戸田祐嗣教授(河川工学)は「堤防の構造や土砂の質などの要因があるので一概に言えないが、非常に大きな雨量によって、あふれた川の水で堤防が崩れることもある」と説明しています。
 井手県議らが現地調査した決壊箇所は、ねばり気の少ない砂状の土質で堤防が出来ており、素人目にも堤防には向かないと感じられました。
三坂町の決壊現場(撮影:国際航業株式会社・株式会社パスコ)
常総市の避難体制に大きな課題
 決壊箇所の調査の後、一行は約500メートルに当たって三坂町内を徒歩で移動しながら、周辺住民に決壊時の模様を聴き取り調査しました。
 聴き取り調査では、避難命令や避難指示を伝える防災行政無線が雨音や風の音でほとんど聞こえなかったという声が多くありました。
 また、避難指示それ自体が出ていなったのではないかという指摘もありました。(今回の豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊する前の午前10時半に、三坂町にある8つある自治区のうち、2つの自治区に対して避難指示が出されていました。しかし、残りの6つの自治区については決壊のおよそ20分後の午後1時8分まで避難指示は出されませんでした)
 さらに、常総市の避難指示は鬼怒川を渡り、市の西側の避難所に避難するようとありました。すでに増水した川を越えての移動は困難であり、危険だと感じたという指摘です。こう語った方は、橋が渋帯のため度れなかったこともあり、東側(つくば市、つくばみらい市側)に避難したということです。
 こうした聞き取りから、今回の常総市の洪水時の避難体制には大きな欠陥があったことがうかがえます。
 防災情報の伝達方法、避難指示の出し方、そもそも一つの行政界の内側だけの避難計画で良いのかということも含めて、慎重な検証が必要であると実感しました。

避難住民から要望聴取
石下西中学校 その後、一日は常総市立石下西中学校、石下総合体育館を訪れ、避難している方々から様々なご要望を伺いました。
 避難住民からは、「携帯電話、スマートフォンの充電器がなく、家族と連絡がとれない」「後片づけと暑さで体がベトベト。できれはお風呂に入りたい」「お年寄りが床にそのまま寝るのはかわいそうだ」などの声が寄せられました。
 井手県議らは、県および市の災害対策本部と連係して、こうした要望に対応しました。

  • 石下西中学校には9月12日までに、携帯電話の多機種対応の充実器が設置されました。
  • 9月15日現在で、一日帰温県施設やスーパー銭湯などで被災者にお風呂を無料開放しています。また、自衛隊が仮設銭湯を開設しました。常総市では、温泉施設をめぐる循環バスを運行開始しました。
  • 9月14日、栃木県議会議員山口恒夫議員の紹介により、防災用エアマット20セットが常総市に届けられました。高齢者や障害者にもやさしいマットです。さっそく、常総市内の避難所などに配布される予定です。