9月10日、井手よしひろ県議は茨城県議会公明党を代表して、橋本昌知事に「動物愛護行政の推進」について質問しました。この質問のポイントは、動物愛護の拠点施設の整備と県内市町村の動物愛護条例・動物愛護の体制整備の2点です。
 この質問の背景となった先進的な市町村の取組が、2015年10月号「公明月報」に掲載されました。守谷市議会議員・川名敏子さんのリポートを転載させていただきます。
公明月報議員レポート

動物愛護条例の施行に奮闘、殺処分ゼロをめざす
茨城県守谷市議・川名敏子
殺処分件数で全国ワースト1
 茨城県は、2013年9月1日施行の改正動物愛護管理法を契機に、動物愛護の取り組みを加速している。背景の一つには、本県の犬の殺処分件数が過去8年連続で全国ワースト1を記録したことがあり、取り組みがあまり進んでいない事実があった。この実態を受け、現在、茨城県の全公明議員も一丸となって、動物愛護に関するさまざまな政策を進めている。
 そして、守谷市でも今年4月1日から「守谷市動物の愛護及び管理に関する条例」を施行することができた。動物愛護団体を中心に私を含む市議、獣医師、ボランティアなど12名で13年10月に市に動物愛護協議会を発足させてから、約2年を費やして作り上げた条例だ。
 動物愛護団体の代表者は、市に保護された犬が、飼い主を探している間に県の施設に送られた苦い経験があり、これ以上動物の命を粗末にしないために行政の取り組み拡充をさまざまな機会を通じて訴えていた。私も野良猫保護の市民相談を受ける機会が数年前から増え、対策を急がねばならないと考えていた。その後、市の環境課を通じてこの愛護団体と知り合った私は同協議会を立ち上げることになり、殺処分ゼロを実現するための啓発活動と条例の策定を目標に掲げた。
 同協議会では、先進事例に学ぼうと横浜市の動物保護センターを視察した。殺処分施設がない同センターでは、ボランティアの協力を得て散歩などの世話を行うだけでなく、獣医の職員が猫の不妊去勢手術を実施している。動物愛護施策に市民・行政がどう連携するべきかという点で参考になった。
 私個人としても条例制定に向け、議会で動物愛護意識の普及啓発を教育現場も含めて取り組むよう訴えた。これは、動物愛護の意義や犬の飼い方などを明記した守谷市版「ワンワンBOOK」の発刊(狂犬病の予防注射時に配布)となって実現した。

犬と猫の飼い主の責務を明確化
 私が動物愛護条例の施行で重視した点が二つある。一つは、繁殖力の強い猫は基本的に室内で飼うように求め、やむを得ず、屋外で行動できる飼育方法の場合は飼い主に不妊・去勢手術を講ずるよう求めた点だ。ペットとして最も飼われている犬と猫の飼い主の責務を明確にしたのだ。
 もう一つは、市の一時預かり期間を、県条例が定める4日間から7日間へと施行規則で延長したことだ。さらに「市はこの7日間で元の飼い主を捜すか、新たな飼い主を見つけるための施策を講じたり、動物愛護団体に譲り渡すことができる」としたことで、殺処分をより効果的に食い止められる体制を整えた。動物愛護の条例や施行規則は県でも定められており、当初は「同じような条例を市で制定する必要があるのか」といった批判も一部にあった。だが、私にはこうした野良犬や猫などが生まれる現場は市町村であり、実際の現場が動かなければ問題は解決しないという思いが強くあった。
 本市で保護した犬猫は13年度で54匹、14年度は29匹だったが、同協議会の発足以来、県の施設に送ったのは年1匹程度で本年4月の条例制定以降は、毎月ゼロを更新している。この背景には、和間さんなどのボランティアが野良犬猫を引き取ったり、市に持ち込まず譲渡会に出したりするといった市民の涙ぐましい協力があることも見逃せない。
 現在、行政と共に里親希望者の登録事業に取り組んでいる。しかし新たに保護した犬猫への譲渡前のノミ・ダニ駆除やワクチン接種、不妊去勢措置などは検討中だ。こうした取り組みに、今後、国や県からの支援が得られれば、現場の対策もより進むのではないだろうか。
 動物愛護条例へのパブリック・コメントを終え、今年3月議会において全会一致で承認された時は、本当に安堵した。だが、条例の施行はきっかけであり、動物愛護の取り組みをより充実することが今後の課題である。これからも井手義弘県代表(県議)とも連携して動物愛護の取り組みを進めたい。