常総市で石井政調会長、鬼怒川仮堤防など視察
公明新聞(2015/9/28付け) 9月27日、公明党の石井啓一政務調査会長は、関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、甚大な被害に見舞われた茨城県常総市を訪れ、24日に完成した鬼怒川の仮堤防を視察するとともに、被災住民から話を聞き、生活再建への課題を探りました。中島亨一、遠藤正信の両常総市議が同行しました。
 仮堤防は高さ4メートル、全長約200メートルで、河川敷には「鋼矢板」と呼ばれる鉄板を全長約250メートルにわたって打ち込み、河川からの水の流入を二重に食い止める構造です。これを受け常総市では、25日に避難指示・勧告を全て解除しました。
 この日、一行は仮堤防とその周辺の復旧状況を調査した後、家屋の清掃や家財の整理などを進める被災住民宅を訪問しました。入江育子さん(60)は「生活はある程度戻ってきた」としつつも、「床上浸水でエアコンも洗濯機も全部だめになった」と窮状を訴えました。また、横倉文雄さん(71)は「24時間、扇風機などを使っても床下が乾かない」として、原状回復への支援を求めました。
 一行は災害によって出たゴミが不法投棄されている現場も見て回りました。
 終了後、石井政調会長は「本格的な復旧に向け、財政支援などに全力を挙げる」と述べました。

営農再開万全期す/佐藤政務官が被害調査
 同じく27日、佐藤英道農林水産大臣政務官(公明党)が、茨城県常総市を訪れ、深刻な農業被害の状況を調査しました。
 このうち、浸水被害を受けたJA常総ひかりの関連施設では、低温倉庫内に保管していた玄米が腐敗した様子や、通電ができなくなったコメの乾燥・調製施設「カントリーエレベーター」内を視察しました。また、常総市の高杉徹市長やJA茨城県中央会の加倉井豊邦会長らと懇談し、被災農家の支援として農業共済制度の補償対象外となる収穫後のコメへの救済措置などを求める要望を受けました。
 続いて被災した稲作農家の切実な声を聴取。和田勇さんは水没した水田約60ヘクタールのうち35ヘクタールが稲の刈り取り前だったとし、「資金繰りや生活の補償をしてほしい」と訴えました。
 佐藤政務官は「被災農家が一日も早く営農を再開できるよう生産者の側に立った支援策を進めていく」と述べました。
収穫後の米の被害に、公的補償を!
 台風18号に伴う大規模水害の影響で、収穫後に浸水被害を受けた米の被害が深刻です。収穫後の米は、農業共済制度の補償対象外となり、所得補償が全く行われないためです。
 農業災害補償法(農災法)では、補償される水稲は田植え(じかまきの場合は発芽期)から収穫までと定められています。収穫場所や保管期間の特定が難しいことも補償の大きな壁となっています。今回の洪水被害は、米の収穫期と重なったため被害が特に大きく、県は「特別な救済措置が必要」とし、国に支援を働き掛けていく方針です。
 収穫後に保管していた米(玄米)の大半が浸水被害を受けた常総市沖新田町のJA常総ひかり低温倉庫では、水にぬれて発酵し、独特の臭いが漂う施設からは、浸水した米を1トン程度の容量があるフレキシブルコンテナバッグに詰め込んで屋外へ搬出し、施設内の洗浄や消毒作業を行っています。
 JA常総ひかりでは、30キロ入りの袋で換算すると4万〜4万5千袋分になるとみられます。常総ひかりの小島博営農部長は「荷受けして保管してあった分以外にも、農家が収穫して軒先で各自保管していた米もかなりあると思う。収穫後の米についても何らかの支援が受けられればありがたい」と話しています。
 茨城県が算出した大雨による農作物被害は計278市町で、約32億2569万円。このうち、水稲被害は全体の8割超を占めています。被害額は21市町で26億9691万円(被害面積3652ヘクタール)に上るとの推計が出ています。この中に収穫後の米は被害に含まれていません。
 自然災害で、農作物や畜産物に損害が発生した場合に被害の一定割合を補償することを定めた農災法では、収穫前までの米が補償対象。倉庫や軒先などで保管していた米は共済金の支払い対象外になっています。9月24日の参院災害対策特別委員会の中では、収穫後の米の救済措置について、補償の対象とすることは極めて難しいとの見方が示されています。
 県議会公明党はあらゆるチャンネルを通して、補償実現を求めてまいります。