
台風18号による関東・東北豪雨から2カ月が過ぎた鬼怒川の堤防決壊で、被災した茨城県常総市では、家屋の被害認定に対する住民の2次調査申請が相次いでいます。
浸水が床上1メートルに達したと認められなければ支援制度の対象から外れるためです。
茨城県では、『半壊世帯へ25万円を支給する』まど、独自の救済策を決定しましたが、自治体の独自施策には限界があります。
11月10日現在、市内で「全壊」と認定された家屋は50棟、「大規模半壊」が914棟、「半壊」が2773棟となっています。
水害の場合、家屋流失や1階天井までの浸水は「全壊」、床上1メートル以上の浸水が「大規模半壊」と認定されます。被災者生活再建支援法で最大300万円の支援金を支給する対象は「全壊」、「大規模半壊」に限られます。「1メートル」に満たない世帯(半壊世帯)は対象にならなりません。
洪水災害の場合、「半壊」被災世帯への支援を見直し、充実させる必要があります。
床上浸水による被害は、床上1メートルの基準では決める事はできない
「半壊」、「大規模半壊」を分ける基準は、床上1m以上か未満かで決められています。
この1メートル基準が、住宅事情の変化で余り意味がなくなってきています。最近の住宅は高気密構造となってきました。床上浸水が数十センチでも大きな被害になるのは、壁の中にある「断熱材」が大きな要因です。浸水した水は断熱材を縦に登り、浸水高さ以上に達し、取り換えを行わなければ、カビを発生させ建具を腐食させる要因となります。
また、基礎構造も大きく変わり、侵入した水と泥を撤去するためには、フリーリングの床を剥がす必要があります。床暖房などが設置された住宅も多く、その改修費は甚大なものになります。
高額な生活再建のための費用
高機能化する住宅事情により、家屋修理費は思いの他、高額になります。建坪によって差があるため一概にいくらと言えるものではありませんが、半壊と認定された家屋でも1000万円以上の修理見積もりとなっている事例が多々あります。
これは家屋修繕費のみでで、浸水により失った家財は含まれていません。
また、洪水被害は建屋だけでなく、庭や停めてあった車両も被害を受けています。
さらに、忘れてならないのは、自宅兼職場の自営業者の存在です。中小企業の経営者に茨城県は事業継続のために独自の支援策「50万円の補助」制度を創設しましたが、焼け石に水の感も否めません。
災害救助法と被災者生活再建支援法の見直しを
常総市の広域水害には、災害救助法と被災者生活再建支援法が適用されました。それにより2つの公的支援金制度が、生活再建の為、適用されることとなりました。しかし実態は、水害被害に遭われた方全てが使える内容ではありません。特に「半壊世帯」においては、被害実態からかけ離れた支援金制度となっています。
(1)災害救助法の応急修理制度の見直し
半壊世帯が、災害救助法で定められる応急修理制度を、所得制限により使えないことが問題になっています。原則1世帯当たりの前年度の世帯収入が500万以下(世帯主が45歳以上は700万円以下、世帯主が60歳以上か、世帯主が要援護世帯は800万円以下)の世帯であり、公営住宅の無償提供を受けていないことを条件に、最大56万7000円補助される制度です。世帯収入とは、その家で暮らす人達の年収の合計を指します。同居する高齢者の年金も世帯収入となり、夫婦共働きも多い時代、応急修理制度は、実質限られた世帯しか使えない制度と言えます。
また、災害救助法の『現物支給』の原則も、現状に合わなくなっています。住宅の応急修理にあっても自治体が指定した業者に自治体が工事代金を支払うことが原則ですので、被災後の混乱時にはその事務量が市町村の大きな負担となっています。東日本大震災では、茨城県内の災害救助法が適用となった37市町村中、応急修理制度を実際に発動したのは、わずか5自治体に止まりました。
応急修理制度は「直接払い」制度を見直して、工事明細や領収証による「被災者への現金払い」制度に変更すべきだと提案します。
(2)生活再建支援金制度の見直し
半壊、大規模半壊の認定の違いにより、支援格差が生まれている事が問題となっています。半壊世帯が「やむを得ない理由で解体」したと認められれば、基礎支援金100万円+加算支援金200万円(建設・購入の場合)の補助がでます。しかし、その300万の支援を得るため、数千万のローンを再度組むことは出来ません。「やむを得ない理由で解体」をしない場合は、半壊世帯は生活支援金制度を適用することが出来ません。
大規模半壊世帯については、修理を選択した場合、基礎支援金50万円+加算支援金100万円が適用されます。家屋を修理し暮らす場合、支援金に150万円の差があります。
こうした生活再建のめどが立たぬ状況の中、被害実態に合わない公的支援金制度は改善を検討する必要があります。
11月16日、県議会の臨時会が開かれ、県の独自施策が正式に決定します。井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党では、翌17日に国会に赴き党の政策責任者や国の担当者への働きかけを行う予定です。早期の見直しに向けて全力で努力してまいります。
常総市の広域水害には、災害救助法と被災者生活再建支援法が適用されました。それにより2つの公的支援金制度が、生活再建の為、適用されることとなりました。しかし実態は、水害被害に遭われた方全てが使える内容ではありません。特に「半壊世帯」においては、被害実態からかけ離れた支援金制度となっています。
(1)災害救助法の応急修理制度の見直し
半壊世帯が、災害救助法で定められる応急修理制度を、所得制限により使えないことが問題になっています。原則1世帯当たりの前年度の世帯収入が500万以下(世帯主が45歳以上は700万円以下、世帯主が60歳以上か、世帯主が要援護世帯は800万円以下)の世帯であり、公営住宅の無償提供を受けていないことを条件に、最大56万7000円補助される制度です。世帯収入とは、その家で暮らす人達の年収の合計を指します。同居する高齢者の年金も世帯収入となり、夫婦共働きも多い時代、応急修理制度は、実質限られた世帯しか使えない制度と言えます。
また、災害救助法の『現物支給』の原則も、現状に合わなくなっています。住宅の応急修理にあっても自治体が指定した業者に自治体が工事代金を支払うことが原則ですので、被災後の混乱時にはその事務量が市町村の大きな負担となっています。東日本大震災では、茨城県内の災害救助法が適用となった37市町村中、応急修理制度を実際に発動したのは、わずか5自治体に止まりました。
応急修理制度は「直接払い」制度を見直して、工事明細や領収証による「被災者への現金払い」制度に変更すべきだと提案します。
(2)生活再建支援金制度の見直し
半壊、大規模半壊の認定の違いにより、支援格差が生まれている事が問題となっています。半壊世帯が「やむを得ない理由で解体」したと認められれば、基礎支援金100万円+加算支援金200万円(建設・購入の場合)の補助がでます。しかし、その300万の支援を得るため、数千万のローンを再度組むことは出来ません。「やむを得ない理由で解体」をしない場合は、半壊世帯は生活支援金制度を適用することが出来ません。
大規模半壊世帯については、修理を選択した場合、基礎支援金50万円+加算支援金100万円が適用されます。家屋を修理し暮らす場合、支援金に150万円の差があります。
こうした生活再建のめどが立たぬ状況の中、被害実態に合わない公的支援金制度は改善を検討する必要があります。
11月16日、県議会の臨時会が開かれ、県の独自施策が正式に決定します。井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党では、翌17日に国会に赴き党の政策責任者や国の担当者への働きかけを行う予定です。早期の見直しに向けて全力で努力してまいります。