2015-12-23-09-46-37  12月22日、国が地域のブランドとして保護する「GI=地理的表示保護制度」の第一弾として、茨城県の江戸崎かぼちゃなど7品目が登録されました。今年6月にスタートしたGI制度で、登録された品目は農水省が定める「GIマーク」をつけて販売できるようになります。品質面で国が「お墨付き」を与える制度で、偽ブランド品を国が取り締まって生産者を守り、消費者も「本物」を選びやすくなることを狙っています。産地や産品のブランド力を高め、生産者の収入を増やす効果も期待されています。世界貿易機関(WTO)の協定に基づいて100カ国以上で導入されています。
 従来のルールでは、偽物が出回って権利が侵害された場合、生産者は自ら裁判などで是正を求める必要がありましたが、GI制度では国が偽物を取り締まり、罰則を科すこともできるます。農水省は「偽物に対する抑止力になる」とみています。
 第1弾の選考にあたっては、全国的な知名度や歴史の長さはもとより、地域ならではの生産手法や品質管理が確立されているかどうかが重視されました。
江戸崎かぼちゃ 茨城県の江戸崎かぼちゃ(茨城県稲敷市)は、ほくほくとした食感にするため、完熟したものだけを出荷。JA稲敷の担当者は「ほかにも厳しいルールが多く、生産をやめる農家もあったが、ブランドを維持するための取り組みだ」と話しています。
 あおもりカシス(青森市など)は、小さな実を傷つけないよう一つずつ手摘みにするなど手間をかけています。あおもりカシスの会の石岡大亮会長は「知名度は高くないが、きちんとした品質管理が認められた」と話しています。
 但馬牛・神戸ビーフは兵庫県産の日本古来の和牛で、一定以上の品質を持つものだけが、その名称を使えます。八女伝統本玉露(福岡県)はわらなどで日よけをしながら育てて手摘みをするなど、昔ながらの生産手法が評価されました。
 このほか市田柿(長野県飯田市など)をはじめ50以上の申請があり、農水省は今後、月1回のペースで審査して追加の登録を進める予定です。
えどさきかぼちゃ 国内第1号のGI登録の栄誉を得た「江戸崎かぼちゃ」は、現在29戸の農家が生産をしています。認定により生産農家の増加や生産の拡大を期待しています。また市内の老舗菓子店では「江戸崎かぼちゃ」を菓子の原料として活用し町おこしにつなげようとしています。
 元々きゅうりとトマト作りをしていた中村利夫さんは、稲敷市でできるかぼちゃのおいしさに魅了され、かぼちゃ作りに転向。昭和41年には稲敷市で江戸崎かぼちゃを作る農家が集結し、JA稲敷江戸崎南瓜部会を設立しました。
 「かぼちゃの収穫は通常、花が咲いてからおよそ40日で収穫を行いますが、江戸崎かぼちゃはおよそ55日で収穫を行います。完熟採りが必須条件なのです」と中村さんは語ります。
 完熟収穫を行い、更に"江戸崎かぼちゃブランド規格"の均一化を図るため、一元集荷し専門検査員による全品検査を実施し、未熟品などを抜き取っています。
 「江戸崎かぼちゃの検査は非常に厳しいんです。少しでも規格から外れると"江戸崎かぼちゃ"のブランド名は付きません。検査を終えたらすぐに出荷します。完熟採りで、すぐ食べておいしい状態ですから、できる限り新鮮なまま食卓に届けたいのです」
 この完熟採り、厳正な検査、スピード出荷の連携があるからこそ、江戸崎かぼちゃは「信頼できるブランドかぼちゃ」として高い評価を得ているのです。(江戸崎かぼちゃの紹介記事は、うまいもんどころ茨城の記事を参照しました。http://www.ibaraki-shokusai.net/seisan/shohin003.php