環境省との意見交換 1月8日、茨城県議会公明党は、環境省と資源エネルギー庁を訪ね、大規模太陽光発電(メガソーラー)の建設規制について、地域の現状を伝えるとともに善処を求めした。これには、井手よしひろ県議、田村けいこ県議、八島功男県議、小野泰宏つくば市議、山本美和つくば市議、浜中勝美つくば市議とつくば市担当職員が参加しました。
 茨城県では、東日本大震災以降、再生可能エネルギーに対する関心が高まり、その開発規模は全国第2位となっています。特に太陽光発電は平坦な未利用地が多く、日照時間も長いという県土の特長もあり、この3年間で10倍、100万キロワットを超え、東海第2原発の発電量以上の電力をまかなうまでに成長しています。

メガソーラーと環境破壊、防災対策
筑波山の環境破壊 しかし、ここにきて大規模太陽光発電施設の開発に関して様々な問題が浮上しています。
 特に深刻なのは自然破壊、景観破壊の問題です。さらに防災上の危険性も指摘されています。茨城県議会公明党は、去る平成27年10月28日、つくば市内と茨城町内で開発中のメガソーラ施設を現地調査しました。国定公園に指定されている筑波山の景観保護地域で、太陽光発電のパネルを設置するために、樹木が伐採されている場所がありました。この地域は県の許可なく木を伐採することは認められておらず、県は自然公園法違反にあたるとして業者に注意喚起を行いました。現場はつくば市沼田地区、つくば市街地から筑波山頂をめざす、ケーブルカーやロープウェイ、筑波温泉郷に向かういわば筑波登山、観光の目抜き通りです。すでに、山林は無残に続探され色の山肌がむき出しになっていました。雑木林約1000平方―トルが伐採されています。
 さらに、県道から少し東側に移動した場所(約9800平方メートル)では、7月に森林法に基づく民有材伐採届けがつくば市に提出されました。隣地には30年ほど前にリゾート開発が頓挫した宅地があり、合わせて1万4400平方メートルの太陽光発電設施の造成がはじまっています。重機が入り、樹木は撤去され、地肌が露出しています。開発地の真ん中には、沢の水が流れた深い溝が走っています。ここは、国定公園の特別地域外のために樹木を伐採する許可はいりません。1ヘクタール未満のために、県の林地開発許可もいりません。周辺住民からは「この辺りは昔から土砂崩れや水害の恐れがあった土地です。台風のたびに避難する家もあるほどで、防災上の配慮がない開発に不安が募ります」との心配の声が上がっています。現在、地域住民からの聴き取りによると国定公園内の特別地域には3か所、地域外には1ケ所で、すでに太陽光発電施設の造成工事が行われています。

鬼怒川若宮戸地区の越水もメガソーラーの建設が要因と指摘も
若宮戸の越水現場 また、平成27年9月10日発生した関東・東北豪雨においても、常総市若宮戸地区で鬼怒川の越水箇所において、大規模太陽光発電の事業者が無堤防地域において、その役割を果たしていた砂丘部を削ったため被害が拡大したとの指摘もなされています。
若宮戸地区の鬼怒川には、約1キロにわたって堤防がなく、林になった砂丘の「自然堤防」があるのみです。その一部を、太陽光発電の設置業者が高さ約2メートルを崩し、国交省は土のうを積んで応急処置していました。越水はそこで発生し、住宅が浸水しました。
 住民は災害前から、自然堤防掘削の危険性を行政に指摘してきました。鬼怒川を管理する国土交通省下館河川事務所では「河川法で規制できる河川区域を外れているうえ民有地。掘削中止を『お願い』するしかなかった」と説明しています。常総市も太陽光発電の規制権限を持たず、住民は「国は法律の適用外、市は管轄外と言う。洪水はその行政の穴を突かれて発生した。不作為の責任がある」と指摘しています。
 さらに、つくば市内の開発事業者の一つと若宮戸の事業者が同じ法人でなのではないかとの指摘もあり、何らかの対応が必要であるとの地域住民の声が高まっています。

環境省と資源エネルギー庁に3点を要望
 こうした現状を鑑み、茨城県議会公明党としては、環境省と資源エネルギー庁に対して、以下3点の申し入れを行いました。
  • 大規模太陽光事業者の情報の公開を地元自治体に速やかに行うこと
  • 国立公園や国定公園など自然環境を守るべき場所への立地を制限すること
  • 地元自治体が防災上危険と判断する場所への建設を認めないいこと
 特に資源エネルギー庁は、再生可能エネルギーの固定買い取り制度(FIT)の見直しを検討しており、その法案の中に、こうした現状の制度の瑕疵を見直すよう強く求めました。