電力自由化のイメージ
 今年4月から電力の小売りが全面自由化され、利用者は電力をどの企業から買うか自由に選べるようになります。
 すでに工場や大型の商業施設向けには自由化が始まっていますが、家庭に対しては全国10社の大手電力会社による地域独占状態が続いてきました。全面自由化の機運が高まったきっかけは、2011年3月の東日本大震災によって首都圏の電力供給が大幅に低下し、計画停電が行われたことでした。
 この時、発電施設の1カ所集中や電力会社同士で電力を融通する仕組みの不備が災害時の電力の安定供給を妨げていると問題視されてのです。地球にやさしいクリーンなエネルギーを選びたいという声の増加も自由化の後押しとなりました。
 自由化が進めば、供給体制が安定するだけでなく、企業間の競争が生まれ料金が安くなると期待されています。実際、各社からは今までより割安なプランの発表が相次いでおり、中には年間5000〜1万円程度安くなるプランもあります。すでに約120社が電力小売りとして国の登録を受け、競争は激化しています。
 ただ、消費者の理解はどこまで深まっているだろうかが心配です。電力会社を切り替えない場合は現在の契約プランが継続される、新たに契約した企業が倒産しても大手電力のバックアップがあるので停電しない、離島・へき地も他の地域と同様の料金水準とする―など、国は消費者に分かりやすく説明すべきです。
 家庭の電気使用量を詳細に把握できる次世代電力計(スマートメーター)の設置と、契約先を変える場合の手続きや料金の精算を円滑に行うためのシステム開発が遅れているのも課題です。
 十分な電力を供給できなくなり大規模停電が発生した米国・カリフォルニア州や、燃料費の高騰や再エネの導入で電気料金が自由化前より上昇した英国など、海外の失敗例も他山の石として、円滑な実施に向けた準備を進める必要もあります。
 また、現在では要請レベルにとどまっている、電力がどのようにつくられたかを示す電源構成の割合を開示するよう販売企業に義務付けることも重要です。そうすれば、国民が真に求める日本の電源構成の姿が見えてきます。
我が家の電気料金をシミュレーション
 消費者にとって新たな購入先(新電力)が自由に選べると言うことは、画期的なことです。例えば、現在利用している他のサービスとセットにして電力料金を安くする選択があります。契約するガス会社が提供する電力サービスを活用するセット割りがあります。東京ガスから都市ガスと電気の供給を受けると“セット割り”で、4人家族で年間4000〜5000円程度安くなるとされています。我が家の場合を、シミュレーションすると2人だけの住まいなので3800円程度安くなります。プロパンガス料金やガソリン代、携帯電話料金などととの“セット割り”が利用可能です。ライフスタイルに合わせて、お得な新電力を選択することが出来ます。
 地域の資源を積極的に活用することも可能です。例えば、製材くずやチップなどの木質バイオマス発電を行う地元の発電事業者から、地域の活性化のために電気を買うということもできるようになります。
 さらに、選択によっては自然エネルギーのみで発電するが、その分電気料金は値上りします。地球に優しい電力を買って下さいと言った電力事業者も登場し、消費者はそのような電気を購買する時代・電気のグリーンコンシューマーが登場するかもしれません。
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