2月4日環境省は、東京電力福島第1原発事故で発生した「指定廃棄物」の処理方法について、新たなルール案を示しました。
放射性物質濃度が基準を下回れば指定を解除し、自治体が国の費用負担の下、一般ごみとして処分できるというものです。今後、省令を改正して正式手続きに入ります。
指定廃棄物は放射性物質濃度が1キログラムあたり8000ベクレル超の下水汚泥や堆肥、稲わらなどが対象で、東北から関東まで12都県で約17万トンあります。
このうち、保管量が多い福島や宮城、茨城など6県の指定廃棄物について、国は県ごとに1カ所ずつの処分場を造って集約保管・処理する計画を立てました。民主党政権下の2012年3月のことでした。
しかし、この計画には重大な瑕疵がありました。放射性物質は時間が経過すれば濃度が下がることを想定していなかったことです。さらに、その計画を国が市町村に一方的に押しつけようとしたことでした。
事故から5年近くがたつ今も、処分地が決まった所は福島を除いて1カ所もなく、候補地の住民の反発で現地調査すらできないのが実態です。
放射性物質濃度が基準を下回れば指定を解除し、自治体が国の費用負担の下、一般ごみとして処分できるというものです。今後、省令を改正して正式手続きに入ります。
指定廃棄物は放射性物質濃度が1キログラムあたり8000ベクレル超の下水汚泥や堆肥、稲わらなどが対象で、東北から関東まで12都県で約17万トンあります。
このうち、保管量が多い福島や宮城、茨城など6県の指定廃棄物について、国は県ごとに1カ所ずつの処分場を造って集約保管・処理する計画を立てました。民主党政権下の2012年3月のことでした。
しかし、この計画には重大な瑕疵がありました。放射性物質は時間が経過すれば濃度が下がることを想定していなかったことです。さらに、その計画を国が市町村に一方的に押しつけようとしたことでした。
事故から5年近くがたつ今も、処分地が決まった所は福島を除いて1カ所もなく、候補地の住民の反発で現地調査すらできないのが実態です。
自治体の事情や時間の経過に即した柔軟な対応を可能とする新ルールは、いわば“茨城ルール”ともいえるものです。指定破棄物を保管する市町村長が、長い時間を掛け、廃棄物の安全な処理のために下した苦渋の決断でもあります。他県の手詰まり感を打開する契機となると期待されます。遅きに失した感は否めないものの、環境省は地元の理解促進に一層汗を流し、処理工程を早期に軌道に乗せてもらいたいと思います。
この新ルールは当面、茨城に限って適用されます。県内にある約3500トンの指定廃棄物のうち約7割が既に基準以下なのに加え、(1)大半が公共施設での屋内保管で飛散・流出の心配がない(2)分散保管の維持を地元が求めている―などのためです。
問題は、茨城以外の4県の処理です。焼却すると放射能濃度が上がる農林系廃棄物が多く、しかも大半が屋外の仮置き場に保管されています。新ルールをそのまま適用するわけにはいかず、かといって処分場の建設も容易ではありません。
ここでも、4県それぞれの事情を汲んだ柔軟かつ、きめ細かな対応が欠かせません。
この新ルールは当面、茨城に限って適用されます。県内にある約3500トンの指定廃棄物のうち約7割が既に基準以下なのに加え、(1)大半が公共施設での屋内保管で飛散・流出の心配がない(2)分散保管の維持を地元が求めている―などのためです。
問題は、茨城以外の4県の処理です。焼却すると放射能濃度が上がる農林系廃棄物が多く、しかも大半が屋外の仮置き場に保管されています。新ルールをそのまま適用するわけにはいかず、かといって処分場の建設も容易ではありません。
ここでも、4県それぞれの事情を汲んだ柔軟かつ、きめ細かな対応が欠かせません。
廃棄物「指定」解除 分散保管「満額回答」
読売新聞地方版(2016/2/5)
東京電力福島第一原子力発電所事故で発生した指定廃棄物の処理を巡り、環境省は4日の水戸市での会議で、廃棄物を保管する県内14市町が求めていた「分散保管継続」を正式に認めた。指定解除後の処理も国が責任を持って進めることなど、本県側の要望をほぼ全て容認する方針を示した。一方で指定解除後の国の関与方法に不確定な部分は残されており、民間業者からは不安の声も聞かれた。
■「国が責任持ち処分」
環境省の方針は〈1〉分散保管を継続し必要に応じて施設の強化などを行う〈2〉放射性物質濃度が1キロ・グラム当たり8000ベクレル以下になった後、段階的に既存処分場で処理〈3〉高濃度のものは1か所集約が望ましい――が柱。
井上信治・環境副大臣は会議やその後の記者会見で「指定解除や保管の強化、処分先の確保は国が技術的、財政的な支援の責任を持つ。一度指定したものは解除後も国が処分する」と明言した。〈3〉については「10年たつと、(茨城県内での)基準値以上のものは0・6トンと非常に少なくなり、最終的な処分の仕方も変わってくるかもしれない。地元と協議して考えていく」と述べ、時間をかけて検討する考えを示した。
さらに、本県側が求めていた地元住民への説明に関して「安全性に問題がないことを自治体と協力しながら理解してもらう努力をする」とし、地域振興や風評被害対策についても「前向きに検討する」と述べた。
■「時間たち過ぎ」
橋本知事は報道陣に「安全を早期に確保するためには、本県の場合はこれしかなかった。妥当な結論。防災のためにもできるだけ早く環境省に対応策を講じてもらいたい」と述べた。一方、原発事故後5年近くが経過したことについて「少し(時間が)たち過ぎた。もっと早く対策を取るべきだ」と国に苦言を呈した。
分散保管後の処理に関しては「一定程度安心であることを納得してもらえる施設や設備を(国が)作ると思うので、どのような方法を取るかは各地域が考えなければならない」と述べた。
県幹部は取材に対し、「満額回答に近い。指定解除後の処分も国が責任を持つことを明言してくれ、ほっとした」と話した。
■「受け入れ先斡旋を」
環境省が本県での分散保管継続を容認した背景には、県内自治体の意見がほぼ一致していることや、放射性物質濃度が他県に比べて低いことに加え、多くが公共施設で管理されていることがある。
しかし、4か所では民間の業者や個人が保管している。このうち1社の担当者は「我が社がお願いしている処分場の自主規制は2000ベクレル。その値を下回るには時間がかかり、保管が長期化してしまう可能性もある。受け入れ可能な処分場を斡旋あっせんしてくれる仕組みも作ってくれないと困る」と求めた。