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無秩序なメガソーラ開発にガイドラインの整備を
 2月8日、井手よしひろ県議と日立市議会公明党議員団は、地元高鈴台団地自治会の役員から、大規模太陽光発電設備に関する住民相談を受けました。高鈴台団地の北西側に、面積0.98ヘクタール、出力630キロワットの太陽光発電施設の建設が急に始まりました。
 今年1月21日、設備を建設する事業が団地に隣接する一部世帯に、明日から太陽光発電施設の建設のため雑木林の伐採、造成工事を始める旨のお知らせを配布。翌22日から、山林の樹木を伐採する工事が始まりました。27日には、団地自治会の要求で説明会が行われましたが、法的には全く問題ないと説明され、工事は急ピッチで進んでいます。事業者によると、3月末日までに工事が完了しないと手続き上問題があり、工事の中断などは出来ないということです。あまりにも唐突な話で、団地住民は大いに困惑しています。
 井手県議らは、団地自治会役員とともに、工事現場を視察。その後、団地集会所で意見交換を行いました。事業者の対応は現状の諸法令に違反しているところないため、法的、行政的に工事を差し止めることは難しいとの見解で一致しました。その上で、業者と誠意を持って話し合い、その内容を「取り決め書」「覚書」などで、双方確認する。このとき、起こるかもしれない被害について「予測外だったので、補償は困難」などと言われないよう、被害にあったときの補償を事前に盛り込むことなどを確認しました。
 また、井手県議は山梨県のガイドラインを紹介して、施設敷地に緑地を整備することを事業者に求めることを提案しました。山梨県のガイドラインでは、「敷地面積2000平方メートル以上の場合、敷地の20%以上」「パネルの水平投影面積3000平方メートル以上の場合が、周辺部に15%」と具体的な基準が定められています。こうした事例を参考に、団地住民への影響を極力少なくすべきです。
高鈴台団地自治会との意見交換 太陽光発電施設は、民主党政権下で1万平方メートル以下の開発の場合、経済産業省への届け出のみで工事を行うことができます。この施設の設置それ自体を、地元自治体や県が規制することは出来ません。どこに施設が計画されているのかという情報さえ、自治体にも知らされていません。
 民主党の稚拙な政策判断の中でも、最悪の選択がこの電力の固定買い取り制度です。政権交代後も、この制度の見直しを躊躇した現政権にも重い責任があります。
 国の制度に瑕疵がある以上、県や市町村は自らの地域と住民を守るために、具体的な行動を起こす必要があると思います。
 こうした中、無秩序な太陽光発電施設建設に、歯止めをかけようという地方自治体の動きもみられます。
 山梨県は昨年11月4日、「太陽光発電施設の適正導入がイドライン」を公表しました。井手県議ら茨城県議会公明党では、今年1月15日、直接山梨県庁を訪れ、このガイドラインの説明を受けるとともに、山梨県内の現状を調査してまいりました。
 山梨県のガイドラインによると、10キロワット以上の業務用太陽光発電設施を対象とし、立地の検討や設置時の無防災・景観・環境などへの配慮、住民との合意形成などに関して、市町村への説明を求めています。この市町村への事前相談などは、すでに経産省から設備認定を受けた案件にも遡って適用されます。
 設置時の防災・景観・環境面などの検討のほか、場合によっては「立地の再検討」もできるとされています。
 また、立地についても、「立地を避けるべきエリア」と「立地に慎重な検討が必要なエリア」を設定しているところに特徴があります。太陽光発電施設の立地を避けるべきエリアには、国立国定公園、県立自然公園の特別地域と普通地域、条例に基づく32か所の保全地区富士山北麗世界景観保全地区のほか、保安林、農業振興地域などを広範に指定しています。
 「立地に慎重な検討が必要なエリアには、傾斜度が30度以上ある土地」「地域森林計画対象民有林」「市町村により景観形成拠点として位置づけられた場所」などを挙げています。
 また、設置時に順守すべき事項として、景観面では太陽光パネルの色彩、植栽やフェンスなどによる目隠しの手法を示しました。環境保全上に必要がある時は、「造成工事を数ブロックに分けて、緩衝エリアの緑地を設けること」「希少野生種が生息する土地がある場合には保全策を講ずること」などを求めています。
 こうしたガイドラインの設定は、地域での大規模太陽光発電の乱立、地元住民の不安解消には大変有効だと思われます。
 さらに、井手県議らが危惧するのは、大規模太陽光発電を開発している事業者が、設置から安定的な運営・管理、パネルの解体から撤去、更新まで、20年以上の長期にわたって責任ある経営を行っていけるのかということです。
 今、問題となっている事例では、開発を行っている事業者は、他の企業から出資を募ったり、完成後は施設を売却するなど、長期的、安定的に発電施設を運営することを想定していないように思われます。
 鬼怒川の洪水でも明確になったように、様々な自然災害でパネルが損傷したり、敷地の管理であったり、継続的な管理体制をどのように担保するかも課題です。
 また、最終的なパネルの処分をどのように行うか、太陽光発電事業が終了した後の事業用地をどのように再利用していくのかも大きな不安材料です。
 県議会公明党は、再生可能エネルギーを茨城県内で拡大することには、全く異論はありません。しかし、そのためにも無秩序な大規模太陽光発電施設の乱立には、一定のルールを定めるべきです。
 茨城県、日立市で大規模太陽光発電施設のガイドラインを早急に整備する必要性を強く訴えたいと思います。
参考:山梨県の太陽光発電施設設置に関するガイドライン
https://www.pref.yamanashi.jp/energy-seisaku/guideline.html

高鈴台団地に隣接する大規模太陽光発電施設のマップ