3月3日に県議会で代表質問、ソーシャルインクルージョンについて取り上げる
1億総活躍国民会議 3月茨城県議会の公明党代表質問で、ソーシャルインクルージョンについて質問を行うために準備をしています。
 第3次安倍晋三改造内閣は、目玉政策に「1億総活躍社会の実現」を掲げています。その具体策を話し合う「1億総活躍国民会議」の初会合の終了後、民間議員に選ばれたタレントの菊池桃子さんの発言が注目を浴びました。
 菊池さんは、記者団の取材に応じ、「1億総活躍」のネーミングが分かりづらいとして、「ソーシャル・インクルージョン」という新名称を提案したことを明らかにしました。「1億総活躍の定義については、なかなかご理解いただいていない部分があると思います。1つの見方として、言い方として『ソーシャル・インクルージョン』という言葉を使うのはどうでしょうか」と提案。「ソーシャル・インクルージョンというのは、社会の中から排除する者をつくらない、全ての人々に活躍の機会があるという言葉です」「今、排除されているであろうと思われる方々を。全て見渡して救っていくことを、あらゆる視点から考えていただきたい」と、国民会議で発言したのです。
 菊池さんの主張する「ソーシャル・インクルージョン=社会の中から排除する者をつくらない、全ての人々に活躍の機会を提供する」との考え方で、茨城県の教育や福祉、医療などを再構築する必要性を強く感じています。
 時を同じくして、昨年11月には茨城県総合教育会議での出席者の不用意な発言に批判が集まり、委員を辞職するという不祥事が発生しました。一連の経緯の責任を取り、知事も減給等の処分を自らに科したとところです。
 茨城県から排除される者をつくらない、全ての人々に活躍の機会を提供するとの考えは、教育、福祉、医療などあらゆる場面で、その基本として明確にする必要があります。
 今回の代表質問では、このような基本的な考え方から、インクルーシブ教育と子ども・女性の貧困対策、発達障害児(者)対策などを質問する予定です。
沖縄の子どもの貧困率

沖縄県内の子どもの貧困率が29.9%、全国平均16.3%の約2倍
 この中で、子ども貧困対策で資料をまとめている最中、沖縄県の実態調査の結果が公表され、衝撃を覚えました。
 1月29日、沖縄県内の子どもの貧困率が29.9%に上るとの調査結果が発表されました。2012年時点の全国平均16.3%の約2倍。子どもの3人に1人が貧困状態に置かれていることになります。ひとり親世帯の貧困率は58.9%で、全国を4.3ポイント上回わりました。
 小中学生と保護者のアンケートでは、経済的に厳しい家庭に学用品や給食費を補助する就学援助の周知が不足しており、必要な世帯に行き届いていない実態も明らかになりました。貧困層で就学援助を受けていない割合は小学1年が57%、小学5年52%、中学2年45%に上っており、大阪市の調査の2倍以上の数字でした。
 貧困層に必要な食料が届いていない現状も明らかになりました。過去1年間に経済的な理由で食料に困窮した経験があるかとの問いでは、貧困層の保護者の約5割が「あった」と回答。このうち中学2年生の貧困層の8%、小学5年生の6%が「よくあった」と回答しました。
 生活の困窮から電気・水道・ガスなどのライフラインが脅かされる状況も顕著です。料金を過去1年間に滞納した経験は電気やガス、電話などで貧困層が30%程度。水道料金も20%を超えていました。過去10年間に停止された経験も20%近くあったのです。
 子どもの貧困や女性の貧困対策を進める上では、その実態を“見える化”することが重要です。国は2013年に制定した「子どもの貧困対策推進法」と、それに基づく「大綱」で、地域版の子供の貧困調査をするように求めています。しかし従来、地域版の貧困率算出は技術的に難しいと言われていました。多くの自治体で調査は進んでいないのが実態です。
 貧困の特徴は「見えない」ことにあるのです。本当は「ある」のに、見えないことから「ない」こととされやすく、対策が後手後手に回ってしまいます。政府が国内の貧困の存在を公的に認めたのは、わずか7年前のことでした。まだ、実態の認知と対応の必要性が広く共有されているとは言えません。
 国の取りまとめでは、現在、女性の非正規雇用の割合は56.7%と、過半数を超えています。非正規労働者は収入も低く、平均年収は168万円です。母子家庭などで、家計収入が低いため子どもが十分な教育を受けられず、また資格も取得できず、貧困が子どもに継承されてしまう「貧困の連鎖」が大きな社会問題になっています。
 子どもの貧困率は30年前の1985年に10.9%だったものが、最新の数値では16.3%と実に6人に1人の子どもが貧困な状況に置かれています。この数値はひとり親家庭では54.6%と跳ね上がります。
 そして、この子どもの貧困は、子どもの将来に大きな影響を及ぼし、子ども本人だけでなく社会全体にとっても大きな損失をもたらします。
 茨城県の子どもの貧困、女性の貧困対策にどのように取り組むのか、まず、市町村が実態を正確に把握することが始める必要があります。
参考:沖縄県子どもの貧困実態調査結果概要(中間報告)について
http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kodomo/shonenkodomo/kodomonohinkontyousa.html