がん教育 4月22日、文部科学省は、日本人の死亡原因第1位で、2人に1人がかかるとされる、がんを正しく知り、命の大切さへの理解を深める「がん教育」を効果的に行うための教材をホームページで公表しました。
 がん教育は、子どもたちが健康の大切さを学び、病気の人に対する偏見や差別をなくす重要な機会になるとして全国の学校で活発に行われています。今後、がん教育のモデル校でこの教材を活用し、来年度に改訂を加えた上で、本格的に全国展開します。
 今回、作成された中・高生向けの教材には、「がんとはどのような病気でしょうか?」から始まり、現状や種類を紹介した上で、がんの予防や原因、検診・早期発見の大切さに触れ、治療法や緩和ケアなどの説明、がん患者への理解と共生を学ぶための項目も盛り込まれています。
 分かりやすい言葉で書かれた小学生用教材もあり、がんの意味や原因、予防、がんになっても生き生きと日常生活を続けられることなどが記載され、がんの体験談も学ぶことができます。
 今回、文科省は教材と併せて「外部講師を用いた がん教育ガイドライン」も公表。がん教育では医師や患者、経験者などの外部講師が重要な役割を果たすことから作成された。このほか文科省は、映像教材などの開発の検討を進めます。
公明党の提言を反映
 公明党は、がん対策基本法制定(2006年)や、がん対策推進基本計画(07年度から5カ年)の策定を主導。がん教育については、第2次基本計画(12年度から5カ年)に「がんの教育・普及啓発」を初めて盛り込ませるなど、国の取り組みを前進させてきました。
 また、昨年12月には政府が「がん対策加速化プラン」を発表。がん対策推進本部(本部長=古屋範子副代表)の提言が反映されており、がん教育については「発達段階に応じて作成した教材」「学校医、がん専門医やがん患者・経験者等の外部講師」を活用し、国が支援を行うとしていました。
がん教育推進のための教材
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1369992.htm

がん教育の教材から

なお、教材だけでは学校の現場で授業ができるわけではありません。確認すべき事項を列記します。
  • 中・高の「教材」は共通ながら、教師の指導案で“区分け”されます(指導案は5〜6月ごろに公表されます)。なお、指導案は小・中・高と3種作成されます。
  • 小学生版は量が少ない(最後の2ページ)のですが、指導案で「いのちの大切さ」などしっかり伝える、と同時に、がん経験者の講演などを活用します。
  • 教材は28年度パイロット事業として32自治体で使用され、修正が必要なら年度末までに修正して29年度から全国で使用します(ただし、自治体が独自作成したもの、あるいは本教材に自治体特色を追加することは自治体に任せられます)。29年度版は教材の体裁も既存のものと同様にデザインも検討します。
  • ホームページへのアップと同時に全国自治体教委にアップを周知・公表します(パイロット事業や独自予算での実施の有無に関わらず、全ての都道府県に加え、国立・私立学校を所管している部署も対象に周知)。
  • 教育委員会への周知と並行して厚労省がん・疾病対策課も「文部科学省からの連絡を受け、各都道府県・指定都市衛生主管部(局)がん対策主管課宛てに周知した」とのことです。
  • 教材を全児童生徒に配布するかは自治体の判断で行います (現在は、教材はクラス分を印刷し、学年で回し読み。自治体で予算を確保して全生徒への配布ができれば、父母にも見せて、がんを知っていただけます)。
  • この教材を見ると、如何にがんというものを中学生段階から、十分に教えていくかがわかります。これだと、大人の“がん知識が遅れる”という事態になり、大人のがん教育も急がれます。
  • 自治体は29年度に実施に向けて「がん教育推進協議会」等を設置します。一番の課題は医師の確保です。医師が学校へ赴き、生徒にがん教育するインパクト・効果は絶大です。東大の中川恵一先生等のがん教育で『実証済み』です。医師、患者(家族、がんを克服した人)など、多面的な視野でがん教育を充実させる必要があります。