
災害時には、体の不自由な高齢者や障がい者、妊産婦といった「災害弱者」に対して、特別な配慮が求められます。しかし、熊本地震では、そうした人たちを優先的に受け入れる福祉避難所の機能が、スタッフ不足などを理由に十分に発揮されていません。
福祉避難所は、自治体が災害救助法に基づき、福祉施設や公共施設などを指定します。国の指針では、紙おむつや医薬品などを備蓄することが望ましいとされ、手すりやスロープなどバリアフリー環境も整備されています。2014年10月現在、全国では7647カ所が指定され、熊本市も176カ所、約1700人分の受け入れを計画していました。ところが、今月22日時点で開設できたのは73カ所だけで、利用者は341人にすぎません。
施設が損傷するなど理由はいくつもあります。とりわけ大きいのは、スタッフの数が追いついていないことです。例えば、老人ホームが福祉避難所となった場合、職員は元から施設を利用していた人に加え、避難者のケアにも追われます。人手不足に陥るのは、どうしても避けられません。
被災した自治体は現在、災害弱者の受け入れ可能な福祉避難所を少しでも増やそうと、スタッフの確保に全力を挙げています。その取り組みを促すために、例えば、看護師や介護福祉士などの資格を持ちながら、現在その職に就いていない潜在有資格者に協力してもらうことはできないでしょうか。その上で、被災地外からのスタッフの派遣態勢を強化することも一案です。
もちろん、資格のない人でも、できることはたくさんあります。傾聴ボランティアなど避難者に寄り添ってくれる人は、必要とされています。
さらに重要な視点は、本当に困っている災害弱者ほど孤立しがちで、声を上げにくいということです。福祉避難所の存在自体を知らない人も多いのが実態です。周知徹底は必要不可欠であり、政府は自治体やボランティア団体などと連携して、力を入れるべきです。
専門職の団体、NPOなどが要支援者を訪問調査
熊本市と熊本県益城町は、地震後に自宅で暮らす高齢者や障害者ら要援護者の訪問調査に乗り出した。対象は数万人規模になるとみられ、専門のケアが必要な人は福祉避難所を紹介するなど対策をとります。
熊本市の調査対象は概算で、要介護3以上の高齢者約1500人や障害者約9千人、妊産婦など合わせて1万3千人以上に上ります。益城町は、約1万3千の町内全世帯を対象とし、高齢者のほか障害者約780人を調べます。
熊本市では、建物が被災した熊本市民病院の看護師と他の自治体から派遣された保健師計100人が高齢者調査を担当します。障害者は市から委託を受けた民間事業者とNPO団体「日本相談支援専門員協会」が請け負います。
益城町の高齢者調査は、ケアマネジャーの団体「日本介護支援専門員協会」が被害の大きい地区からローラー作戦を展開。全国から交代で協会員が応援に入ります。
もちろん、資格のない人でも、できることはたくさんあります。傾聴ボランティアなど避難者に寄り添ってくれる人は、必要とされています。
さらに重要な視点は、本当に困っている災害弱者ほど孤立しがちで、声を上げにくいということです。福祉避難所の存在自体を知らない人も多いのが実態です。周知徹底は必要不可欠であり、政府は自治体やボランティア団体などと連携して、力を入れるべきです。
専門職の団体、NPOなどが要支援者を訪問調査
熊本市と熊本県益城町は、地震後に自宅で暮らす高齢者や障害者ら要援護者の訪問調査に乗り出した。対象は数万人規模になるとみられ、専門のケアが必要な人は福祉避難所を紹介するなど対策をとります。
熊本市の調査対象は概算で、要介護3以上の高齢者約1500人や障害者約9千人、妊産婦など合わせて1万3千人以上に上ります。益城町は、約1万3千の町内全世帯を対象とし、高齢者のほか障害者約780人を調べます。
熊本市では、建物が被災した熊本市民病院の看護師と他の自治体から派遣された保健師計100人が高齢者調査を担当します。障害者は市から委託を受けた民間事業者とNPO団体「日本相談支援専門員協会」が請け負います。
益城町の高齢者調査は、ケアマネジャーの団体「日本介護支援専門員協会」が被害の大きい地区からローラー作戦を展開。全国から交代で協会員が応援に入ります。