常総市若宮戸地区の越水現場
 5月25日、県議会災害対策特別委員会が開催され、東京大学情報学環総合防災情報研究センター田中淳センター長を参考人として迎え、「都道府県防災行政の課題と期待」と題して意見を聴取しました。様々な有益な情報のご提供をいただきましたが、その中でも、常総市の水害に関しては、住民への情報提供や、情報伝達、市町村の防災体制について貴重なご意見をうかがいました。
 NHK放送文化研究所の調査によると、常総市民の55%が、避難所への立ち退避難をしており、他の水害被災地に比べて極めて高かったと指摘。その上で、田中センター長は、「洪水予防河川や情報周知河川の水位情報等については、市町村はおおむね適切に把握していた」と語りました。河水管理者である国と市はホットラインで結ばれ、国の情報は市長の携帯電話に伝えられていました。その上で、越水の氾濫水拡散予測が活用されました。気象庁の特別警報も体制整備に効果がありました。

常総市の情報伝達

 ただ、三坂町の決壊現場では情報伝達に混乱がみられました。また、河水の水位情報は、積極的に住民への周知はされておらず、県管理の中小河川の情報・共有に限界がありました。
 こうした結果をもとに、広域的な防災対策が必要であり、県が市町村側の状況把握するシステム・体制の充実が必要であると語りました。
 市町村の防災体制は、防災担当の専任職員は2〜10名程度しかいません。その上、人事異動サイクルが2〜3年であるため、専門的知見が積み重ねられません。また、防災担当者には一端災害が派生すると過度な負担がかかります。総合的調整能力の強化が必要となります。県レベルでは専従職員の配備を検討すべきです。