難民キャンプで
 5月20日、政府は首相官邸で「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」の初会合を開き、安倍晋三首相が、内戦の続くシリアの難民や国内避難民について、留学生として150人を受け入れる方針を表明しました。
 混乱が長期化するシリア情勢をめぐり、欧州に押し寄せる難民受け入れが国際的な課題となる中、日本はシリアの復興を担う人材育成へ、国際協力機構(JICA)の技術協力などを活用し、早ければ2017年から5年間で受け入れることになります。
 中東地域全体の安定化策としては、16年から3年間で、約2万人の人材育成を含む総額約60億ドル(6600億円)の支援を決定。ヨルダンなどシリア難民を受け入れている周辺国支援や産業振興などに充てる計画です。
 推進本部は、昨年9月の国連総会で採択された30年までに貧困や飢餓撲滅などをめざす「持続可能な開発目標」の実現に向けた日本の貢献策も協議。安倍首相は、感染症対策や世界的な保健システムの強化に充てるため、国際機関を通じ約11億ドル(1200億円)を拠出することも発表しました。
 シリアは世界最大の難民発生国です。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2011年にシリアで内戦が始まってから今年5月までの時点で、480万人以上が故郷を離れることを余儀なくされています。今も欧州諸国や周辺諸国にシリアから大量の難民が押し寄せ、世界規模で深刻な問題となっています。今回のG7伊勢志摩サミットでも、ヨーロッパ各国、EUなどは首脳会議の重要な議題として認識していたようです。
 日本では2011年以降、63人のシリア人が保護を求め、難民申請をしています。しかし、認定されたのはわずか3人にとどまっています。難民となって就学の機会を失ったシリアの若者を積極的に受け入れることで、日本は、難民の保護に前向きである姿勢を国際社会に示す必要があります。
難民キャンプで
日本は難民の青年に、教育の機会を提供するような人道主義に力を入れるべき
 難民を留学生として迎え、教育の機会を提供することで政界平和に貢献しようと、公明党は全力をあげて取り組んできました。
 特に、公明党難民政策プロジェクトチームの谷合正明事務局長と岡本三成衆議院議員は、その中心的な役割を果たしています。
 以下、その具体的な活動を岡本衆議院議員のメルマガからご紹介します。
 岡本議員は2015年、国会議員で初めて「難民を国費留学生として日本に迎え入れよう!」と提案。その実現の為に全力で闘ってきました。その原点は、2015年1月の第40回「SGIの日」記念提言「人道の世紀へ 誓いの連帯」でした。池田大作SGI会長の「難民の青年に、教育の機会を提供するような人道主義に力を入れるべきではないか」との一文に共感。すぐさま難民の状況を詳細に調査し、世界に5000万人もいる難民の半数以上が18歳以下の若者であるショッキングな事実を認識しました。
 そこで2月の予算委員会で、安倍総理に対し「積極的平和主義と叫ぶなら、難民に対する教育支援こそ日本主導で実施するべきだ」との提案を行いました。
 2015年9月、元NGO職員である谷合参議院議員と共に、中東のシリア難民キャンプ、そして現在も紛争中で、住民の3分の2が難民のパレスチナ・ガザ地区などを実際に訪問しました。
  厳しい現実に直面する難民や、彼らを支援する国連職員等と対話する中で確信したのは、「若者達が夢を持てない状況こそ、最大の問題である」という事でした。教育を受ける事もできない。働く場所もない。だから夢など持てずに悲観的になる。この訪問を通して、日本が彼らの希望の光となれるように、全力で闘う事を改めて確認しました。
 帰国後、総理や外務大臣に対して、国費留学生として難民を受け入れる為の具体的かつ実現可能な政策を提案。山口那津男代表も参議院本会議で、この件を総理に提言しました。
 岡本議員は、メルマガで「今回の決定はゴールではなく、私のチャレンジの第一歩です。次の目標は、現在も紛争中のパレスチナとイスラエル、それぞれの国から留学生を日本に迎え入れる事です。そして、例えば私の母校創価大学で、両国の若者が、日本人・アメリカ人・ロシア人・中国人など、世界の友と一緒に学び、遊び、生活する事によって、信頼関係と友情を築く架け橋になってほしいのです。そして卒業後、それぞれ母国に帰り、将来その国のリーダーとなった時に、“相手国との意見の違いがあっても、若き日に共に日本で学んだ友人がいるのだから、武力による事なく話し合いで解決しよう”と思ってもらえたら、どんなに素晴らしいか。その良縁をこの日本で作って欲しいと願っています」と記しています。
 戦争反対と叫んでいるだけでは、平和は創れません。世界平和という高邁な理想を掲げ、現実の世界を知り、具体的に一歩一歩行動を起こし実現する。それが公明党の政治なのです。