益城町の被災状況
 熊本地震の被災者に支給される義援金の差し押さえ禁止法が、5月27日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。義援金の差し押さえ禁止法は、被災者が債務を抱えていても、金融機関などが義援金を差し押さえできないよう規定したものです。受け取る権利の譲渡や担保化も禁止しました。施行前に集められた義援金も保全の対象となります。被災者の生活再建を支援するため、公明党が成立をリードしました。 
 この法律により、住宅ローンなどを抱える被災者が「被災ローン減免制度」を利用した場合、原則、預貯金最大500万円と災害弔慰金、被災者生活再建支援金などに加えて、義援金も手元に残せるようになります。被災者はできるだけローンを返済した上で、返済しきれない分は免除されます。  今回と同様の法律は、東日本大震災の際にも、弔慰金などの差し押さえ禁止と共に整備されました。ただし、東日本大震災の義援金に限定して立法化したため、熊本地震では新たな法律が必要でした。
 公明党は、5月10日の政府・与党連絡会議で山口那津男代表が被災ローン減免制度の周知を訴えたことなどを受けて、翌11日の自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長会談で、大口善徳国対委員長が義援金差し押さえ禁止法の必要性を指摘しました。自民党側も協力する考えを示しました。
 また、これに先立ち、公明党の赤羽一嘉衆院議員、弁護士の伊藤たかえ女性局次長(参院選予定候補=兵庫選挙区)が熊本地震の被災地を視察し、熊本県弁護士会から同法制定の要請を受けました。
 義援金の差し押さえ禁止法は、野党の理解も得て、衆院でも5月19日に全会一致で可決されました。
 熊本県弁護士会の山野史寛副会長は、「義援金は被災者の当座の生活を支えるためにある。差し押さえは本来の趣旨とは異なる使い方であり、義援金を手元に残すための法整備は被災者の生活再建にとって必要不可欠だ」と語っています。
被災ローン減免制度/熊本地震 住宅再建後押し
 熊本地震では、約8万9000棟(5月18日現在)の住宅が被害を受けており、被災者の中には自宅が損壊し、住宅ローンだけが残ってしまうケースがあります。住宅を再建する際、二重ローンに苦しむことがないよう、一定の要件を満たす場合、抱えているローンを自己破産せずに免除したり、減額できる制度が「被災ローン減免制度」です。
 この制度は、東日本大震災の被災者を対象に、公明党の後押しにより実現した「私的整理ガイドライン」が基本になっています。4月から全国銀行協会が中心となって、2015年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害の被災地域にも用いられることになり、2015年9月の関東・東北豪雨(茨城、栃木、宮城)と台風21号(沖縄)を含め、熊本地震の被災地域にも適用されています。公明党の山口那津男代表は、一連の地震で深刻な住宅被害が拡大したことを重視し、10日の政府・与党連絡会議で「被災ローン減免制度」の周知と、金融機関や自治体の取り組みを支援するよう要請しました。
 対象になるのは、住宅や勤務先、事業所などが被害を受けたことで、住宅ローンをはじめ、自動車や個人事業のローンなどを返済できなくなった人や返済できなくなる見通しになった人です。関係金融機関が同意すれば、預貯金など最大500万円と、被災者生活再建支援金などの公的な支援金を手元に残すことができる制度です。その上で、できるだけ返済し、返済しきれない分が免除されます。また、自己破産とは違い、ローンを払えなかったという情報が金融機関側に残らないことから、新たなローンも組みやすくなります。
 具体的な手続きは、最初に、最も多額のローンを借りている金融機関に申し出て、同意が得られれば、無料で弁護士の支援を受けられます。その上で、金融機関に必要な書類を提出し、ローンの返済額や免除額を協議。最後に、借入先すべての同意を得た上で、簡易裁判所に申し立て、認められればローンの減免が成立すします。
 熊本地震の被災に伴う制度利用に関する問い合わせは、金融庁や熊本県弁護士会などで受け付けています。
 金融庁の相談専用電話番号は、フリーダイヤルで0120・156・811(平日午前10時から午後5時まで)。熊本弁護士会の相談専用電話番号は、フリーダイヤルで0120・587・858(毎日午前10時から午後4時まで)。