確率論的地震動予測地図 6月10日、国の地震調査研究推進本部から、今後30年間に強い地震が発生する確率を示す「全国地震動予測地図」の最新版(2016年度版)公表されました。この予測地図によると、震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は水戸市で80.7%で、全国の都道府県庁所在地では千葉市と横浜市に次いで全国ワースト2となっています。
 予測図をまとめた文部科学省地震・防災研究課によると、地図は地震の起きやすさと地盤の揺れやすさを基に作成されています。県南部は、フィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込むプレート境界で、首都直下地震の想定震源域の一つとされています。
 6月15日付の朝日新聞(茨城版)では、県内44市町村の役所・役場庁舎付近の数値が一覧表として掲載されました。半数以上の25市町村で30年間に震度6弱以上の地震が起きる可能性が50%を超えています。最も高いのは神栖市の90.3%。龍ケ崎市86.2%、つくばみらい市81.3%、水戸市80.7%、土浦市76.2%と続いています。最も低いのは桜川市の3.1%で、大子町14.0%、北茨城市21.7%など県北地域の比較的地盤が安定している地域が相対的に低くなっています。東海第二原発が立地する東海村は51.4%でした。
 前回2014年の調査と比べると、各市町村の数値の変化は最大0.3%にとどまっています。
確率論的地震動予測地図 80.7%と効率なった県都水戸市は、現在、新市庁舎の建設工事を進めています。新庁舎周辺地域は、川の氾濫で運ばれた泥や砂が堆積した土地のため、揺れが大きくなりやすいといわれています。新庁舎は免震構造を採用し、大地震が起きても防災拠点として機能するよう備えています。3日分の自家発電用燃料や、汚水貯留槽、7日分の水などの備蓄を準備する計画です。たとえ、震度6強〜7の地震があっても、防災拠点や市民らの一時避難所として機能できる構造に設計されています。
 県内でもっと発生率が高い神栖市は、今年度以降、庁舎の耐震強化に取り組む計画です。防災安全課の担当者は「災害対策本部が市の庁舎に設けられるよう、大地震に適応できる強度にしたい」と語っています。
(表:県内市町村の今後30年の震度6弱以上地震発生確率:朝日新聞記事より)
 
全国地震動予測地図とは
 東日本大震災を受け、国によって「全国地震動予測地図」の改良に向けた検討作業が進められています。
「全国地震動予測地図」は、将来日本で発生する恐れのある地震による強い揺れを予測し、予測結果を地図として表したものです。国の地震調査研究推進本部により作成されています。「全国地震動予測地図」は、地震発生の長期的な確率評価と強震動の評価を組み合わせた「確率論的地震動予測地図」と、特定の地震に対して、ある想定されたシナリオに対する強震動評価に基づく「震源断層を特定した地震動予測地図」の2種類の地図から構成されています。

確率論的地震動予測地図
 「確率論的地震動予測地図」は、日本及びその周辺で起こりうる全ての地震に対して、その発生場所、発生可能性、規模を確率論的手法によって評価し、さらにそれら地震が発生したときに生じる地震動の強さをバラツキも含めて評価することにより、一定の期間内に、ある地点が、ある大きさ以上の揺れに見舞われる確率を計算することにより作成されています。地点ごとに地震ハザード評価を実施し、地震動の強さ・期間・確率のうち2つを固定して残る1つの値を求めた上で、それらの値の分布を示したものが「確率論的地震動予測地図」です。
 「確率論的地震動予測地図」には、いろいろな種類のものがありますが、代表的なものとしては、今後30年以内に各地点が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図として示したものがあります。
全国地震動予測地図:http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/