茨城新聞(2016/6/16) 6月22日公示、7月11日投票の参院選は、投票できる年齢が18歳まで引き下げられ、7月12日以前に誕生日を迎える高校3年生も一票を投じれるようになりました。
 しかし、6月16日付け茨城新聞によると、この参院選期間中に乗船実習が行われる茨城県立海洋高校の生徒の内、7人が投票できないのではと報道されました。
 海洋高校では、今年5月に就航した実習船「鹿島丸」で、年に4回実習が行われます。今年2回の実習は7月20日から7月19日までの丸1か月、八丈島の東方約500キロ沖で、マグロのはえ縄操業を行う予定です。船員免許を持つものは洋上投票制度などが設けられていますが、実習に参加するする生徒は、この制度を使うことができず、せっかく初めての投票機会なのに大変残念だという声が上がっていました。
 井手よしひろ県議は、この報道を受け県教育庁などと協議、公明党の輿水恵一衆議院議員(総務大臣政務官)、長沢広明参議院議員に対応策を検討するよう連携を取りました。
 その結果、鹿島丸が水揚げや給油・食料の調達のために高知港に寄港する際、高知市内で不在者投票できることになりました。
不在者投票制度について
 不在者投票とは、仕事や旅行などで、選挙期間中、名簿登録地以外の市区町村に滞在している方は、滞在先の市区町村の選挙管理委員会で投票ができる制度です。また、指定病院等に入院等している方などは、その施設内で不在者投票ができます。
 その手順は、名簿登録地の市区町村の選挙管理委員会に、直接または郵便等で投票用紙など必要な書類を請求します。この場合、どこで投票したいかを伝えます。
 交付された投票用紙などを持参して、投票する市区町村の選挙管理委員会に出向き、その選挙管理員会で投票することになりました。
 今回の洋上実習の場合は、事前に生徒の住所がある選挙管理委員会に、投票用紙を請求し、交付を受けたうえで、寄港した高知市の選挙管理員会で投票することになります。

 一定の業務や航行区域を持ち、日本国外の区域を航海する船舶(指定船舶)に乗船する船員のためには、何通りかの不在者投票制度手続があります。このうち、船舶からファクシミリによって投票するのが「洋上投票」です。洋上投票には、ファクシミリ投票用紙の交付を受けるなど、事前の手続が必要です。また、洋上投票の対象は、衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙です。また、同様に南極観測隊のための「南極投票」という制度もあります。
 海洋高校の実習生は、正式な船員免許等を持っていませんので、今後、国会での議論をもってどのような特例投票制度を整備するか、議論されることになります。


茨城県立海洋高校の実習船「鹿島丸」
今年(2016年)5月に就航した新造船「鹿島丸」は、全長約41メートル、幅8.3メートル、重量313トンで定員は43人。最新の航海機-器や海洋環境調査装置などを搭載しています。
約1カ月間の乗船実習を通し、マグロはえ縄漁業や操船技術など実践的な知識や技能の修-得、実習を経験した生徒は、5級海技士資格の取得などを目指します。