6月14日、医師不足で共に厳しい経営が続く神栖市の鹿島労災病院と神栖済生会病院の統合再編の必要性を指摘する報告書が、「鹿島労災病院と神栖済生会病院の今後のあり方検討委員会」(委員長・小松満県医師会長)から橋本昌知事に提出されました。
6月22日、井手よしひろ県議は、この報告書の内容を確認するために両病院を訪れ現地調査しました。

報告書によると、鹿行保険医療圏の医療基盤がいかに脆弱か、両病院がいかに深刻な経営状況にあるかが読み取れます。
●危機的な医師不足
平成24年の鹿行保健医療圏における、人口10万人当たりの医師数は88.6人で全国344の二次医療圏中、下から3番目となっています。
平成22年から平成24年にかけて、茨城県内の他の二次保健医療圏では人口当たり医師数が増加したのに対し、鹿行保健医療圏は唯一減少しています。
また、平成26年は90.7人と平成24年と比較して微増となったものの、県内9つの二次保健医療圏の中で最も少ない現状に変わりはありません。
神栖市においては、公的病院として鹿島労災病院と神栖済生会病院の2病院が存在していますが、両病院ともに慢性的な医師不足に陥っており、特に鹿島労災病院は、平成23年度に33名在籍していた常勤医が、平成25年4月には10 名と減少しています。
平成28年4月1日現在の常勤医師数は、鹿島労災病院14人、神栖済生会病院20人と少なく、診療体制が脆弱で、救急患者はもとより重篤な患者の受け入れが不十分な状況にあるほか、医育機関からの医師派遣も困難な状況が続いています。
6月22日、井手よしひろ県議は、この報告書の内容を確認するために両病院を訪れ現地調査しました。

報告書によると、鹿行保険医療圏の医療基盤がいかに脆弱か、両病院がいかに深刻な経営状況にあるかが読み取れます。
●危機的な医師不足
平成24年の鹿行保健医療圏における、人口10万人当たりの医師数は88.6人で全国344の二次医療圏中、下から3番目となっています。
平成22年から平成24年にかけて、茨城県内の他の二次保健医療圏では人口当たり医師数が増加したのに対し、鹿行保健医療圏は唯一減少しています。
また、平成26年は90.7人と平成24年と比較して微増となったものの、県内9つの二次保健医療圏の中で最も少ない現状に変わりはありません。
神栖市においては、公的病院として鹿島労災病院と神栖済生会病院の2病院が存在していますが、両病院ともに慢性的な医師不足に陥っており、特に鹿島労災病院は、平成23年度に33名在籍していた常勤医が、平成25年4月には10 名と減少しています。
平成28年4月1日現在の常勤医師数は、鹿島労災病院14人、神栖済生会病院20人と少なく、診療体制が脆弱で、救急患者はもとより重篤な患者の受け入れが不十分な状況にあるほか、医育機関からの医師派遣も困難な状況が続いています。
●脆弱な救急医療体制
平成26年の神栖市内の救急搬送件数は3051件で、約半数が市外医療機関、約2割が千葉県内の医療機関に搬送されています。
また、鹿島地方広域消防本部の収容平均所要時間は県内24消防本部の中でも長く、平成26年の収容平均所要時間は50.0分で、県平均41.1分と比較すると約10分近く長くなっています。
●医療難民と化した神栖市民の受療動向
神栖市国民健康保険患者のレセプトデータによると、入院患者については、約70%が市外の医療機関を受療しており、そのうち、約40%は、隣接する千葉県をはじめ県外の医療機関を受療している状況です。
外来患者については、約68%が市内、約32%は市外の医療機関を受療しており、県外(約21%)及び県内市外(約11%)への患者流出がみられます。医療機関別にみると、入院については、国保旭中央病院が最も高い割合(16%)であり、神栖済生会病院と鹿島労災病院が占める割合は、両病院を合わせても15%で、国保旭中央病院に及ばない状況です。
外来については、神栖済生会病院が最も高い割合7%であり、鹿島労災病院は4%となっています。
●低い病院の稼働率
許可病床数に対する病床稼働状況は、鹿島労災病院が約1/3、神栖済生会病院が約1/2となっています。
また、一般病床の病床利用率は、平成26年の全国平均74.8%に対し、神栖済生会病院は44.7%、鹿島労災病院は15.1%であり全国平均の約2割とと極めて低い状況になっています。
この結果、鹿島労災病院は2012年度以降、各年度10億円以上の赤字を計上しています。神栖済生会病院は2014年度、約1億6500万円の赤字を計上しています。
報告者では、両病院の再編統合が不可欠であり、その進め方を提案しています。
・両病院の統合までの鹿島労災病院の経営を改善するとともに、地域医療を担う主体として必要な役割を果たしていくため、病床を101床削減し199床で運営を継続する。
・次に平成30年度目途に、鹿島労災病院が担ってきた鹿島臨海工業地帯で発生する労働災害や職業性疾病に対応した医療機能を(社)恩賜財団済生会に引き継ぐとともに、鹿島労災病院の建物等を(独)労働者健康安全機構から移譲したうえで、両病院の医療機能を分担し機能連携を進める。その前提として、鹿島労災病院職員の円滑な移行、両病院職員の処遇調整、患者情報の引渡しなどの課題整理のためには、再編統合協議会や準備室等を設けて進めていくことが必要。
・その後、平成32年度を目途に、両病院の機能連携を深化させ、新病院等の整備を実施。また、その際、現在の病院所在地域において提供している医療の向上を目指して整備を進めるものとする。
さらに報告書は、両病院の再編の形として、1.神栖済生会病院を新病院として整備し鹿嶋労災病院を老健施設を併設した診療所とする(予算68億〜74億円)、2.鹿嶋労災病院を新病院とし神栖済生会病院を老健施設を併設した診療所とする(予算141億円程度)、3.中間地点に新病院を建築し神栖済生会病院を老健施設併設の診療所とする(予算141億円程度) の3つのパターンを示しました。

参考:鹿島労災病院と神栖済生会病院の今後のあり方検討結果報告書
http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/160622kashima.pdf
平成26年の神栖市内の救急搬送件数は3051件で、約半数が市外医療機関、約2割が千葉県内の医療機関に搬送されています。
また、鹿島地方広域消防本部の収容平均所要時間は県内24消防本部の中でも長く、平成26年の収容平均所要時間は50.0分で、県平均41.1分と比較すると約10分近く長くなっています。
●医療難民と化した神栖市民の受療動向
神栖市国民健康保険患者のレセプトデータによると、入院患者については、約70%が市外の医療機関を受療しており、そのうち、約40%は、隣接する千葉県をはじめ県外の医療機関を受療している状況です。
外来患者については、約68%が市内、約32%は市外の医療機関を受療しており、県外(約21%)及び県内市外(約11%)への患者流出がみられます。医療機関別にみると、入院については、国保旭中央病院が最も高い割合(16%)であり、神栖済生会病院と鹿島労災病院が占める割合は、両病院を合わせても15%で、国保旭中央病院に及ばない状況です。
外来については、神栖済生会病院が最も高い割合7%であり、鹿島労災病院は4%となっています。
●低い病院の稼働率
許可病床数に対する病床稼働状況は、鹿島労災病院が約1/3、神栖済生会病院が約1/2となっています。
また、一般病床の病床利用率は、平成26年の全国平均74.8%に対し、神栖済生会病院は44.7%、鹿島労災病院は15.1%であり全国平均の約2割とと極めて低い状況になっています。
この結果、鹿島労災病院は2012年度以降、各年度10億円以上の赤字を計上しています。神栖済生会病院は2014年度、約1億6500万円の赤字を計上しています。
報告者では、両病院の再編統合が不可欠であり、その進め方を提案しています。
・両病院の統合までの鹿島労災病院の経営を改善するとともに、地域医療を担う主体として必要な役割を果たしていくため、病床を101床削減し199床で運営を継続する。
・次に平成30年度目途に、鹿島労災病院が担ってきた鹿島臨海工業地帯で発生する労働災害や職業性疾病に対応した医療機能を(社)恩賜財団済生会に引き継ぐとともに、鹿島労災病院の建物等を(独)労働者健康安全機構から移譲したうえで、両病院の医療機能を分担し機能連携を進める。その前提として、鹿島労災病院職員の円滑な移行、両病院職員の処遇調整、患者情報の引渡しなどの課題整理のためには、再編統合協議会や準備室等を設けて進めていくことが必要。
・その後、平成32年度を目途に、両病院の機能連携を深化させ、新病院等の整備を実施。また、その際、現在の病院所在地域において提供している医療の向上を目指して整備を進めるものとする。
さらに報告書は、両病院の再編の形として、1.神栖済生会病院を新病院として整備し鹿嶋労災病院を老健施設を併設した診療所とする(予算68億〜74億円)、2.鹿嶋労災病院を新病院とし神栖済生会病院を老健施設を併設した診療所とする(予算141億円程度)、3.中間地点に新病院を建築し神栖済生会病院を老健施設併設の診療所とする(予算141億円程度) の3つのパターンを示しました。


http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/160622kashima.pdf