民進党の新聞広告

 「あなたの年金が、危ない。」―。民進党は7月7日付の新聞各紙に、こんな大見出しを付けた広告を載せました。年金積立金の運用で、2015年度に5兆円超の損失が発生したと強調し、国民の不安をあおったものだです。しかし、論拠は脆弱です。
 年金積立金の運用益は、2012年末の自公政権発足から昨年末までで37.8兆円。民主党政権下の4.1兆円を大きく上回っています。今回の“損失”を差し引いても30兆円を超えています。トータルで十分な運用益を確保しており、年金支給額の減少もあり得なません。
 広告では、株式で運用する割合を増やしていることを、ことさら問題視していますが、運用比率がどうあれ、運用益が金融市場の動向で短期的に変動することは当然あり得えます。中長期的な運用益の確保が重要です。
 そもそも、公的年金給付の財源のうち、年金積立金の運用益で賄われる割合は1割程度。今回の広告は、年金財源のごく一部での短期的な損失を針小棒大に取り上げ、年金制度全体が危機に直面しているかのように宣伝しているにほかなりません。
 こうしたやり口に、だまされてはならないと思います。
 民進党の前身の民主党はかつて、公的年金加入者全体の5%程度にすぎない国民年金保険料の未納者の問題を取り上げて「国民年金は破たん状態にある」などと不安をあおり、自公政権の年金制度改革を徹底的に批判した。民進党の枝野幸男幹事長は当時、「政府案(現行の制度)をこのまま押し切ったら、間違いなく破たんして、5年以内にまた変えなければならない」と所長していました。2004年のことです。それから12年、年金は自公政権によって破綻するどころか、150兆円もの積立金を確保しています。
年金運用益の増減