
今回の参院選では、与党の自民、公明両党と憲法改正に前向きなおおさか維新の3党が77議席を確保しました。
その結果、一部マスコミは公明党などを”改憲勢力”と決め付け、今すぐにでも憲法改正の動きが始まるかのように報道しています。東京都知事選に野党統一候補として名乗りを上げた候補も「改憲阻止」を、立候補の動機として語っています。
あたかも安倍政権下で憲法改正の動きが具体化するような報道は、事実なのでしょうか?
憲法改正を国会で発議する時、衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要です。しかし、憲法改正の議論は深まっていないというのが、あらゆるメディアの世論調査の結果です。国会で議論が深まっていないのだから、国民にも憲法の何が問題なのか、何が争点かも分かりません。
憲法改正の議論を進めるためには与党も野党もなく、国会で真剣に議論した上で、国民によく理解してもらいながら進める必要があります。だから、自民党の幹事長も、憲法改正は野党第1党の民進党の理解、協力がなければできないと述べているのです。民進党にはその責任があるし、どういう憲法改正をめざすのかをはっきりさせるべきです。ところが、党内の意見がバラバラでまとめることができない。これでは議論を進めることはできないのです。
共産党は、自衛隊は憲法違反と言い続けています。「では政権を取ったらどうするのか」と聞けば、すぐに廃止はせずに災害時や外国から攻撃を受けた時には命懸けで働いてもらうと、矛盾した筋の通らないことを言っています。自衛隊を動かすなら憲法を改正して合憲にしなければなりません。もし憲法を改正しないというなら、自衛隊法は無効なのに超法規的に働けとなり、それこそ共産党が何度も言う「立憲主義」に反する結果になります。
公明党は現憲法を高く評価、憲法3原則を守りぬく
公明党は日本国憲法について、戦後日本の平和国家としての基礎になったと高く評価しています。
特に、恒久平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義という憲法3原則は、人類が長い時間をかけて獲得してきた普遍的な原則であり、これからもずっと守り続けていくべきだと考えています。
そのうえで、公明党は「加憲」の立場をとっています。 「加憲」とは、憲法3原則を守りながら、時代の進展に伴う新しい考え方・価値観を憲法に加えることです。 時代の経過によって、憲法制定当時に想定していなかった事態が生じて、それに対する対処が必要になってきたときに、いわば足らざるを補うという意味で、憲法に規定を加えることもあるというのが「加憲」という考えの基本です。
日本国憲法第9条第1項、第2項は平和主義を体現した規定であり、これは堅持しなければなりません。ただ、憲法上規定のない自衛隊について、存在や役割を明記したほうがいいという議論もあるようです。昨年、日本国憲法のもとで許される自衛権の限界を、平和安全法制の整備で行なったところです。つまり第9条本体の改正は必要なくなりました。
大事なことは、何を守り、何を変えようとするかであり、改正の必要性や具体的なテーマについて、しっかり議論していくことです。「改憲」か「護憲」かという物差しではなく、「改憲のやり方」や、「何を改憲するか」の議論が大事であると考えています。
改正にあたっては、国会で議論を深め、国民と方向性を共有していくことが重要です。その際、大切な点が二つあります。一つ目は「改正ありき」「期限ありき」ではないこと。幅広い民意を集約した結果としての憲法改正でなくてはいけません。もう一つは、与野党を超えた幅広い政党による合意です。
そもそも、憲法改正が安倍政権で、すぐにで行われるような論調自体が間違っていると思います。
まず、安倍首相が自民党の憲法改正案そのものを、すぐにでも国会で議論しているかのような発言がありますが、これは国民投票法の仕組みを知っていれば、憲法の全面改正はできないことは明白です。
周知の通り自民党の憲法改正草案は、現行憲法の全面改正案です。明治憲法体制、戦後憲法体制に代わる、第3の新憲法体制を打ち立てようという発想、いわゆる自主憲法制定論がその根底にあります。
ところが、2007年に制定された国民投票法は、改正項目ごとに賛否を問う個別投票方式を採用しました。つまり、個別投票方式では、事実上、全面改正が不可能になってしまっているのです。かつて改憲派と護憲派の対立は「自主憲法制定(全面改正)対自主憲法反対・現憲法護持」の対立だったのですが、現行の国民投票法のもとでは無意味なものとなっています。つまり、「自主憲法制定」を前提とした自民党案は、そのままでは現行法上「原案」となりえないと考えるの妥当です。
もちろん一度の改正発議で複数の項目・条文を対象にすることは可能です。しかし、それは個別に賛否を問わなければなりません。一度に国民投票にかける項目数も事実上限定されています。国民投票法案の審議では、3〜5項目とされています。したがって、自民党の憲法改正草案の一部分だけ取り出して「原案」として提出することは可能ですが、草案全体をパッケージにして、マルかバツかを国民投票にかけることはできないのです。
まず、憲法改正のためには「改正項目の確定」と「改正案の作成、提出・発議」という、議論開始の最初のハードルを超える必要があります。現在は、このうち1つ目もクリアしていません。参院選後の憲法改正論議は、文字通り一からのスタートとなるのです。
さらに、安倍総理の内閣が憲法の改正案を国会に提出できると考えている人も多いようですが、これも大きな間違いです。そもそも行政機関の長である内閣総理大臣は憲法を遵守する義務があります。つまり、現行憲法を守らなくてはならない内閣が、憲法改正の「改正項目」や「改正案の作成、提出・発議」はできないということを知るべきです。
ここまでの憲法改正のプロセスを整理すると、
(1) 改正項目の確定:まず、どの条文について改正発議の対象とするのか、を決めなければなりません。各党や憲法審査会で議論が行われるとことになります。
(2) 改正原案の作成〜提出・発議(第一発議):改正項目が決まれば、原案を作成し、審議入りのための発議が行われます。具体的には、「合同審査会」の設立→改正原案「骨子」の作成→憲法審査会への勧告→原案の条文起草→憲法審査会長が原案提出→憲法審査会で審議入りというルート。または、議員の原案提出→衆院100人以上または参院50人以上の賛成での発議→審議入りというルートが考えられます。
(3) 改正原案の審議・修正を経て、国民への改正発議(第二発議):原案は衆参の憲法審査会の審議を経て、本会議に上程されます。衆参の同時審議は許されていません。最終的に衆参それぞれの総議員の3分の2以上が改正案に賛成すれば、国民投票に付されます。
(4) 国民投票:2〜6ヶ月間のキャンペーン期間を経て国民投票が行われまする。有効投票の過半数が賛成すれば、改正となります。
(以下のイメージは自民党の憲法改正草案より引用)
公明党は日本国憲法について、戦後日本の平和国家としての基礎になったと高く評価しています。
特に、恒久平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義という憲法3原則は、人類が長い時間をかけて獲得してきた普遍的な原則であり、これからもずっと守り続けていくべきだと考えています。
そのうえで、公明党は「加憲」の立場をとっています。 「加憲」とは、憲法3原則を守りながら、時代の進展に伴う新しい考え方・価値観を憲法に加えることです。 時代の経過によって、憲法制定当時に想定していなかった事態が生じて、それに対する対処が必要になってきたときに、いわば足らざるを補うという意味で、憲法に規定を加えることもあるというのが「加憲」という考えの基本です。
日本国憲法第9条第1項、第2項は平和主義を体現した規定であり、これは堅持しなければなりません。ただ、憲法上規定のない自衛隊について、存在や役割を明記したほうがいいという議論もあるようです。昨年、日本国憲法のもとで許される自衛権の限界を、平和安全法制の整備で行なったところです。つまり第9条本体の改正は必要なくなりました。
大事なことは、何を守り、何を変えようとするかであり、改正の必要性や具体的なテーマについて、しっかり議論していくことです。「改憲」か「護憲」かという物差しではなく、「改憲のやり方」や、「何を改憲するか」の議論が大事であると考えています。
改正にあたっては、国会で議論を深め、国民と方向性を共有していくことが重要です。その際、大切な点が二つあります。一つ目は「改正ありき」「期限ありき」ではないこと。幅広い民意を集約した結果としての憲法改正でなくてはいけません。もう一つは、与野党を超えた幅広い政党による合意です。
そもそも、憲法改正が安倍政権で、すぐにで行われるような論調自体が間違っていると思います。
まず、安倍首相が自民党の憲法改正案そのものを、すぐにでも国会で議論しているかのような発言がありますが、これは国民投票法の仕組みを知っていれば、憲法の全面改正はできないことは明白です。
周知の通り自民党の憲法改正草案は、現行憲法の全面改正案です。明治憲法体制、戦後憲法体制に代わる、第3の新憲法体制を打ち立てようという発想、いわゆる自主憲法制定論がその根底にあります。
ところが、2007年に制定された国民投票法は、改正項目ごとに賛否を問う個別投票方式を採用しました。つまり、個別投票方式では、事実上、全面改正が不可能になってしまっているのです。かつて改憲派と護憲派の対立は「自主憲法制定(全面改正)対自主憲法反対・現憲法護持」の対立だったのですが、現行の国民投票法のもとでは無意味なものとなっています。つまり、「自主憲法制定」を前提とした自民党案は、そのままでは現行法上「原案」となりえないと考えるの妥当です。
もちろん一度の改正発議で複数の項目・条文を対象にすることは可能です。しかし、それは個別に賛否を問わなければなりません。一度に国民投票にかける項目数も事実上限定されています。国民投票法案の審議では、3〜5項目とされています。したがって、自民党の憲法改正草案の一部分だけ取り出して「原案」として提出することは可能ですが、草案全体をパッケージにして、マルかバツかを国民投票にかけることはできないのです。
まず、憲法改正のためには「改正項目の確定」と「改正案の作成、提出・発議」という、議論開始の最初のハードルを超える必要があります。現在は、このうち1つ目もクリアしていません。参院選後の憲法改正論議は、文字通り一からのスタートとなるのです。
さらに、安倍総理の内閣が憲法の改正案を国会に提出できると考えている人も多いようですが、これも大きな間違いです。そもそも行政機関の長である内閣総理大臣は憲法を遵守する義務があります。つまり、現行憲法を守らなくてはならない内閣が、憲法改正の「改正項目」や「改正案の作成、提出・発議」はできないということを知るべきです。
ここまでの憲法改正のプロセスを整理すると、
(1) 改正項目の確定:まず、どの条文について改正発議の対象とするのか、を決めなければなりません。各党や憲法審査会で議論が行われるとことになります。
(2) 改正原案の作成〜提出・発議(第一発議):改正項目が決まれば、原案を作成し、審議入りのための発議が行われます。具体的には、「合同審査会」の設立→改正原案「骨子」の作成→憲法審査会への勧告→原案の条文起草→憲法審査会長が原案提出→憲法審査会で審議入りというルート。または、議員の原案提出→衆院100人以上または参院50人以上の賛成での発議→審議入りというルートが考えられます。
(3) 改正原案の審議・修正を経て、国民への改正発議(第二発議):原案は衆参の憲法審査会の審議を経て、本会議に上程されます。衆参の同時審議は許されていません。最終的に衆参それぞれの総議員の3分の2以上が改正案に賛成すれば、国民投票に付されます。
(4) 国民投票:2〜6ヶ月間のキャンペーン期間を経て国民投票が行われまする。有効投票の過半数が賛成すれば、改正となります。
(以下のイメージは自民党の憲法改正草案より引用)
