
公明党は、参院選を通して社会保障の充実を強く訴えてきました。
安倍晋三首相は世界経済のリスクなどを踏まえ、消費税率10%への引き上げを2017年4月から19年10月に再延期する方針を示しました。しかし、消費税率10%時の財源を活用する施策も一緒に先送りするわけにはいきません。公明党は、赤字国債に頼ることなく、アベノミクスによる税収増などの成果を生かし、財源を確保して可能な限り実施することをめざします。
中でも、アベノミクスの成果が十分に及んでいない無年金者・低年金者に対する施策として、年金受給資格期間の25年から10年への短縮、低年金者に月最大5000円を支給する「年金生活者支援給付金」の早期実施―を、特に重要な課題として公約としました。さらに、返済不要の学生向け「給付型奨学金」の実現を強く主張してきました。
2017年度から年金受給資格を10年に短縮
参院選に勝利した7月11日以降、こうした公約が早くも実現に向けて動き出しました。
安倍晋三首相は12日、デフレ脱却へ向け、景気を下支えする総合的な経済対策の取りまとめに向けた準備を月内をめどに進めるよう石原伸晃経済財政相ら関係閣僚に指示しました。この中で、20年度の財政健全化目標を堅持する方針を表明。財政措置を伴う施策については麻生太郎財務相と協議するよう求めました。政府は、税収に依存せず、国が政府系金融機関などを通じた低利融資で民間事業を支援する財政投融資を積極活用。リニア中央新幹線全線開業時期の最大8年前倒しや整備新幹線の建設を後押しする方針です。安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けては、保育・介護の受け皿施設整備のほか、年金受給資格を得るための保険料納付期間の短縮、無利子奨学金の拡充なども盛り込むとしました。
無年金対策については、来年度からの実施に向けて準備を行うことになりました。年金の受給に必要な加入期間(受給資格期間)を現行の25年から10年に短縮するためには、必要な財源が650億円掛かると試算されました。政府は2007年の調査に基づき対象者を、当初約17万人と推計していましたが、新たに試算し直した結果、団塊の世代が年金受給者になるなどしたため64万人に増加。必要な国費も当初想定の年間約300億円から倍増しました。
厚生労働省は秋の臨時国会にも関連法案を提出し、既に提出している別の年金制度改革法案と一括で早期に成立させたい方針です。早ければ来年秋から年金の支給が可能となります。
対象となるのは60代前半から厚生年金の一部を受けられる人と、65歳以上の計約64万人です。年金を請求する手続きが必要です。実務を担う日本年金機構の準備にも一定の期間がかかるため、支給開始時期は18年にずれ込む可能性もあります。
受給資格期間の短縮は12年の「社会保障と税の一体改革」では、消費税率10%への引き上げ時に実施すると定められていました。消費税増税の再延期後、いったん実現が不透明になっていましたが、公明党の強い要請で、安倍首相は参院選後に「喫緊の課題だ」として、来年度の実施を表明しました。
給付型奨学金創設に向けて具体的な検討スタート
また同じく11日、安倍首相は記者会見で給付型奨学金について「具体的に検討を進める」と明言。7月4日には、文部科学省の「給付型奨学金制度検討チーム」が初会合を開き、低所得世帯の学生ほど家庭からの援助(仕送りなど)は少なく、現行の貸与型奨学金に頼って学費や生活費を賄っている状況などが報告されました。また、東京大学の小林雅之教授からは、高校卒業後に本当は進学したかった「潜在的進学者」の推計値として「給付型奨学金がもらえたら進学」が5.7万人(保護者調査2013年、4年生大学と短大・専門学校の合計)に上るとのデータが示されました。今後、検討チームは対象や財源、給付方法などの論点を整理し、具体的な制度案の構築を急ぐことになりました。
厚生労働省は秋の臨時国会にも関連法案を提出し、既に提出している別の年金制度改革法案と一括で早期に成立させたい方針です。早ければ来年秋から年金の支給が可能となります。
対象となるのは60代前半から厚生年金の一部を受けられる人と、65歳以上の計約64万人です。年金を請求する手続きが必要です。実務を担う日本年金機構の準備にも一定の期間がかかるため、支給開始時期は18年にずれ込む可能性もあります。
受給資格期間の短縮は12年の「社会保障と税の一体改革」では、消費税率10%への引き上げ時に実施すると定められていました。消費税増税の再延期後、いったん実現が不透明になっていましたが、公明党の強い要請で、安倍首相は参院選後に「喫緊の課題だ」として、来年度の実施を表明しました。
給付型奨学金創設に向けて具体的な検討スタート
また同じく11日、安倍首相は記者会見で給付型奨学金について「具体的に検討を進める」と明言。7月4日には、文部科学省の「給付型奨学金制度検討チーム」が初会合を開き、低所得世帯の学生ほど家庭からの援助(仕送りなど)は少なく、現行の貸与型奨学金に頼って学費や生活費を賄っている状況などが報告されました。また、東京大学の小林雅之教授からは、高校卒業後に本当は進学したかった「潜在的進学者」の推計値として「給付型奨学金がもらえたら進学」が5.7万人(保護者調査2013年、4年生大学と短大・専門学校の合計)に上るとのデータが示されました。今後、検討チームは対象や財源、給付方法などの論点を整理し、具体的な制度案の構築を急ぐことになりました。