7月27日、井手よしひろ県議は熊本県益城町、西原村を現地調査しました。4月に続き2回目の調査となります。今回の調査では、地元の建築士の方、ボランティアの方の協力をいただき、宅地や地盤の崩壊の状況を主に視察しました。
一連の熊本地震では、宅地などが崩れる被害が相次いでいます。このため被災自治体は、宅地の危険性を調べる「被災宅地危険度判定」を進めていて、これまでに12の市町村、あわせて1万9900か所余りで調査が完了しています。
その結果、宅地を囲う「擁壁」が大きく壊れるなどして、2707か所について立ち入りが「危険」と判定されました。立ち入り時間を制限するなど十分な注意が必要な「要注意」も1983か所にのぼっています。
市町村別では、益城町が2111件、熊本市が1137件、西原村が597件となっています。
一方、地盤災害が専門で京都大学防災研究所の釜井俊孝教授が調査した結果、宅地被害は、崖や斜面に土砂を盛るなどして造成した「盛土」と呼ばれる場所で特に大きく、少なくとも熊本市や益城町、南阿蘇村など6つの市町村の広い範囲で確認されています。
釜井教授は「今回の地震では盛り土による大規模な造成地での被害に加え小規模な盛り土も崩れ、被害が拡大した。このような土地は熊本に限らず東京など全国にあり、今後、各自治体は調査をする必要がある」と指摘しています。
益城町では、「ましき野団地」の宅地被害の現場を地元に方のご協力をいただき行いました。
通常住宅団地は、土地を削って平な宅地を作り、その土を低いところに入れて宅地を広げます。前者を「切土」、後者を「盛土」といいますが、地震被害はこの盛土の宅地に顕著に現れます。土地を購入するときには、そこが「切土」なのか、「盛土」なのかを知ることは殆どできません。しかし、同じ団地でも盛土の土地は被害が大きく出ます。ましき野団地でも、約20件程度の住宅に集中的に被害が出ていました。
引き続き、西原村のグリーンヒル河原を現地調査。ここも宅地が崩壊しています。特に問題なのは、戸建ての住宅団地へつながる道路が崩落してしまったこと。そして、この道路が私道であったことです。一昔前は、住宅団地内の道路をそのまま私道として販売することがありましたが、最近では考えられません。しかし、西原村は住宅の建築制限などが全く無く、いわゆるミニ開発が横行しているようで、その延長として団地内の道路を自治体に寄付せず私道のままで残してしまっているようです。現状では、私道を直すだけでも1500万円程度の費用がかかると見積もられています。
こうした宅地や私道は私有財産であり、国や自治体は直接支援の手が届きにくい状況があります。
東日本大震災では、国交省が「造成宅地滑動崩落緊急対策事業」を東日本大震災復興交付金を活用して創設しました。これは、地盤の滑動崩落等により被害を受けた造成宅地において、再度災害を防止するために滑動崩落防止の緊急対策工事に対する支援事業です。一定の条件のもと、国が費用の2分の1を支援するものです。事業主体は市町村であるため、自治体が独自に補助率を高めて実施した地域も多くあります。
国は、一刻も早く支援の枠組みを決定し、被災自治体も住民が復興への具体的な計画を立てられるようにすべきです。