過去10年最低賃金 7月26日、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は、2016年度の最低賃金(時給)の引き上げ幅の目安を、全国平均で3%相当の24円とすることを決めました。目安通りに上乗せされれば、最低賃金は時給822円となります。上げ幅は日給から時給ベースに切り替えた2002年度以降で最大となります。
 最低賃金は企業が従業員に支払わなければいけない最低限の賃金。2桁の引き上げは5年連続で、パートやアルバイトなど雇用者全体の約4割を占める非正規労働者の待遇改善が進みます。
 審議会は所得や物価などの指標を基に都道府県をAからDまでの4ランクに分け、それぞれ引き上げの目安を示しました。東京や大阪などAは25円、京都や広島などBは24円、北海道や福岡などCは22円、青森や沖縄などDは21円となります。
 小委員会の決定を受け、中央最低賃金審議会は近く厚労相に最低賃金引き上げの目安を答申。都道府県の審議会が今後、これを基に地域ごとの最低賃金を決め、10月ごろから順次適用される見通しです。
 小委員会の議論では、労働者側委員が「できる限り早期に全国最低800円を確保し、平均1000円をめざす」とした2010年6月の政労使合意を踏まえ、大幅な引き上げを要求。使用者側は個人消費の伸び悩みや円高に伴う業績悪化への懸念から慎重姿勢を示していましたが、最後は受け入れました。
 都道府県別の2016年度の最低賃金引き上げは、最も高い東京都が25円増の932円、最も低い鳥取、高知、宮崎、沖縄の4県が21円増の714円などとなりました。
 今回の最低賃金引き上げは、過去最大の上げ幅となり、パート収入などの増加につながります。家計にとって朗報です。消費を拡大させ、経済の『成長と分配の好循環』をもたらすことも期待できます。一方で、中小・小規模企業の経営を圧迫する恐れもあるので、生産性向上への支援や取引条件の改善など、十分な目配りをしなくてはなりません。
 最低賃金について公明党は、引き上げを一貫して推進。過去3年間の引き上げ額は全国平均で約50円に上りました。引き続き、最低賃金1000円をめざして全力で取り組んでいきます。