弁護isによる法律相談 公明党などの提案を受けて5月27日に成立した改正総合法律支援法によって、「大規模災害の被災者に対する資力を問わない無料法律相談制度」が7月1日よりスタートしました。これは、熊本地震災害の被災者を支援するために、「法テラス」で無料弁護士相談が受けられる取組です。
 無料法律相談サービス「震災法テラスダイヤル」0120ー078ー309や「法テラス号」による移動無料法理相談が受けられます。

 真夏の日差しが容赦なく照り付ける熊本県大津町の仮設役場前。熊本地震被災者の無料法律相談に応じる「法テラス号」から降りてきた矢野進さんは、「弁護士と話せて良かった」と安堵の表情を浮かべました。
 4月16日未明の本震で大津町は、震度6強の揺れに襲われました。3800戸以上の家屋が被害を受け、町役場も破損しました。地震から4カ月が過ぎた現在も、避難所2カ所に約15人が身を寄せています。
 被災者が直面する法律問題は多岐にわたります。落ちた屋根瓦が隣家を損傷させるといった個人間トラブルに不動産の賃貸借をめぐる紛争など、専門的な知識が必要となる場面は枚挙にいとまがありません。
 矢野さんも震災を機に遺産相続に関する判断を迫られています。役場に相談しても決断に至らず、その足で法テラス号へ相談に来ました。弁護士からの「今回のケースは焦らなくて大丈夫」とのアドバイスに胸をなで下ろしました。
法テラス号 この日、同じく相談に訪れた加賀咲恵さん(仮名)は本震で自宅が半壊。住宅ローン600万円が未返済な上、地震後の大雨被害も重なり、改修には1000万円以上必要となりました。
 弁護士から、預貯金や義援金を残したままローンの減額や免除が受けられる「被災ローン減免制度」を紹介された加賀さん。「やっと光が見えた、制度を利用してみたい」と明るい表情で語っていました。
 被災地では、加賀さんのように「生活再建に向けた支援制度を知らずにいる人が少なくない」(法テラス本部の杉岡麻子扶助一課長)。過去の震災では発災から2、3年後、被災生活の糧となる義援金や支援金を借金返済に充てたがゆえの破産が増えました。義援金などは返済に充てる必要がなく、破産手続きをしても手元に残せるお金です。周知が徹底されていませんでした。
 被災地では義援金の支給も進み、自宅の“応急修理”に入る例が増えてきた。自治体の多くは、本格化する被災者の生活再建に備え無料法律相談を引き続き実施する方針で、関連するトラブルの解決や支援制度の十分な活用へ、「専門家の的確なアドバイスは大きな力になる」と期待は高まっています。
 被災者に寄り添い続ける弁護士や司法書士。今後は土地の境界に関する複雑な紛争も予想されるが、法テラス号で法律相談に当たる有元大弁護士は「被災者支援のモデルをつくる気概で頑張る」と意気込みを語りっています。(法テラスに関する内容は、2016年8月15日付け公明新聞の記事をもとにしました)

 一方、地元熊本弁護士会も、日本弁護士連合会と連携して、無料法律相談を充実させています。熊本地震に関する無料電話相談は、フリーダイヤル0120−587−858で平日10時〜16時行っています。この電話相談は、多くの被災者の皆様からのご相談に対応するために、東京、福岡、大阪などの弁護士会の弁護士の協力を得て実施しています。
 また、熊本県下7か所の法律相談センターで、熊本地震で被災された方及びご家族からの地震被害に関連する法律相談を無料で行っています。相談時間は30分、予約受付電話番号は096−325−0009、必ず事前に電話でご予約ください。