8月29日、井手よしひろ県議ら県議会大規模災害等対策特別委員会は、つくばの国立研究開発法人防災科学技術研究所を訪れ、大型耐震実験施設、大型降雨実験施設、地震座布団などの施設や体験装置を視察すると共に林春男理事長らから、防災科研の様々な取組について聴き取り調査を行いました。
防災科研の目的は、「防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等の業務を実施することにより防災科学技術の水準の向上を図ること」であり、防災科研は「防災科学技術のイノベーションの中核的機関」となることが求められています。
この目的を果たすために、1.災害をリアルタイムで観測・予測するための研究開発、2.社会基盤の強靱性の向上を目指した研究開発、3.災害リスク低減に向けた基盤的研究開発、の3つの研究開発事業を推進しています。
防災科研には、防災に関わる知識やノウハウが集約されています。災害対策の基本が市町村であることを考えると、防災科研のノウハウを活かし、県が市町村と連携しながら茨城の防災体制を再構築する必要性を強く感じています。
また、昨年発生した関東東北豪雨での常総市の事例は様々な教訓を残しています。
特別委員会の答申は、こうしたことを大事にしながら取りまとめていきたいと思います。
【地震ザブトン】
地震ザブトンとは、防災科学技術研究所の強震観測網(K-NET)等で観測された実際の地震波や長周期地震動の想定地震波を再現し、揺れと同期した室内被害映像を見ながら地震動を体験できる小型地震動シミュレーターです。
地震動を体験することにより、地震について正しく理解し、地震災害に備える意識向上に役立てることができます。
体験できる主な地震動は、東北地方太平洋沖地震(平成23年)、新潟県中越地震(平成16年)、兵庫県南部地震(平成7年)、想定東海地震(新宿高層ビル30階・長周期地震動シミュレーション)など14種類です。直下型地震と海溝型地震の違いや長周期型地震の怖さなどを充分に体感することが出来ました。
【大型降雨実験施設】
毎時15〜300ミリの雨を降らせることができる世界最大級の降雨実験施設です。山崩れや土石流、洪水災害などに関する実験を行っています。1時間降水量の日本記録は153ミリ(千葉県・香取、長崎県・長浦岳)ですが、10分間降雨では新潟県・室谷で50ミリという記録があります。1時間当たりに換算すると300ミリということになります。ちなみに水戸市でも、36.3ミリという豪雨を観測しています。
特別委員会のメンバーは毎時300ミリの雨を体験しました。
【大型耐震実験施設】
防災科研では、世界で二番目の大きさの振動台を用いて加震実験を行っています。この振動台のサイズは14.5m×15mで、1970年に筑波研究学園都市施設第一号として開設されました。
なお、2005年4月から兵庫県三木市で、防災科研兵庫耐震工学研究センターの実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)という、世界一の振動実験装置(振動板の大きさ20m×15m)が稼動しています。
参考:防災科学研究所http://www.bosai.go.jp/