多賀消防署開庁式
 9月1日、日立市が整備を進めてきた日立消防本部多賀消防署の新庁舎が完成し、運用が開始されました。9月4日には消防関係者、議会関係者、地元住民代表を招き、開庁式が盛大に挙行されました。同時に施設見学、救急救命訓練も公開されました。井手よしひろ県議も来賓として出席しました。
 多賀消防署新庁舎は、東日本大震災の被害を受けたことや山側道路の開通により、交通事情が変化したことなどを理由に計画されました。平成27年より具体的な工事に着手し、2年の工事期間と7億6200万円の予算を要しました。
 大規模地震災害にも耐えるように耐震構造となっており、3日間継続して発電ができる自家発電装置、耐震性貯水槽などを完備しています。消防機材の大型化に対応できる広々とした車庫や訓練施設、様々な防災講習にも活用できる会議室などを整備しました。鉄筋コンクリート2階建て、敷地面積は3200平米余り、延べ床面積は1700平米余りとなっています。
 開庁式で、小川春樹市長は「市内で人口の最も多い多賀地区の消防、救急、防災の拠点として、『安心・安全のまち ひたち』の実現をめざしてまいります」と挨拶しました。
 なお、多賀消防署の住所は日立市末広町1−1−3、電話番号は0294−34−0119(IP505−5528−4907)です。
多賀消防署開庁式
日立市の救命率は5.5%、救急救命訓練を公開
 開庁式終了後、救急救命訓練が公開されました。日立市消防本部は救急車9台、救急救命士51名で運用されています。昨年(2015年)の救急出動数は8357件、一日平均23件の出動事案が発生しました。出動総数のうち対象者が心肺停止の状況となった事案が220件発生しています。
 従来の救急搬送体制は、できるだけ早く現場に到着して、どれだけ早く病院に搬送するかが問われましたが、現在は、気道確保やAED、医師の電話等での指導のもとの薬剤使用などが認められており、応急救命活動が重要となっています。到着した救急車の中で、一定の救命措置が行われています。日立市では、220件の心肺停止の事例のうち、12件、5.5%が社会復帰できています。全国の平均が1%前後と言われていますので、全国に誇れる救命率です。
 さらに、今年4月1日から日立市、高萩市、北茨城市の県北3市で、日立総合病院から医師を直接、救急現場に搬送する「ラピッドカーシステム」が24時間体制でスタートしました。より一層の救命率向上を目指しています。

ラピッド方式ドクターカー
救急救命士が行える特定行為
 救急救命士は、救急救命士法第2条にて「厚生労働大臣の免許を受けて、医師の指示の下に、救急救命処置を行うことを業とする者」と記されています。救急救命士が行う特定行為とは医師の具体的指示を得た上で救急救命士のみが行える救急救命処置のことを言います。
 現場では無線や携帯電話を活用して直接医師とオンラインで接続し具体的指示を得て特定行為は行われます。これをオンラインメディカルコントロールと言います。
 救急救命士が行う特定行為には、AEDによる除細動、器具を用いた気道の確保、乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保があり、さらに近年の処置拡大で器具を用いた気道の確保に「気管挿管」、アドレナリン投与が認められるようになりました。
 救急の現場で、中々救急車が患者を乗せても出発しない場合があります。早く出発すればよいのに、との声が周囲から漏れることがありますが、救急所の中ではこうした懸命の救命活動が行われているのです。