御岩神社(杜の蜃気楼)
 茨城県の北部地域(県北地域)で今年最大のイベントである「茨城県北芸術祭」が、9月17日スタートしました。11月20日までの65日間にわたり、世界のトップクラスのアーティストや新進気鋭の作家が、県北地域の魅力を十分に活かした作品を展示します。県北地域創生の起爆剤にと、大きな期待が寄せられています。
 県北芸術祭のスタートとなった17日から19日は、敬老の日も含む3連休。あいにくの雨模様の天候でしたが、初めての地域芸術祭としては、3日間で3万人を動員し、まずまずのスタートを切ることができました。
 9月20日、県北芸術祭を所管する県議会総務企画常任委員会が開かれ、井手よしひろ県議は、3日間の県北芸術祭の運営状況を踏まえ、成功に向けての具体的な提案を行いました。

 この3日間で、日立市内24作品、高萩市7作品、北茨城市8作品、常陸太田市10作品を鑑賞しました。合計で49作品を見たわけですが、全体の6割しか見られませんでした。この間の総走行距離は421キロに達しています。日本一の規模で開かれている地域芸術祭ということを改めて実感しています。
 この期間の来場客数は、3万人とされていますが、県外から来場された方が多いことに驚いています。特に、20代、30代の若い方が目立ち、地域の活性化につながると期待できます。
 チームラボが作品を展示している天心記念五浦美術館、東京芸大の日比野克彦さんが実際に制作現場をライブで披露した旧冨士ケ丘小学校、萩のレストランとのコラボが実現した高萩・穂積家住宅、パワースポットとして全国的にも有名になった日立御岩神社の森山茜さん作品など、大変な人気でした。 
高萩穂積家住宅
 半面、気になったことをいくつか指摘いたしました。
  • 県外からの認知度が高まり来場者が多いことは喜ぶべきことですが、反対に地元の県民へのアピールが不足しています。タクシーや旅行業者、飲食店などに、県外から北方が県北芸術祭のことを質問しても、ほとんどわからなかったということです。一般県民からは、「パスポート券がどこで売っているのかわからない」、「全体的に何をやっているのかわからない」、「電車で五浦美術館に行くのは、上野の美術館に行くよりも時間とお金がかかる」、「県北芸術祭というネーミングで、県南に住む私にはまったくピント来ない」といった声も聞かれます。まず、県民向けのアピールをどのように展開するかが第1の課題です。
  • いばキラTVの活用も重要です。内容を紹介することと、アーカイブとしての活用を考えて、しっかりとした取材を望みます。
  • 小中高校生の、特に6市町の教育委員会との連携を図っていただきたい。子どもたちの情操教育、美術教育にはまたとない機会です。常陸多賀の藤浩史さんの展示などは、子供たちにものを大事にする心を育てるのに最も素晴らしい展示です。旧美和中学校の一連の展示群も、子供たちに美術のみならず物理学などへの関心を高めることができると思います。
  • 駐車場の問題がすでに表面化しています。五浦美術館、旧冨士ケ丘小学校、そして御岩神社はパンク状況です。
  • 案内板の見直しを随時行っていきたいと思います。北茨城インターから直接、富士ケ丘小学校に行く案内表示はありません。ラジコンコンポートは地元の人間でもわかりずらい場所にあります。
  • 会場内が滑りやすかったり、ぬかるんでいる場所が多くみられます。穂積家住宅や日立の小貝が浜海岸、廃校となった各学校の駐車場は特に酷く危険です。
  • 会場が暗かったり(穂積家住宅)、階段が急だったり(穂積家住宅)、入口が狭く車いすなどが入れない会場(日立シビックセンタースタジオ)もあります。
  • ボランティアスタッフの待遇にもよく気配をしていただきたい。真っ暗な狭い空間で、塗料が乾ききっていないために、大変つらい思いをされているスタッフいました(常陸多賀旧銀行の金庫、花金ビル3階)。
  • 会場の休館日、開館時間の統一が図れないか(うのしまヴィラ:火・水休館、日鉱記念館:月・祝日休館、麗潤館:火・金休館)。
  • 日鉱記念館は芸術祭の展示物が何処にあったのかわかりませんでした。唯一、素通りしてしまった出口直前のブース、ここが気になっています。誰かわかった方がいましたら教えてください。
  • 展示中止などの情報伝達。(御岩神社、ノアのバスが台風のため展示中止。シビックセンターのスタジオが調整のため展示中断)
  • 総合電話受付(チケットや交通状況)0294-72-1121
  • ダイジェストツアーの状況と周知徹底。

茨城県北芸術祭