クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ
 10月1日から、水戸芸術館で“クリストとジャンヌ=クロード「アンブレラ」日本=アメリカ合衆国 1984-91”展が始まりました。「アンブレラ」は、景観を変貌させる大規模なプロジェクトで世界的に有名な、ニューヨーク在住のアーティス・クリストとジャンヌ=クロード(Christo、1935年生まれ/Jeanne-Claude 、1935年生まれ 2009年没)が、1991年秋に米カリフォルニア州南部と茨城県北地域で実施した「アンブレラ」のプロジェクトです。
 この“一時的なアート作品”では、カリフォルニアの丘陵地帯に1760本の黄色の傘を、茨城県の県北地域には1340本の青色の傘を同時に配置しましあ。一本の傘の大きさは高さ6メートル、直径約8.7メートルという巨大なものでした。18日間の会期中に日本で50万人、アメリカで200万人が鑑賞しました。25年前に開催された「アンブレラ」は、現在日本各地で開催されている地域芸術祭の淵源とも言われています。日傘が置かれた県北地域では、地権者や作業行う人、地域で支援する人、行政関係者など多くの人々がプロジェクトに関わりました。茨城県北芸術祭の開催にあたっても、「アンブレラ展をまたやるのですか」という声が多く聞かれました。
 この展示会は、県北芸術祭の協賛企画として開催され、クリストによるドローイングやコラージュ作品、写真、傘本体ほかの実際に使用された資材、スケールモデルなどが展示され、1991年の「アンブレラ」を振り返ります。
アンブレラ展
クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国 1984−91
水戸芸術館現代美術ギャラリー:茨城県水戸市五軒町1−6−8TEL.029-227-8111
2016年10月1日(土)〜12月4日(日)
9時30分〜18時(入場時間は17時30分まで)
休館日:月曜日 ※ただし、10月10日(月・祝)開館、翌11日(火)休館

アンブレラ展
日本各地を廻ったクリストとジャンヌ=クロード・最後に選んだのは茨城県北の里山の豊かな風景だった
 1991年10月、茨城県北部に1340本の巨大な青い傘が現れました。クリストとジャンヌ=クロードによる「アンブレラ」展です。日米を結んだこの一時的なアート作品、全く同時にアメリカでは黄色の傘が大地を彩り、日米あわせた傘の数は3,100本にのぼりました。
 このプロジェクトのための実施地選びが始まったのは1985年のこと。クリストとジャンヌ=クロードは数回にわたって日本を訪れ各地をまわりましたが、最初の2回の旅ではイメージに合う場所を見つけることはできず、3度目の探索の旅で県北地域の常陸太田市から日立市、里美村(当時)へと続く景観と出会いました。この地は東京にほど近く、豊かな自然が残り、山間の地形が作品のイメージに合っていたことが決め手となったと言います。県北地域の人々に芸術祭のイメージを尋ねると、「アンブレラ」のことを即座に話してくれます。18日間という短い開催期間にもかかわらず、25年を経てなお人々の記憶の中にアートが刻まれ続けています。


「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ」展開催記念講演会・81歳のクリストは創造の意欲にあふれていた!
 10月1日、クリスト本人を迎えて「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ」展開催記念講演会が開催されました。多くのクリストファンが全国から訪れました。井手よしひろ県議も参加しました。会場には、25年前の自治体関係者や地権者やボランティアで参加した人も集まり、同窓会のような雰囲気もありました。
 夫唱婦随で活動したジャンヌ=クロード を2009年に亡くしたクリスト氏ですが、2時間を超える講演を後半はほぼ立ったままで精力的にこなしました。「弁護士や医師には引退があるが、芸術家は死ぬまで芸術家。創作を続けていくのです」と若い参加者に力強く語りかける姿が印象的でした。

茨城県北芸術祭