山口代表の代表質問 9月29日、参議院の代表質問で公明党の山口那津男代表は、国民の多様なニーズを受け止める与党として、「一人一人が輝き、活躍できる社会をめざす」べきと訴えました。特に、山口代表は「家庭の経済事情による教育格差が大きな課題」と強調し、給付型奨学金の創設や、無利子奨学金の成績要件を実質的に撤廃する政府の方針について、確実な実施を要請しました。
 これに対して安倍首相は「給付型奨学金については、2017年度予算の編成過程を通じて、制度内容について結論を得て、実現する。教育費負担の軽減に向けて、スピード感を持って取り組む」と答えました。
 さらに山口代表は、子どもの貧困対策や児童虐待防止策の強化、地域における子育て支援について取り組みの加速化を求めました。
 以下、「教育費の負担軽減」「子育てを地位ぐるみで支える仕組み作り」について、山口代表の質問をまとめました。

教育費の負担軽減さらに【教育格差の是正】
 「成長と分配の好循環」をなぜ強調するのか。それは、成長の好循環だけでは貧困や格差を解消できないからです。特に、未来の宝である子どもたちへの支援は、国の重要な責務です。しかし現実には、家庭の経済事情による教育格差が大きな課題となっています。
 経済状況が厳しい家庭で育った子どもが満足な教育を受けられず、進学や就職のチャンスを失う。そして、自らも貧困に陥ってしまう。こうした「貧困の連鎖」を断ち切らねばなりません。
 そのため、教育の機会均等の確保、特に教育費負担の軽減は、極めて重要です。
 これまで公明党は、奨学金の拡充に力を注いできました。安倍首相は、来年度の給付型奨学金の創設、そして、無利子奨学金も成績にかかわらず必要とする、すべての学生が奨学金を受けられるようにする旨、明言されました。確実な実現を求めます。
 さらに、大学授業料の免除枠の拡大に取り組むとともに、幼児教育の段階的無償化、高校生等奨学給付金の拡充等により、すべての子どもが希望すれば、大学まで進学できる仕組みを構築していくべきです。
 また、学校をプラットフォームとした子どもの貧困対策、学習支援などにも力を入れていただきたい。
 子どもが抱える問題は多様です。きめ細かな学習指導とともに、学校を窓口とした福祉関連機関等との連携を強化するためにスクールソーシャルワーカーの配置拡充など、支援策を強化すべきです。

子育て支援の体制整備【地域ぐるみで支える】
 子育て支援に関しては、保育所等の整備や保育士の処遇改善など強力に推進してきました。しかしながら、まだ待機児童問題は解消されていません。待機児童ゼロへの取り組みをさらに加速化すべきです。
 2014年度中に無理心中以外の虐待で亡くなった子どもは44人。そのうち0歳児が6割以上を占めています。望まない妊娠をした母親が孤立したまま出産し、虐待につながった――残念ながら、こうしたケースは少なくありません。増え続ける児童虐待対策の強化も待ったなしです。
 私は、これまで妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援策を担う日本版ネウボラの全国展開の必要性を訴えてきました。子育てに不安を抱える母親の心を和らげ、それが出生率の増加や児童虐待の防止・減少に確実につながるという確かな効果があります。
 NPO等民間団体との連携の強化を含め、子育てを地域ぐるみで支える体制を整備すべきです。