イメージ 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防止するため、法整備を含めた対策の強化に乗り出します。
 国際オリンピック委員会(IOC)は世界保健機関(WHO)と共同で、2010年から「たばこのない五輪」を推進しています。2012年のロンドン五輪と今年のリオデジャネイロオリンピックでは、受動喫煙の防止策として、法律でレストランなどの屋内は全面禁煙と決めました。日本の対策も国際水準にすべきです。
 厚生労働省が先週示した対策案では、医療機関や学校などは「敷地内禁煙」とし、運動施設や官公庁などは建物内の禁煙を義務付けます。飲食店やホテルなどは原則として建物内の禁煙とし、煙が外に流出しない喫煙室の設置を認めるとしています。
 さらに、喫煙禁止場所でたばこを吸い続けた喫煙者や、受動喫煙の防止策を実施しない施設管理者には罰則も科すことになります。現行法では、多数の人が利用する施設などで、受動喫煙を防止する対策を取らなくても罰則を科せられることははありません。国民の健康を守るために、規制強化をめざす厚労省の姿勢は評価できます。
 受動喫煙を防止するには、何よりも、たばこの煙が深刻な健康被害を招くという認識を深めていくことが重要です。
 今年9月に、15年ぶりに改訂された厚労省の「たばこ白書」によると、喫煙との因果関係が確実にあるとされる病気として、がんのほかに、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病などが挙げられています。毎年、喫煙により約13万人、受動喫煙だけでも約1万5000人が命を落としていると試算されています。国立がん研究センターも、受動喫煙により肺がんになる危険が高まることは「確実」だとする調査結果を公表しました。
 いずれも科学的根拠は明確です。だからこそ、井手よしひろ県議ら公明党は、「受動喫煙防止対策の強化は待ったなしである」と、政府や地方自治体に訴え続けています。
 そもそも今から35年前、受動喫煙と肺がんの因果関係について、世界で初めて報告したのは日本の研究者でした。しかし今では、日本の受動喫煙対策は世界でも「最低レベル」(WHO)だと指摘されている。国民の健康を最優先に考えた対策を急ぐべきです。
茨城県でも受動喫煙対策を強化
 井手県議は、茨城県内でも受動喫煙の対策を強く求めています。
 今年(2016年)3月の県議会公明党の代表質問では、受動喫煙対策として、県管理の公共施設の禁煙化を主張しました。「全ての公共施設で受動喫煙対策を徹底すべきです。特に、国民体育大会を控え、スポーツ施設は全面禁煙を強く提案をします。県立カシマサッカースタジアム、笠松運動公園を初めとする県営の施設は、この機会に全面禁煙を決断すべきだと提案します」と述べ、橋本知事に対応を質しました。
 知事は、「県では施設の禁煙認証制度を設けており、平成27年9月末現在で、建物内禁煙施設が4348件、敷地内禁煙施設が1149件、合計で5497件認証しているところであります。県営スポーツ施設につきましては、敷地内禁煙が受動喫煙対策として最も有効な手段ではありますが、現在は利用者のさまざまなニーズにこたえるための対策として、笠松運動公園を初め、10施設中、県立カシマサッカースタジアムを除く9つの施設において建物内禁煙とし、建物の外の敷地に喫煙スペースを設けることにより、受動喫煙の防止に努めているところであります。県立カシマサッカースタジアムにつきましては、観客席スタンド内は禁煙となっており、コンコース内の喫煙スペースで喫煙が可能となっておりますが、他の施設同様に、まずは建物内禁煙としてまいります。今後の対応につきましては、各施設とも建物の外の喫煙スペースについても最低限にとどめることにより受動喫煙の防止に努めながら、将来的には全施設とも敷地内禁煙を含めた検討を進めてまいりたいと考えております」と答弁しました。
参考:「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135586.html