万が一に備えルール見直し将来の給付低下防ぐ
質問する伊佐進一議員 年金額改定ルールの見直しが盛り込まれた国民年金法改正案の審議が、11月1日から国会で始まりました。民進党などの“年金カット法案”との批判は、“国民に不安と誤解を与える内容”です。将来の給付水準が低下しないよう、万が一、賃金が物価以上に下落した時には賃金に合わせた年金額にするというルール見直しの趣旨を踏まえ、冷静な議論が必要です。
 今回のルール見直しの背景は、近年、デフレ下で物価も賃金も共に下落する事態が生じたにもかかわらず、なるべく年金額を減らさないようにしてきたため、現役世代との間で、相対的に年金額が上がる現象が生きたことにあります。自公連立政権として、今後こういったことが起きないよう経済運営をしっかりやっていくことが何より大事です。その上で、世代間の公平性や将来のことを考え、賃金が物価以上に下がるような場合に、新改定ルールを導入しようととするものです。

 11月1日、この問題で公明党の伊佐進一議員が質問に立ちました。見直しは、決められた財源(保険料収入、国庫負担、積立金)の範囲内で給付を賄っている年金制度の長期的な安定が目的。年金の支え手である現役世代の賃金が下がった場合、それに見合った給付とすることなどを定めています。
 伊佐議員は、過去の賃金下落時に年金の給付水準が維持されたことで、将来世代の給付水準が下がる恐れが生じていることに言及。今回の改正は「将来世代の年金が目減りしないようにするものだ」と力説しました。
 また、デフレ下の年金財政安定や世代間公平の確保は、民進党の前身・民主党の政権下で2012年に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」でも課題に挙がっていたと指摘。「民進党などが“年金カット法案”とレッテルを貼る今回の見直しは、この大綱を踏まえた民主、自民、公明の3党合意で既に共有された問題意識に対する措置ではないか」と主張しました。
 これに対して、塩崎恭久厚生労働相は「法案は(大綱の)問題認識を解決するものだ」と述べました。
 さらに伊佐氏は、見直しは「将来の不測の事態に対する備えだ」とした上で、賃上げを含む経済対策との「車の両輪」で進めるよう訴えました。安倍晋三首相は、あらゆる事態に備えることで「若い世代が安心して今の高齢者を支えることができる」と述べるとともに、経済再生に全力を挙げる考えを示しました。
無年金者64万人救済、受給資格期間短縮法案が衆院通過
公明主張で前倒し実施、加入期間を25から10年に短縮

 一方、無年金者対策として、年金の受給資格を得るのに必要な加入期間を25年から10年に短縮するための年金機能強化法改正案は、1日の衆院本会議で全会一致で可決されました。改正案は、参院審議を経て今国会で成立する見通しとなりました。
 改正案は、消費税率10%への引き上げ時に予定していた受給資格期間の短縮を来年8月施行に前倒しするものです。対象者は約64万人。成立すれば来年10月から支給が始まります。また、大幅な期間短縮は、将来、無年金となる人を減らす効果も期待できます。
 公明党は、かねてから受給資格期間の短縮を主張。その結果、2012年の社会保障と税の一体改革で、消費税率10%への引き上げとの同時実施が決まりました。
 来年4月に予定されていた税率引き上げが2019年10月に2年半延期されたことを受け、公明党は、低所得の高齢者などへの対策は急務だとして、前倒し実施を訴えていました。