小田木真代高萩市長に要望
 11月14日、井手よしひろ県議は、地元の今川敏宏市議、菊地正芳市議とともに、小田木真代高萩市長を訪ね、県北芸術祭の今後の展開について要望書を提出しました。
 11月20日までの会期で開催されている茨城県北芸術祭。高萩市内では3つの会場で7作品が展示されています。常磐道・高萩インターチェンジにほど近い、県指定有形文化財の古民家「穂積家住宅」では、伊藤公象さんの作品が日本庭園の数カ所に配置されています。「多軟面体」と呼ぶ有機的なフォルムを持つ陶造形約3000個が太陽の光や雨にぬれるなど自然とともに変わる表情を見せてくれています。高戸海岸には、世界的に有名な現代アートの巨匠イリヤ&エミリア・カバコフさんの作品「落ちてきた空」が、異彩を放っています。縦横11メートルの巨大なキャンパスに描かれた雲が浮かぶ青空が砂浜に突き刺さっているイメージです。高戸海岸の北側、小浜には“キモかわいい”彫刻が。巨大な巻き貝から大きな指がのぞいています。美しい海岸とアンバランスな作品が妙に印象に残ります。
 このように高萩市の作品群は、個性的な作品が多く、海側と山側を結ぶ交通の結節点となっているために、多くの観光客を迎えています。穂積家住宅に設けられた季節限定のレストラン「萩の茶屋」の人気も高く、県北芸術祭の評価は高まっています。
 半面、高萩駅前などの中心市街地に作品の展示会場がないために、まちなかを回遊する鑑賞客が少ないのが残念な点です。
高萩市内の作品
 井手県議らは、県北芸術祭を3年一度トリエンナーレ形式で開催し、高萩市独自の企画を充実させるべきと提案しました。そのためにも、担当部署を明確にし、専任の職員や地域おこし協力隊のような人材を配置すべきと指摘しました。小田木市長は、「定期的に開催することは賛成。県や実行員会との連携をさらに強化し、高萩の魅力を市民が十分に発信できる芸術祭としたい」などと答えました。
 高萩市が小学校での参加作家の出前授業や作品を鑑賞する校外授業を、積極的に行ったことを井手県議らは高く評価。小田木市長は「子どもたちに世界の一流の作家や作品に触れさせることは、とても意義あること。できれば、子どもたちの作品の発表の場も作ってあげたかった」と語りました。
 最後に、穂積家住宅の伊藤公象先生の作品を、新しい高萩市役所のシンボルとして設置してはどうかとの提案には、「作家の十分に尊重しながら、今後具体的に検討していきたい。費用の面も含めて、議会などと相談しながら決めたい」としました。

<要望事項>
  1. 茨城県北芸術祭を継続的に開催するよう県に求めること。
    • 3年毎に開催するトリエンナーレ形式とすること。
    • 次期開催は茨城国体の開催も鑑み、4年後の2020年とすること。
    • 茨城県北芸術祭2020は東京オリンピック文化プログラムの一貫として開催すること。
  2. 次回の茨城県北芸術祭の開催にあたっては、県・実行委員会との連携を強化すること。高萩市に専属の部門・職員を配置し、継続的な芸術祭活動を継続すること。地域おこし協力隊などを活用して、地域毎の独自性を活かした活動を行うこと。
    • 会場のバリアフリーを徹底し、高齢者や障がい者にも優しい芸術祭とすること。
    • 各自治体に最低ひとつは目玉(アーティスト、企画、話題性、流行など)をつくること。
    • 地元(地元アーティスト、住民、地域)の主体的参加と、アーティストとのコラボレーションを図ること。
    • アートと地域おこしのバランスを図ること(地域おこしの視点を嫌うるアーティストもいると思われる)。
    • 地域、場所の特性を活かしたテーマの設定を行うこと。
    • 若手アーティストの活動拠点や住居の提供などを積極的に行い、芸術家が集うまちづくりを推進すること。
    • 地域の伝統的なイベントと芸術祭の連携を図ること。
  3. 財源については、公的補助金を拡充すること(アーティスト、地域企画、会場を対象に)。
    • 民間企業等(個人事業主、個人店舗等を含む)のスポンサー募集をさらに積極的に行うこと。
    • ふるさと納税の使途として設定することを検討すること。
    • 会期中は有料施設以外の無料会場での募金(ドネーション)を検討すること。
  4. 芸術祭事業全体のプロデュースを、プロポーザル化、コンペティション方式導入し、実行委員会設置などで発想の自由化を検討すること。
  5. 開催時期に関しては、地域により最適時期を検討し、同時開催、分割開催なども検討すること。
  6. 茨城県北芸術祭2016の経済波及効果などについては、詳細な調査を行い市民への説明責任を果たすこと。(来場者について、地元以外からの来客がどのくらいあるのか、どれくらいを目標とするかなど)
  7. 穂積家住宅の伊藤公象氏の作品については、市役所新庁舎への恒久展示などを交渉、検討すること。
  8. 県北芸術祭のような広域的なイベントの開催、県北地域の振興のために、国道118号線の整備、海側との肋骨道路整備を国、県に強く求めること。