11月25日、井手よしひろ県議と舘野清道日立市議は、茨城県北芸術祭の継続開催を求める要望書を、小川春樹日立市長に提出しました。
今回の県北芸術祭では、工都日立の新たな魅力を全国に発信できました。改善すべきことが多々ありますが、とにかく次回開催の明確な目標を定め、具体的な芸術祭運動を、スタートすることが重要です。
県北芸術祭の玄関口として、新たな魅力を全国に発信した日立市
11月20日に閉幕した県北芸術祭で日立市内は、JR日立駅や常陸多賀駅を中心に、8会場で計25作品が展示されました。
工業都市・日立市を築き日本の発展の礎となったいた壮大な時間と歴史に重きを置きながら、自然と共存する作品、参加者も一緒に体験できる作品が人気を博しました。
日立駅前は、県北芸術祭の玄関口として、その役割を果たしました。妹島和世さんの設計したJR日立駅は、ダニエル・ビュレンさんの虹色のアートで包まれ、芸術祭を訪れた人々を歓迎しました。シビックセンターには、テア・マキパーさんの「ノアのバス」や米谷健+ジュリアさんの「クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会」など、ユニークなメッセージ性の強い作品が集まりました。
日立市の山側では、パワースポットとしても人気が高い御岩神社。鳥居をくぐると、参道を囲むように杉林が立ち並び、神聖な空気に満ちています。ここに、森山茜さんのインスタレーション「杜の蜃気楼」を展開されました。極薄のフィルム6000枚を使い、幅3メートル、奥行き24メートルもの立体。風や陽の当たり方によってキラキラとひかり、サワサワと音を奏でます。この御岩神社の人気は凄まじく、土日は常に駐車場が満車状態で、県道の渋滞が発生しました。
本山(もとやま)地区の日鉱記念館は、多くの来館者から「こんな素晴らしい博物館が日立にあったことは知らなかった。日本の近代産業の歴史が凝縮された施設だ」との高い評価いただきました。
一方、海側ではうのしまヴィラの「やどかりに“やど”をわたしてみる」というヤドカリの生態展示は、日立の海の素晴らしさと相まって、多くの観客に感動を与えました。
常陸多賀駅前商店街では空き店舗を活用して、9組の作品が隣接し集中的に楽しめました。地域とアートが融合した空間が現出しました。旧銀行の2階には、ビニールやプラスチック素材を使って商品開発を行う架空の会社。藤浩志さんの「ポリプラネットカンパニー」が現出しました。スーパーニットクリエーターの力石咲さんは、
多賀の街をオレンジ色のニット(毛糸)で編み包む作品に挑戦しました。旧銀行近くの多賀パルコでは、和田永さんが、地域で集めたブラウン管テレビや扇風機などを楽器に変えて、異次元の音楽を奏でました。11月19日には、半年余り地域のサポーターと共に作り上げたパフォーマンスを披露するライブを、日立シビックセンターで行い、爆発的に盛り上がりました。
日立の活性化のために、地域の特性を活かした芸術祭を指向
井手県議らは、茨城県北芸術祭を継続的に、トリエンナーレ形式で開催すること。次回開催は茨城国体の開催も鑑み、4年後の2020年とすることを小川市長に求めました。その上で、まちなか企画を充実させ、日立銀座地区、常陸多賀地区、大甕地区など回遊性の高い企画を展開すること。十王地区での作品展示を実現させることなどを求めました。
小川市長は、「日立も皆さんにも芸術祭を楽しんでいただけました。終わってみると、何かさびしい気もします。十王地区や大甕地区、久慈浜地区なども地域の魅力を活かした展示企画などを展開したい」と語りました。
まとめに、井手県議は、日立市に専属の部門・職員を配置し、継続的な芸術祭活動を行うことを提案。新たに地域おこし協力隊などを活用して、地域毎の独自性を活かした活動を行うべきと訴えました。
<要望事項>
- 茨城県北芸術祭を継続的に開催するよう県に求めること。
- 3年毎に開催するトリエンナーレ形式とすること。
- 次期開催は茨城国体の開催も鑑み、4年後の2020年とすること。
- 茨城県北芸術祭2020は東京オリンピック文化プログラムの一貫として開催すること。
- 次回の茨城県北芸術祭の開催にあたっては、県・実行委員会との連携を強化すること。日立市に専属の部門・職員を配置し、芸術祭活動を継続すること。地域おこし協力隊などを活用して、地域毎の独自性を活かした活動を行うこと。
- まちなか企画を充実させ、日立銀座地区、常陸多賀地区、大甕地区など回遊性の高い企画を展開すること。十王地区での作品展示を実現させること。
- 人気の高かった山の企画(御岩神社)、海の企画(うのしまヴィラ、小貝が浜海岸)を一層充実させ、きららの里や国民宿舎鵜の岬との連携を強化すること。
- 日立市在住の現代アートの作家との連携を強め、日立市全体でアートの祭典を行うこと。
- 地域の伝統的なイベントと芸術祭の連携を図ること。日立風流物の日立シビックセンター新都市広場での4基同時公開を行うこと。
- JX金属(日鉱記念館)や日立製作所の産業遺産群を活用した作品展示を行うこと。 茨城大学や全国の芸術系大学との連携を強化すること。若手作家のアトリエや住居、展示場所を空き店舗・空き家などに確保し、継続的な芸術・文化の交流拠点とすること。
- 田中信太郎、妹島和世など日立市出身の作家の作品展示を充実させること。松本美枝子、松井靖果など地元出身の若手作家の発表の機会を拡大すること。
- 製造業者などにも作品制作、発表を呼びかけ、製造業の街・日立らしい企画を検討すること。
- 会場間の公共交通機関による移動性を確保すること(無料周遊バスなどの運行)。
- 会場のバリアフリーを徹底し、高齢者や障がい者にも優しい芸術祭とすること。
- 茨城県北芸術祭2016の経済波及効果などについては、詳細な調査を行い市民への説明責任を果たすこと。