がん予防の柱として、「検診率の向上」とともに「がん教育」も注目されています。
 文部科学省は来年度(平成29年度)から、がんに対する正しい知識と命の大切さの理解を深めるため、小・中・高校でのがん教育を全国展開する方針です。子どもたちの身を守ることはもちろん、受診率向上への効果も期待されます。外部講師が関わったモデル事業の中では、教育を受けた子どもの90%近くが「保護者に検診を勧める」とのアンケート結果も出ています。
 学校での がん教育を開始してから大人の検診受診率が上がったとの自治体の報告もあります。
 今後は、難治性のがん対策や、職場と学校での教育が焦点です。国や自治体での取り組みが着実に前進するよう、努力しなければなりません。
医師や患者本人(家族)など外部講師によるがん教育が効果的
 来年度からの児童生徒への「がん教育」を前に、文科省は3年前から全国で「がん教育推進のためのモデル事業」を展開していますが、今年度は24道府県と2政令市で実施され、「がん教育」実施校は137校にのぼります。
 他の都府県は独自の予算で実施しているとのことで、今年度初めて、全都道府県でがん教育(数は1校だけの県もありますが)が実施されていることになります。準備は着々の感があります。
 また、がん教育を実施した137校の内の7割強が、医師やがん経験者など外部講師による授業とのことです。首都圏の某県は25校全部が教師による授業で、ここが外部講師を活用していれば、9割以上が外部講師活用になったといわれています。
 外部講師の活用は、1.医師等への信頼感から、がんを正しく知ると同時に、健康といのちの大切さに改めて気づく、2.医師等は教師にない臨場感と説得力をもって話せるので、児童生徒の心(いのち)にしみ込む、3.医師等からがん検診の重要性を聞くと、親に検診を勧める(実証済み)、4.患者さんへの偏見等がなくなり、真正面からがんを考えられるようになる、などがあげられます。
 がん教育のポイントは「外部講師の活用」です。
参考:日本対がん協会のがん教育教材https://www.youtube.com/channel/UCMi-HSY-cf6Ofb1ya6LUQDg