水戸市の上空から
動物愛護など保健所の業務も水戸市に委譲
 12月12日、水戸市の高橋市長は、きめ細かな住民サービスを実施するため、保健所の設置など県から事務権限が移譲される「中核市」について、4年後の平成32年(2020年)の移行を目指す計画を、開会中のみと市議会で明らかにしました。
 中核市は、人口が20万人以上の自治体を要件として、保健所の設置をはじめとしたさまざまな事務権限が都道府県から移されるもので、水戸市は「特色をいかした、自立したまちづくりのため」として、県内で初めてとなる中核市への移行を目指しています。
 高橋市長は、平成31年3月に中核市移行の議案を市議会に提出し、県の同意などの手続きを経て、平成32年4月の移行を目指す計画を示しました。
 また、移行に伴う財政負担について、当初は保健所の設置などに合わせておよそ23億円、移行したあとは、年間で11億円余り歳出が増えるものの、電源立地交付金や、移行後に増額される国からの交付金でまかなえるとして、財政の負担にはならないという見通しを示しました。
 高橋市長は、「保健所では専門職が配置され、総合的な保健衛生行政の拠点を形成することにより、より効果的に事業を推進することが可能となる。職員の能力向上や都市のイメージアップなど、幅広い効果を発揮できる」と述べました。
 「中核市」は、都道府県からさまざまな事務権限を移譲される制度で、去年、対象となる要件が緩和されて「人口30万人以上」から「20万人以上」になりました。
 移行に伴い茨城県から移譲される項目は1920に上り、その半数近くは保健所に関する事務、次いで、民生行政、環境保全行政に関するものです。
 例えば、不妊治療費の補助の申請は、現在は県と市にそれぞれ申請することが必要ですが、「中核市」に移行したあとは、手続きを市の窓口だけで行うことができるようになります。
 また、民生委員の配置についても、市独自の基準で配置できるようになり、地域ごとの世帯に配慮することができるようになるということです。
 現在、県が所管している保健所の機能も水戸市に移管されます。飲食店・興行場・旅館・公衆浴場の営業許可、墓地・納骨堂又は火葬場の経営の許可、診療所・助産所の開設許可、動物愛護や管理に関する事務(動物の愛護及び管理に関する法律、狂犬病予防法関係)などを水戸市が行います。新たに、水戸市が保健所を設置する必要があります。医師や保健師などの専門職の計画的な確保が不可欠であり、なかでも獣医師は全国の自治体で人手不足が課題になっています。
 全国には47の「中核市」があります。「中核市」への移行によって行政としての権限が広がるものの責任も増えることになり、限られた職員で新たな事務作業を担いながら、魅力あるまちづくりをどのように進めていくのかが問われることになります。
 茨城県内では、つくば市も中核市に移行する要件を満たしています。

中核市に委譲される主な業務
  • 身体障害者手帳の交付(身体障害者福祉法関係)
  • 社会福祉施設(保育園・特別養護老人ホームなど)の設立認可・指導監査
  • 保健所の設置を通じて、
    飲食店、興行場、旅館、公衆浴場の営業許可(食品衛生法、旅館業法、興行場法、公衆浴場法関係)
    墓地、納骨堂又は火葬場の経営の許可(墓地、埋葬等に関する法律関係)
    診療所、助産所の開設許可(医療法関係)
    動物愛護や管理に関する事務(動物の愛護及び管理に関する法律、狂犬病予防法関係)
    浄化槽の保守点検業の登録(浄化槽法関係)
  • 市街化区域又は市街化調整区域内の開発行為の許可(都市計画法関係)
  • 都市計画施設又は市街地開発事業の区域内における建築の許可
  • 土地区画整理組合の設立認可
  • 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築及び維持保全計画の認定(建築基準法関係)
  • 産業廃棄物処理施設の許可・監督(産業廃棄物処理法関係)