東京都の私立高校授業無償化
4月から年収760万円未満の世帯を対象に
 1月16日、東京都は、私立高校に通う生徒のいる家庭の経済的負担を軽減するため、2017年度から世帯年収約760万円(目安)未満の世帯の授業料負担を実質無償とすることを決めました。高校授業料の公私立間格差の是正が狙いです。小池百合子知事が記者団に明らかにしました。入学支度金貸付事業(無利子)の貸付額も20万円から25万円に引き上げるとして、合わせて来年度予算案に80億円が計上されることになりました。
 都立高校授業料は、年間11万8800円(2016年度)であるのに対し、都内の私立高校の平均授業料は年間44万2000円(16年度)に上ります。現在、都は私立高校について年収910万円(目安)未満の世帯を対象に、国の就学支援金(所得制限あり)に加え、世帯年収に応じて上乗せされる都独自の授業料軽減助成金(特別奨学金、所得制限あり)を実施しています。
 都は2017年度から、都の助成金を増額することで、世帯年収約760万円(目安)未満の世帯が、国の就学支援金と合わせて計44万2000円を受け取れるようにします。都によると、対象となる私立高校の生徒は約5万1000人です。
 都議会公明党の東村くにひろ幹事長(都議選予定候補=八王子市)は、都庁で都の方針について、「公明党の主張を受け止めたもの」と評価しました。
 その上で「家庭の経済状況によって子どもの教育の機会が奪われてはならない」とし、教育への“投資”の重要性を強調。「今後、世帯年収910万円未満まで引き上げたい」と述べました。
茨城県の私学助成制度
私立高校授業料の無償化は教育格差拡大に繋がってはならない
 東京都が私立高校の授業料の実質無料化に舵を切ったことはたいへん素晴らしいことです。しかし、本来教育には地域の格差があってはならないと思います。東京都のこの制度は、東京都に住んで、東京都内の私立高校に通っている生徒が対象です。当然ながら、隣県の神奈川や埼玉、千葉県から都内の私立高校に通っている生徒の家庭は対象外です。
 早速、井手よしひろ県議は茨城県の私学振興室に、東京都の無償化スキームを調査の上、必要な予算額の試算を要望しました。茨城県の私学の平均授業料は30万1000円。東京のそれより14万円以上も低くなっていますので、必要な額はかなり圧縮できると推測されます。
 ただ、数億円規模に上ることは確実であり、限られた予算をどのように使うかといった優先度を考えと、例えば小児マル福制度の拡充に投資すべきとの考えもあります。
 東京都が一石を投じた高校無償化が国の制度として認められることを強く望みたいと思います。