イメージ  自由貿易体制が揺らぎを見せる今、日本が国際社会で果たすべき役割は非常に大きくなってきています。  イギリスの欧州連合(EU)離脱や米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱の背景に、自国産業を優先する保護主義の台頭が指摘されています。第2次世界大戦後、自由貿易体制の下で経済発展を遂げてきた日本にとって注視すべき動きです。  世界経済に与える影響も懸念されています。経済がグローバル化する中では、自国だけの利益を求めるのではなく、自由・公正なルールに基づくウィン・ウィン(相互利益)の関係を構築することが、世界経済全体の成長に欠かせないからです。その意味で、関係国間で関税の撤廃や取引ルールの統一を図り、モノやサービスが自由に往来できるようにする自由貿易とは対照的な保護主義に、警鐘を鳴らしておく必要があります。  1929年の世界恐慌後、主要国は貿易を縮小する「ブロック経済」体制を敷いて保護主義的な政策を講じました。これが世界大戦の一因ともされています。2国間での報復的な関税措置の応酬が激しくなった結果、それまで続いた自由貿易体制は大打撃を被ったのです。
 戦後、各国は保護主義の反省から、自由貿易体制を強化し、今では北米自由貿易協定(NAFTA)などの経済連携の枠組みが形成されています。  まして、インターネットの普及により、電子商取引や知的財産権に関する新たなルールづくりも要請されている時代です。21世紀型ルールを盛り込んだTPPは、今後の通商交渉における新たなモデルになるはずです。世界3位の経済大国である日本は、TPPを巡る交渉過程の中で得られた成果を基に、多国間の経済連携を進めていくべきです。  1月25日の参院代表質問で公明党の山口那津男代表は、「わが国にとって、貿易や投資の自由化・円滑化を進める経済連携協定の締結は極めて重要だ」と訴えました。トランプ米大統領はTPP離脱を決めました が、安倍晋三首相は、早期に首脳会談を開き、自由貿易の価値を強く訴えるべきです。日本はもちろん、世界が成長する源泉こそ自由貿易体制であることを、重ねて強調しておきたいと思います。