
食べられるのに、食品がムダに廃棄されてしまう「食品ロス」。循環型社会構築、資源の有効利用、貧困家庭の支援などの観点から、食品ロス削減への取り組みは重要です。
国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の食品生産量の約3分の1に当たる年間約13億トンが廃棄されているといいます。2010年の農林水産省による推計では、日本の食品廃棄物は年間約1700万トンです。そのうち、まだ食べられるのに廃棄され「食品ロス」と呼ばれるのは632万トン。外食産業やスーパーなどから出る事業系と家庭系が半々といわれています。また環境省の調査では、学校給食で児童・生徒1人当たり年間約17キログラムの食品廃棄物が発生し、うち7.1キログラムが食べ残しだったといいます。
昨年(2016年)4月に新潟市で開かれたG7農相会合でも、食品ロス削減についての各国の協力強化が共同宣言の「新潟宣言」に盛り込まれ、国際的にも重要な課題になっています。
問題の重大性に公明党は2015年12月、党内に「食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)」を設置しました。座長は竹谷とし子女性委員会副委員長(参院議員)、高木美智代同副委員長(衆院議員)が顧問を務めています。
PTは、先進的な取り組みをしている自治体やボランティア団体から話を聞くとともに取り組みの現場を調査、関係機関や識者にも話を聞いた上で、「食品ロス」ゼロをめざした政府挙げての取り組みを求める提言を取りまとめ、2016年5月18日には首相官邸を訪れ、菅義偉官房長官に手渡しました。
提言は、食品ロス削減の国民運動を広げるため(1)削減目標や基本計画の策定(2)推進本部の設置(3)担当大臣の明確化による国の司令塔機能強化(4)食品ロス削減に貢献した事業者などへの表彰――を提案、そのために「食品ロス削減推進法」(仮称)の法整備を求めています。
2月2日、公明党食品ロス削減推進PTは、参院議員会館で食品ロス問題専門家の井出留美さんの講演を聞き、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減推進のための法整備に向けて意見を交わしました。
席上、井出さんは日本で食品ロスが年間632万トン発生していることを踏まえ、「リデュース(廃棄物の発生抑制)の取り組みが最優先すべきこと」と強調。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」でも、2030年までに世界の食料廃棄を半減させる数値目標が定められているとし、国民の意識啓発の必要性を語りました。
その上で井出さんは、消費者が正しい賞味期限の理解や食品選択に関する教育を受ける重要性を指摘。製造業に対しては需要予測に基づく生産量調整の推奨や、小売が製造業に課す、納品できなかった場合の“欠品ペナルティー”などの商習慣改善について考えを述べました。
意見交換では、未利用食品を必要とする人に届けるフードバンク活動への支援のあり方などを議論。竹谷座長は「法整備や、さらなる普及啓発に向けて全力で取り組む」と語りました。

《恵方巻き商法》も見直しませんか!
こうした取組が進む中、コンビニを中心とする食品販売業者への批判も高まっています。その典型が“恵方巻き商法”です。恵方巻きは、節分の日に縁起が良いと言われる方角(恵方)を向いて、太巻き寿司を願いを込めながら無言で食べるという、風習です。
そのルーツは、大正初期に、大阪の花柳界で、節分の時期にお新香を巻いた海苔巻きを恵方に向かって食べ、縁起を担いでいたことといわれています。戦前には、大阪鮓商組合が「節分の日に丸かぶり 〜この流行は古くから花柳界にもてはやされていました。恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其の年は幸運に恵まれる」と書いたチラシを配布しました。当時のチラシが「本福寿司」(大阪中央区)に残っているとされています。
こうした地域の風習が全国的に広まったのは、コンビニの販売戦力によります。1983年、ファミリーマートが大阪と兵庫で販売開始。1989年には、セブンイレブンが広島で恵方巻きの販売開始し、翌年より販売エリアが全国に拡大、95年には関西以西の地区、98年には全国エリアで販売するようになりました。
一方、恵方巻きは節分の日に販売仕切らなくてはならないために、店舗やバイトへのノルマや、売れ残りの大量廃棄が問題視されています。
今日現在、多くの廃棄される恵方巻きの写真がSNSなどに掲載されています。
席上、井出さんは日本で食品ロスが年間632万トン発生していることを踏まえ、「リデュース(廃棄物の発生抑制)の取り組みが最優先すべきこと」と強調。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」でも、2030年までに世界の食料廃棄を半減させる数値目標が定められているとし、国民の意識啓発の必要性を語りました。
その上で井出さんは、消費者が正しい賞味期限の理解や食品選択に関する教育を受ける重要性を指摘。製造業に対しては需要予測に基づく生産量調整の推奨や、小売が製造業に課す、納品できなかった場合の“欠品ペナルティー”などの商習慣改善について考えを述べました。
意見交換では、未利用食品を必要とする人に届けるフードバンク活動への支援のあり方などを議論。竹谷座長は「法整備や、さらなる普及啓発に向けて全力で取り組む」と語りました。

《恵方巻き商法》も見直しませんか!
こうした取組が進む中、コンビニを中心とする食品販売業者への批判も高まっています。その典型が“恵方巻き商法”です。恵方巻きは、節分の日に縁起が良いと言われる方角(恵方)を向いて、太巻き寿司を願いを込めながら無言で食べるという、風習です。
そのルーツは、大正初期に、大阪の花柳界で、節分の時期にお新香を巻いた海苔巻きを恵方に向かって食べ、縁起を担いでいたことといわれています。戦前には、大阪鮓商組合が「節分の日に丸かぶり 〜この流行は古くから花柳界にもてはやされていました。恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其の年は幸運に恵まれる」と書いたチラシを配布しました。当時のチラシが「本福寿司」(大阪中央区)に残っているとされています。
こうした地域の風習が全国的に広まったのは、コンビニの販売戦力によります。1983年、ファミリーマートが大阪と兵庫で販売開始。1989年には、セブンイレブンが広島で恵方巻きの販売開始し、翌年より販売エリアが全国に拡大、95年には関西以西の地区、98年には全国エリアで販売するようになりました。
一方、恵方巻きは節分の日に販売仕切らなくてはならないために、店舗やバイトへのノルマや、売れ残りの大量廃棄が問題視されています。
今日現在、多くの廃棄される恵方巻きの写真がSNSなどに掲載されています。
恵方巻き商法 コンビニ戦略のひずみ
毎日新聞《社説》2017年2月4日
節分の新たな風物詩「恵方(えほう)巻き」をめぐるコンビニの商法が論議を呼んでいる。大手チェーンはこの時期700万本近くを売るというが、背後で店員へのノルマや売れ残りの大量廃棄が起きている。業界の構造問題が根底にあるとも指摘される。
全国5万店を超え、便利で身近な存在のコンビニは売上高10兆円の産業に成長した。地域の防犯活動や災害時の物資供給の拠点にもなっている。社会的な役割の大きさにふさわしい改革が求められる。
予約販売が中心の恵方巻きは、学生アルバイトにも「1人30本」などのノルマが課されることがあるという。家族や知人らから注文を取らないと、自腹を切って給料を削ることになる。また、節分後は売れ残りがたくさん捨てられている。インターネット上にそうした画像が投稿され、食べ物を粗末にすることにつながる商法が批判を受けている。(以下略)
「売れ残った恵方巻きが大量に捨てられている」…
毎日新聞《余録》2016年2月20日 東京朝刊
「売れ残った恵方(えほう)巻きが大量に捨てられている」。悲痛な声が節分の3日以降、インターネット上で問題になった。コンビニの店員らが、食べ物を粗末にする流通のあり方をおかしいと思い、写真付きで投稿した▲同じ3日、フランスで、売れ残り食料の慈善団体への寄付を大型量販店に義務付ける法律が成立した。違反して廃棄すれば、そのたびに50万円近い罰金が待つ▲18日の国際面によると、36歳のイラン系移民の地方議員が法規制を呼びかけて実現した。学生時代、食べるのに困った経験から食料廃棄に疑問を持ったという。日本でも、まだ食べられるのに流通段階や飲食店、家庭で毎年約500万〜800万トンが捨てられている▲こんな風潮を改めるため、消費者庁は「食品ロス削減国民運動」を進め、独自に取り組む自治体もある。福井県は10年前から「おいしいふくい食べきり運動」を展開する。レストランなど1000店以上が小盛りのメニューを用意したり、持ち帰り用の容器を提供したりしている▲宴会での完食を訴えるのは福岡市だ。「こんなに料理を残したまま、もう二次会か?」と、こわもてがにらみつけるポスターを作った。宴会の幹事に「終了の10分前になったら『席に戻って料理を食べよう』と声かけを」と呼びかけている▲とはいえ、まだまだ大きなうねりとはなっていない。フランスで法制化を進めた彼は言う。「日本は第二次世界大戦で飢えを経験し、食べ物の貴さを理解している。きっと現状を変えられるはずだ」と。そうだ、「もったいない」の考えを生んだ国ではないか。やれることはたくさんある。