
2月7日、井手よしひろ県議は岡山県北部の真庭市をおとづれ、真庭市観光連盟主催の「バイオマスツアー」に参加しました。個人が参加できるバイオマスツアーは、月に1回程度しか開催されておらず、昨年、真庭市を視察した際は日程が合わなかったために、再度の訪問となりました。
真庭市は、総面積の8割を森林が占めています。特に人工林が6割以上を占め、その中でもヒノキが有名です。昔から林業や製材業が盛んで「美作桧」などの銘木産地としても有名でした。最近では、集成材の大型工場も立地しています。
しかし、近年、国内の木材市場は低迷し、林業家は木を伐採して搬出しても、植林の費用さえ残らないという現状が続いています。
こうした状況の中、真庭市は平成26年3月に国から「バイオマス産業都市」として選定されました。そしてその大きな柱である、真庭バイオマス発電所が、平成27年4月から稼働しています。この状況は、前回のブログでも紹介しました。(里山資本主義の先進地真庭市を視察:http://blog.hitachi-net.jp/archives/51620880.html)

真庭バイオマス発電所の発電能力は、1万キロワットで国内でも最大級です。年間21億円の売電収入を見込んでいましたが、平成27年度は23億円を売り上げました。これは、施設の稼働率が予定通りであったことと、材料である木質バイオマスの含水率が計画より低かったことが大きく寄与しました。このバイオマス発電所を中心として、真庭市では地域の資源が循環するシステムづくりが進んでいます。
今まで山に放置されたり、廃棄されていた未利用材までが貴重な資源と蘇りました。再生可能エネルギーによる発電を価格面で優遇するFIT制度によると、一般木材を原料とした場合は、1キロワットあたり24円ですが、山で伐採する際に製品として使えない曲がった木や木の先端部、質の悪い間伐材などは、未利用材として32円という高額で買い取られます。このことが山の管理にプラスに働いています。
また、真庭市では製材時に出るおがくずや端材、樹皮といった以前は廃棄物となっていた素材も含めて、木材のバイオマスとしての価値を最大限に引き出す方法を他の地域より先行して取り組んできました。製材の際に出るかんなくずを使った木質ペレットは、年間2万トン以上を生産しています。
ペレットストーブを自宅や事務所に導入する際は、真庭市から購入の補助金が出されています。

木質バイオマスととともに、木材産業の発展の両輪となりつつあるのが、CLTです。CLTとは、ヨーロッパを中心に発展してきた直交集成材です。集成材の技術を利用して、縦横方向が直交するように板を張り合わせて、大判のパネル材を製作します。ヨーロッパなどでは、コンクリート材に変わって、利用が広まっています。10階建て以上の高層建築も建てられています。真庭市内にも、社員寮やホテルに実際に使用されています。
井手県議が実際に宿泊したビジネスホテルも、CLTで建設された新館があり、視察してきました。
真庭市では、町の宝である森林資源を使い切る、取り組みが進んでいることを実感できる視察ツアーでした。
