城里町のまちおこし協力隊
 地方に移り住んで地域活性化に取り組む「地域おこし協力隊」が急速に拡大しており、2016年の参加者数が4000人を突破しました。これは政府目標を4年も早く達成したものであり、正念場を迎える地方創生に大きな追い風です。
 茨城県内でも、昨年12月現在で県と12市町村に47人の協力隊が活躍しています。(県内の地域おこし協力隊の状況について:https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/chikei/keikaku/iju-2chiiki/kyoryokutai-jokyo.html
 協力隊は、過疎に悩む自治体が都市部の若者を募集して地域活動に従事してもらう制度で、2009年に創設されました。自治体には隊員1人につき年間の人件費などで最大400万円の財政支援があります。
 活動内容は伝統芸能の復活、地域ブランドの開発、耕作放棄地の再生などさまざまです。09年は89人だった隊員が4000人を超え、受け入れ自治体も863にまで広がったことは、協力隊が地方を元気にする起爆剤として認められている証拠です。
大子町のまち起し協力隊
 今後も隊員の増加や受け入れ自治体の拡大が見込まれますが、課題も少なくありません。その一つが隊員の定住化です。
 実際、最長3年の任期を終えた隊員の5割程度は、「働き先がない」ことを主な理由として、都市部に戻っています。ただ、任期後も地域に貢献したい若者は少なくありません。引き続き、新しい力が必要な自治体も数多くあります。
 こうした中、任期後の人件費や家賃補助を県と市町村で折半するといった独自の取り組みを始めた地域もあります。雇用の確保や住環境の整備は定住促進に不可欠であり、同様の取り組みを茨城県でも拡大したいと思います。
 地方創生の主役である自治体は「地方版総合戦略」を策定しており、地域おこし協力隊はその柱の一つです。隊員の定住促進に今から手を打つことは、必ず将来のまちづくりにつながるとの認識が重要です。
 一方、政府にも、定住を促す環境整備が求めらます。隊員OB・OGのうち、約2割が同じ地域で起業していることから、総務省は、起業したい人に研修を行うなどの支援事業を16年度から開始しました。任期後の進路を相談できる窓口体制も整備されています。こうした支援策をさらに強化していくべきです。

大洗新選組のキッチンカー

現在募集中の茨城県内の地域おこし協力隊
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