
2月23日、子どもの貧困をめぐる実態調査の結果を東京都が発表しました。首都大学東京が都内7区市で実施したもので、小学5年、中学2年、16〜17歳のいずれかの子どもがいる家庭を対象にした「小中高校生等調査」と、15〜23歳の若者と保護者に聞いた「若者(青少年)調査」の2部構成です。およそ2万世帯を対象に調査を行い、このうち42%から回答を得ました。
これによると、「世帯年収135万円以下」「水道光熱費や家賃の滞納などの経験がある」「塾に通えなかったり、本やおもちゃが買えなかった経験がある」などのうち、一つでも該当する家庭を『生活困難層』、二 つ以上の要素に該当する改定を『困窮層』と定義しました。 全体のおよそ20%が『生活困難層』にあたることがわかり、小学5年生がいる家庭では20.5%、中学2年生がいる家庭では21.6%、高校2年生にあたる16歳から17歳がいる家庭では24.0%に上りました。
1日の食事の回数について「2食がほぼ毎日」と回答した高校生は「困窮層」で21.9%で、「一般層」に比べて10ポイント余り高くなっています。また、「欲しいが持っていないもの」を小学生に尋ねたところ、自宅で宿題できる場所と回答したのは「困窮層」で11.9%で、「一般層」より9ポイント余り高くなっています。このほか、経済的な理由で、キャンプや海水浴などを体験させることができないと答えた保護者の割合が、「困窮層」では20%台後半から40%台半ばだったのに対し、「一般層」は1%未満と大きな開きが見られました。

子どもの貧困 支援策を行き届かせるために
また、今回の調査で見逃せないのは、貧困家庭に行政の支援が必ずしも行き届いていないことです。実際、ひとり親世帯の保護者の6.7%が国の児童扶養手当を、6.4%が都の児童育成手当を知らず、困窮層ほど行政情報に対する認知度が低かったのは特記すべきです。
支援が必要な家庭にどうやって支援情報を伝えるか。そのためには、行政が貧困家庭をどう把握していくかが課題といえます。
この点で、東京都荒川区の取り組みは参考になる。一般に、児童手当、就学援助、生活保護などの支援策は行政機関の担当部署が分かれているため、各家庭の状況を包括的に把握しにくい傾向があります。そこで荒川区は各部署が連携して貧困家庭を支え、各家庭の実情に応じた支援が速やかに実施できるよう関連部署の部長が協議する本部会を設置しています。
民間の力を活用することも重要です。貧困家庭の子どもたちに学習や食事の支援をする民間団体が増えています。こうした活動の中で、行政情報を保護者に伝える手だても考えられます。
今回の調査では、支援制度を一つも知らない保護者の約1割が「相談する相手や場所がない」と答えています。貧困家庭を孤立させないとの姿勢こそが、子どもの貧困対策の大前提です。

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