松村克弥監督「ある町の高い煙突」企画発表会
 4月13日、井手よしひろ県議らが支援している「ある町の高い煙突」映画化の企画発表会が、日立シビックセンターで行われました。
 鉱山の煙害を克服した日立の大煙突建設を巡る実話を描いた直木賞作家・新田次郎の小説「ある町の高い煙突」が映画化されることになりました。監督は「映画・天心」「サクラ花〜桜花最期の特攻〜」など、茨城県に縁がある作品を手掛けてきた松村克弥さん。松村監督は「大煙突を造る過程の人間ドラマを描きたい」と意欲を語りました。地元日立市は「大煙突は日立のシンボル」として、資金面を含めて支援すると記者会見に同席した小川春樹市長が語りました。大煙突の建設にかかわる日本鉱業(現JXホールディング)や日立製作所グループなど企業も支援を具体的に検討しています。また、市民による応援組織も立ち上がり、事務局を代表して原田実能さん、内田芳薫さんがあいさつしました。
 1905年の日立鉱山操業に伴い、銅の精錬時に発生する亜硫酸ガスは周辺の山々を枯らし、農作物に大きな被害をもたらしました。地元住民は、若者を中心に、日本鉱業と真摯な交渉を行い、高さ155.7メートルの世界一の大煙突を建設し煙害克服を克服しました。この小説は住民側の関右馬允、企業側の角弥太郎を中心に描かれ、1969年に出版されました。
松村克弥監督「ある町の高い煙突」企画発表会
 松村監督は、「新田作品の中で映画化されていない数少ない小説で、日立市民からも“ぜひ映画に”との熱い思いが寄せられたことから、制作を決意をした」と語りました。年内にシナリオやキャスティングを完了し、来年春から約1カ月間で撮影。秋に開催される東京国際映画祭などに出品し、年末の公開を目指します。撮影はほぼ日立市内で行う予定で、制作費は約1億8千万円を見込みます。自治体からの支援や企業・団体から寄付を募ります。
 会見では、プロデューサーの亀和夫さんが「“ある町の高い煙突”は企業の社会的責任の原点。住民と企業が対立から和解へと向かった。作品は現代的なテーマ」と映画化の意義を強調しました。
 日立市の小川春樹市長は「日立市は、市民と企業・団体、行政が三位一体でまちづくりを続けてきた。この映画も三位一体で完成させないといけない」とし、市として積極的に支援する考えを示しました。
 ある町の高い煙突の映画化を応援する会の事務局長の原田さんは「市民にもっと大煙突のことを知ってほしい。映画を通してこのまちを元気にしていく土台をつくりたい」と語りました。また事務局次長の内田さんは「まぼろしの 大煙突や 山笑ふ」との創作句を紹介し、日立の魅力を全国に発信したいと意気込みを語りました。
 松村監督は「100年も前にあった、住民と企業が共生する大煙突の物語は奇跡的で心打たれた。原作をさらに掘り下げ、奥行きのある作品にしたい」などと語りました。

映画「ある町の高い煙突」を応援します。