日立市の人口推計
 4月10日、国立社会保障・人口問題研究所は、平成27年国勢調査の確定数が公表されたことを受けて、これを出発点とする新たな全国人口推計(日本の将来推計人口)を公表しました。
 その推計結果のポイントは、
  1. 30〜40歳代の出生率実績上昇を受け、合計特殊出生率は上昇
    推計の前提となる合計特殊出生率は、近年の30〜40歳代の出生率実績上昇等を受け、前回推計の1.35から1.44に上昇(中位仮定)。 平均寿命は、平成27年、男性80.75歳、女性86.98歳から、平成77年に男性84.95歳、女性91.35歳に伸びる(中位仮定)。
  2. 前回推計と比較して人口減少の速度や高齢化の進行度合いは緩和
    総人口は、平成27年国勢調査による1億2709万人から平成77年には8,808万人と推計(出生中位・死亡中位推計、以下同様)。
    老年人口割合(高齢化率)は、平成27年の26.6%から平成77年には38.4%へと上昇。
    この結果を前回推計と比較すると、総人口は8,135万人が8,808万人、総人口が1億人を下回る時期は2048年が2053年、 老年人口割合が40.4%から38.4%と、人口減少の速度や高齢化の進行度合いは緩和する。
    老年人口(高齢者数)のピークは2042年で前回と同じ(老年人口は3,878万人から3,953万人へと増加)。
  3. 出生仮定を変えた場合の2065年の総人口、高齢化率
    出生の仮定が、高位仮定(1.65)の場合の平成77年の総人口と老年人口割合(高齢化率)は、それぞれ9,490万人、35.6%、低位仮定(1.25)の場合は、8,213万人、41.2%と推計。また、出生率を1.80に設定した場合には、1億45万人、33.7%と推計しました。
 日本の人口が減るペースや高齢化の進む度合いが少し緩やかになる見込みです。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が新たな人口推計を発表しました。
 新たな推計によると、50年後の人口は最も実現可能性が高いケースで8808万人になる。5年前に実施した前回推計より672万人多い。近年の出生率の向上を推計に反映させ、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率の見通しを前回試算の1.35から1.44に上方修正したからです。
 社人研は、出生率が上がった背景として、保育の受け皿整備が進んだ点などを挙げています。「政府の子育て支援策が功を奏しつつある」(11日付「朝日」)ことは明らかです。
 ただ、依然として日本が厳しい人口減少に直面している状況は変わりません。全体の出生率は改善傾向にあるものの、20歳代前半は減っています。若者が安定した収入を得て希望通りに結婚、出産、子育てができる社会をどう築いていくかが課題です。
 この点で注視すべきは、自らのキャリアを考えて、出産をせず働き続けたい女性が増え、第1子を産む年齢が高くなっていることです。女性が仕事と子育てを両立し、男性も育児参加できる環境づくりを急がなければなりません。ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間にとらわれずに働くテレワークの普及や、育児休暇の取得を推進するなど働き方改革を進めるべきです。
 待機児童の解消も急務です。厚労省の集計では、2016年10月時点で4万7738人に上ります。こうした状況から政府は、今年度から保育士の給与を平均で月6000円引き上げ、人材確保に努めます。さらに東京都では、都議会公明党の推進で月に2万1000円の賃金補助を上乗せすることを決めました。保育の受け皿整備は喫緊の重要課題です。
 少子化対策は短期間で効果が出にくいものです。「安心して出産・育児ができる」社会の実現へ、国民が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」の達成に向けた支援策をさらに充実しなければなりません。