熊本地震から1年。被災した個人や中小企業の再建を支援するためローンの減免や補助制度などが、東日本大震災に続いて適用されています。1年がたち、成果をあげている支援がある一方、救済に時間がかかっているものもあります。
中小企業の事業再建を“グループ補助金”制度が力強く後押し
中小企業を対象とするグループ補助金制度は、事業の再建に大きく貢献しています。従来の復興支援の考え方を大きく変えて、事業者に直接公的な資金を注入できるこの制度は、東日本大震災で初めて作られ、熊本地震でも適用されています。 グループ補助金は、被災した企業が複数でグループをつくり、共同で作成した復興事業計画に基づく施設・設備の復旧工事に対し、15億円を上限に、費用の最大4分の3(資本金10億円未満の中堅企業には2分の1)を国と県が支援する制度です。グループ補助金は公明党の推進で2016年度補正予算に盛り込まれ、昨年7月から公募が始まりました。
昨年9月の第二次公募からは、補助の対象外だった、大企業から一定の出資を受けている中小企業(みなし大企業)も対象となるなど、制度が拡充。今年3月には、第三次公募が実施されました。
熊本県商工振興金融課によると、これまでに436グループが申請し、96.3%に当たる420グループが認定を受けています。補助金の交付が決定している企業は県内で1696事業者あり、補助金の総額は447億2000万円に上っています(4月7日現在)。
以下、グループ補助金を交付を受けた事業者の声を公明新聞の記事より紹介します。
「補助金のおかげで、再起への意欲が湧いた」と語るのは、熊本県西原村にガラス製品とアルミサッシの工場を持つ日の丸産業株式会社(熊本市)の奥村拓司代表取締役社長です。昨年4月16日の本震は、同社の商品のほか工場内の設備などに、深刻な被害をもたらした。「事業の規模縮小も考えた」と、奥村社長は当時を振り返ります。
日の丸産業は、本社が熊本市南区の流通団地内にあるため、この団地で被害に遭った約30社と共に補助金を受けるためのグループを結成し、申請を行いました。昨年8月末に認定を受けた奥村社長は「グループ補助金がなければ、完全復旧は厳しかった。推進してくれた公明党には感謝している」と喜びを語っています。
熊本ホテルキャッスルの斉藤隆士代表取締役社長は「廃業か再建か、正直迷っていた」と、地震直後を振り返ります。1960年に開業した県のシンボル的な熊本ホテルキャッスルホテルも、地震により宿泊客を受け入れるメドが立たないほどの被害を受けました。
そんな中でグループ補助金の話を聞いた斉藤社長は、市観光旅館ホテル協同組合と熊本ホテルキャッスルの関連業者13社でグループをつくり申請し、認定を受けました。3月末には全ての復旧工事が完了したため、今後、補助金が交付される予定となっています。斉藤社長は「補助金がなければ、被害があった企業の3分の1は廃業していただろう。公明党のおかげで助かった」と安堵の表情を浮かべ、「補助金を受けるからには、必ず立ち上がってみせる」と意気込みを語っています。
被災ローン減免制度の周知徹底と活用促進を
今回の熊本地震の支援活動で特筆すべきは、熊本弁護士会の活動です。熊本弁護士会は、震災直後の混乱の中、正確で信頼できる情報を提供することで被災者の不安を軽減するため、地震5日後に情報誌「くま弁ニュース」を3万部発行して被災地へ届けました。9日後から「無料電話相談」、5月の連休明けから被災地での「無料面談相談」をスタートさせています。日弁連及び全国の弁護士会の協力を得て、現在も震災相談対応を続けており、相談件数は計1万2000件を超えています。
この熊本弁護士会が、特に力を入れているのが、個人の被災ローンの減免制度の活用です。
個人ローンの減免制度は、いわゆる二重ローンを救済する特別な制度として東日本大震災の際に作られました。その後、ほかの自然災害でも使えるように全国銀行協会が中心になって「ガイドライン」としてまとめられました。
対象は、地震で住宅や事業所などが被害を受けたため、住宅ローンや個人事業のローンなどを返せなくなったか、いずれ返せなくなることが確実な人です。 認められれば、蓄えのうち最大500万円と公的な支援金などを手元に残せるほか、自己破産と違ってローンを払えなかったという記録が金融機関側に残らないため、新たなローンを借りることができて、格段に再起しやすくなります。
被災者が弁護士や金融機関や申し出をして、金融機関に受け付けられると、無料で弁護士などの支援を受けられるようになります。その支援のもとで必要な書類を提出して金融機関と協議をし、ローンをいくら返して、いくら免除してもらえるかの計画を作ります。そして貸し手の金融機関すべての同意が得られたら、裁判所が内容を確定して、減免してもらうという仕組みです。
この制度は、残念ながらあまり活用が進んでいません。申し込みが600件あったのに対して、認められたのは22件にとどまっています。手続きが進まず、苦しんでいる人も少なくありません。
審査には多くの証明書や書類の作成が必要で作業量がとても大きいこと。認められる基準が複雑なうえ、金融機関も弁護士もこれまで経験のない不慣れな審査です。人によって経験やノウハウにばらつきもあること。複数の金融機関が関わり、弁護士側から見ると消極的な金融機関もあって、合意に時間がかかっていること、などの理由であまり活用が進んでいません。
さらに、制度そのものがあまり知られていない現状もあります。熊本弁護士会が4月14日に出した会長声明では「熊本地震で運用が開始された『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(被災ローン減免制度)』のさらなる周知徹底を図り、二重ローン問題等で苦しむ被災者がこの制度を活用することにより、生活再建の足がかりとなるよう尽力する」という項目がトップになっています。
2重ローンで苦しむ方は、まず、熊本弁護士会に相談されることを強くお勧めします。
電話による無料相談・情報提供0120−587−858、熊本県弁護士会法律相談センター096−325−0009
中小企業の事業再建を“グループ補助金”制度が力強く後押し
中小企業を対象とするグループ補助金制度は、事業の再建に大きく貢献しています。従来の復興支援の考え方を大きく変えて、事業者に直接公的な資金を注入できるこの制度は、東日本大震災で初めて作られ、熊本地震でも適用されています。 グループ補助金は、被災した企業が複数でグループをつくり、共同で作成した復興事業計画に基づく施設・設備の復旧工事に対し、15億円を上限に、費用の最大4分の3(資本金10億円未満の中堅企業には2分の1)を国と県が支援する制度です。グループ補助金は公明党の推進で2016年度補正予算に盛り込まれ、昨年7月から公募が始まりました。
昨年9月の第二次公募からは、補助の対象外だった、大企業から一定の出資を受けている中小企業(みなし大企業)も対象となるなど、制度が拡充。今年3月には、第三次公募が実施されました。
熊本県商工振興金融課によると、これまでに436グループが申請し、96.3%に当たる420グループが認定を受けています。補助金の交付が決定している企業は県内で1696事業者あり、補助金の総額は447億2000万円に上っています(4月7日現在)。
以下、グループ補助金を交付を受けた事業者の声を公明新聞の記事より紹介します。
「補助金のおかげで、再起への意欲が湧いた」と語るのは、熊本県西原村にガラス製品とアルミサッシの工場を持つ日の丸産業株式会社(熊本市)の奥村拓司代表取締役社長です。昨年4月16日の本震は、同社の商品のほか工場内の設備などに、深刻な被害をもたらした。「事業の規模縮小も考えた」と、奥村社長は当時を振り返ります。
日の丸産業は、本社が熊本市南区の流通団地内にあるため、この団地で被害に遭った約30社と共に補助金を受けるためのグループを結成し、申請を行いました。昨年8月末に認定を受けた奥村社長は「グループ補助金がなければ、完全復旧は厳しかった。推進してくれた公明党には感謝している」と喜びを語っています。
熊本ホテルキャッスルの斉藤隆士代表取締役社長は「廃業か再建か、正直迷っていた」と、地震直後を振り返ります。1960年に開業した県のシンボル的な熊本ホテルキャッスルホテルも、地震により宿泊客を受け入れるメドが立たないほどの被害を受けました。
そんな中でグループ補助金の話を聞いた斉藤社長は、市観光旅館ホテル協同組合と熊本ホテルキャッスルの関連業者13社でグループをつくり申請し、認定を受けました。3月末には全ての復旧工事が完了したため、今後、補助金が交付される予定となっています。斉藤社長は「補助金がなければ、被害があった企業の3分の1は廃業していただろう。公明党のおかげで助かった」と安堵の表情を浮かべ、「補助金を受けるからには、必ず立ち上がってみせる」と意気込みを語っています。
被災ローン減免制度の周知徹底と活用促進を
今回の熊本地震の支援活動で特筆すべきは、熊本弁護士会の活動です。熊本弁護士会は、震災直後の混乱の中、正確で信頼できる情報を提供することで被災者の不安を軽減するため、地震5日後に情報誌「くま弁ニュース」を3万部発行して被災地へ届けました。9日後から「無料電話相談」、5月の連休明けから被災地での「無料面談相談」をスタートさせています。日弁連及び全国の弁護士会の協力を得て、現在も震災相談対応を続けており、相談件数は計1万2000件を超えています。
この熊本弁護士会が、特に力を入れているのが、個人の被災ローンの減免制度の活用です。
個人ローンの減免制度は、いわゆる二重ローンを救済する特別な制度として東日本大震災の際に作られました。その後、ほかの自然災害でも使えるように全国銀行協会が中心になって「ガイドライン」としてまとめられました。
対象は、地震で住宅や事業所などが被害を受けたため、住宅ローンや個人事業のローンなどを返せなくなったか、いずれ返せなくなることが確実な人です。 認められれば、蓄えのうち最大500万円と公的な支援金などを手元に残せるほか、自己破産と違ってローンを払えなかったという記録が金融機関側に残らないため、新たなローンを借りることができて、格段に再起しやすくなります。
被災者が弁護士や金融機関や申し出をして、金融機関に受け付けられると、無料で弁護士などの支援を受けられるようになります。その支援のもとで必要な書類を提出して金融機関と協議をし、ローンをいくら返して、いくら免除してもらえるかの計画を作ります。そして貸し手の金融機関すべての同意が得られたら、裁判所が内容を確定して、減免してもらうという仕組みです。
この制度は、残念ながらあまり活用が進んでいません。申し込みが600件あったのに対して、認められたのは22件にとどまっています。手続きが進まず、苦しんでいる人も少なくありません。
審査には多くの証明書や書類の作成が必要で作業量がとても大きいこと。認められる基準が複雑なうえ、金融機関も弁護士もこれまで経験のない不慣れな審査です。人によって経験やノウハウにばらつきもあること。複数の金融機関が関わり、弁護士側から見ると消極的な金融機関もあって、合意に時間がかかっていること、などの理由であまり活用が進んでいません。
さらに、制度そのものがあまり知られていない現状もあります。熊本弁護士会が4月14日に出した会長声明では「熊本地震で運用が開始された『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(被災ローン減免制度)』のさらなる周知徹底を図り、二重ローン問題等で苦しむ被災者がこの制度を活用することにより、生活再建の足がかりとなるよう尽力する」という項目がトップになっています。
2重ローンで苦しむ方は、まず、熊本弁護士会に相談されることを強くお勧めします。
電話による無料相談・情報提供0120−587−858、熊本県弁護士会法律相談センター096−325−0009