茨城県の犬猫の殺処分頭数
 平成28年度の茨城県の犬猫殺処分実態がまとまりました。茨城県動物指導センターでは、県内外のボランティアの協力を得て、犬猫の譲渡頭数が大幅に増えています。平成28年度の譲渡実績は、犬が899頭(平成27年対比で+142頭)、猫が597頭(+248頭)となっています。その結果、殺処分頭数は、犬が612頭(▼667頭)、猫が1679頭(▼654頭)と大幅に減少しました。犬・猫の合計は2291頭で前年に比べ1321頭少なくなりました。これは、前年比で63.4%と3分の2以下になりました。
 まだまだ処分数としては多いのが現状ですが、各ボランティア団体や関係者の皆さまの献身的なご協力で、茨城県の殺処分の状況も大きく改善してきています。
 県の指導センターも殺処分ゼロに向けて懸命な努力を続けています。例えば、犬舎内の感染症対策について、2015年6月30日から、センターに収容される全ての犬に対し混合ワクチンの接種を開始しました。また、 センターに収容された飼い主のいない犬猫の公示(公表)期間を、2016年8月1日から、条例で定められた4日間から1日延長し5日間としました。さらに、2017年2月1日からさらに1日延長し6日間としました。土日祝日はカウントされませんので、1週間以上は収容され、飼い主に返還される機会が増えることになりました。
 さらに、多くの動物愛護団体の皆さまから要望をいただいていた二酸化炭素(炭酸ガス)による処分を、2016年10月に中止しました。 現在は、餌に混ぜた麻酔薬による安楽死を行っています。センターの負担は多くなっていますが、処分せざるを得ない犬猫の総数が大幅に少なくなったことにより実現しました。
茨城県の殺処分頭数
 昨年12月の茨城県議会では、議員提案された「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」が、全会一致で成立しました。さらに、3月議会では動物愛護の予算が3000万円増額修正され、茨城県の殺処分ゼロに向けた本気度が全国から注目されています。
 犬や猫は、人間に最も身近な動物の一つであり、家族同様の存在として私たちの生活にいやしと潤いを与えてくれています。しかし、その一方では、飼い主の犬や猫の習性に対する理解不足や、身勝手で無責任な対応によって、飼養放棄、県民からの苦情や相談に基づく犬の捕獲等により、多くの犬や猫が殺処分されています。
 茨城県は、犬の殺処分頭数が、平成17年度から24年度まで全国ワースト1位、平成25年度以降は全国ワースト2位と、長年にわたり全国上位に位置するなど、深く憂慮すべき状況にあると言えます。
 犬猫の殺処分をなくすためには、逃走したり、棄てられたり、飼い主が飼うことが出来なくなった犬猫を減らすこと=入り口対策。動物愛護センターに収容された犬猫を一般の市民に譲渡したり、終生飼養できる施設を設けたりする取り組み=出口対策。の両面が必要です。
 殺処分をなくした自治体の多くは、出口対策を進める民間団体の力を借りて、その目的を達成しているところもあります。しかし、本来は、飼い主の一層の啓発事業や犬猫の販売業者への指導、地域猫活動などを通して、入り口対策が強力に進める必要があります。

新たな飼い主を待つ保護された犬
平成29年度は茨城県の動物愛護の大きな節目の年
 県は新たに平成29年度予算に、動物愛護関連で約6400万円を増額しました。
 具体的には、犬猫の譲渡会を開くなどして殺処分減少に取り組む団体に最大30万円を補助します。地域猫活動をしている地域を支援するため、猫の不妊・去勢手術費用を200匹程度まで補助します。
 また、殺処分を行う県動物指導センターに収容された犬猫を引き取り、飼い主を探そうとする個人・団体に、飼育費として1匹当たり1万円を補助します。このほか、犬の放し飼いを減らすため、チラシを作るなどして啓発するほか、行方不明になった犬の情報を同センターと市町村で共有するなどのシステム作りにも取り組みます。
 犬猫殺処分ゼロを目指す条例に盛られたふるさと納税の対象に、4月から「動物愛護」を追加しました。
 応援メニューは、子育て支援や震災復興など、寄付者が主な使途を指定できる仕組み。動物愛護を選択し場合は、民間団体への支援などに使われます。6月までには、ネットから直接納税できる仕組みを作る準備を進めています。

参考資料