難病のイメージ
 5月14日、茨城県難病団体連絡会の第35回総会が開催され、井手よしひろ県議は県議会公明党を代表して出席し、来賓あいさつしました。
 県難病連は、茨城県腎臓病患者連絡協議会、全国筋無力症友の会茨城支部、全国パーキンソン病友の会茨城支部など、12団体が加盟しています。
 306疾患に拡大された難病医療助成制度は、この4月に330疾患に拡大されました。しかし、対象疾患が拡大されてにも拘わらず、患者数がそれほど増えていないのは、難病それ自体の認知度が高まっていないことにも要因があります。また、経過措置が終了するために、医療費助成の適用が外れたり負担が増える方がでます。(厚生労働省の資料「難病の医療受給者証をお持ちの皆様へ」http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/hoken/files/oshirase_tokuteiiryouhi.pdf
 こうした様々な課題のなる難病対策ですが、患者家族と行政、そして医療機関などが連携して、患者や家族のQOLの充実や治療法の確立を目指して、全力を挙げて支援していきたいと思います。
 毎年の総会で紹介される「患者会の訴え」を転載します。今年は、「いばらきUCD CLUB」の代表の訴えです。
患者会の訴え:いばらきUCD CLUB
 本日はお忙しい中、このような貴重な時間をいただきありがとうございます。私は茨城難病連の理事、および、炎症性腸疾患の患者会「いばらき UCD CLOB」の代表をさせていただいております。炎症性腸疾患は略してIBDといわれ、主に消化管に原因不明の炎症や潰瘍ができる難病で、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの病気のことをさしています。私自身はクローン病の患者で、発病してから20年になります。

 潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性的に炎症が発生し、潰瘍ができる原因不明の病気です。病気がおこる場所は大腸の一部分から始まり大腸全体にまで広がることがあります。症状としては血便、粘液便、下痢や腹痛などがあげられます。一方、クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部分に炎症や潰瘍が発生し、小腸や大腸に発生する頻度が高いものです。主な症状として腹痛、下痢、発熱、肛門病変などかおりますが、消化管以外の合併症を伴うこともあります。

 どちらの病気も10代から20代に発症することが多く、若年層の患者が多いことが特徴です。この病気は、症状が落ち着いている寛解状態と、症状が悪化する再燃状態を繰り返します。日常生活での主な問題は、厳しい食事制限と、排便の不安です。食べ盛りの若者が、家族や友達と楽しく食事が出来ない事は、とても辛いことです。働き盛りの社会人は、人付き合いで食事の機会が多く、これらを乗り切る術を身に付けないと症状を悪化させ、社会生活の支障をきたします。また、突然の便意に襲われて何度もトイレに駆け込む不安を抱えているために外出を控えたり、学校や職場では周りの視線を過剰に感じてしまう患者がたくさんおります。就学、就労、絡婚、出産など人生の節目において、体調の悪化を理由にこれらの機会を逃がすことなく、病気と上手に付き合いながら長い人生をよりよく生きていきたい。これがIBD患者の願いです。IBD患者のQOL(生活の質)の向上のため、今日お話ししたい課題は2つあります。

 1つ目は、専門医が少ないことです。茨城県には、潰瘍性大腸炎の患者が約3600人、クローン病の患者が約900人おりますが、茨城県内にはIBDの専門医が配置されている病院が多くありません。IBDは病状の個人差が大きく、専門的見地から個々の患者に適しか治療が求められます。近年の生物製剤の登場によって病状の寛解維持が比較的容易になり、社会参加や社会復帰を果たす例もみられるようになりました。
 しかしながら医療の先進化は地域の医療格差を広げる側面もあります。専門的治療を求めて東京をはじめ県外の病院に転にするケースも見受けられます。このような事態を解消すべく、茨城県内におけるIBD医療の質の向上を図り、患者が安心して地域の病院に通院できるような環境を望んでおります。

 2つ目は、IBD患者の社会参加の促進です。近年の生物製剤の登場は患者のQOL向上に劇的な効果をもたらしています。病状のコントロールが以前よりも容易になり、フルタイムの就労を継続できるケースも増えております。しかしながら寛解維持のためには定期的な通院や食事制限など生活上の制約を受けてい
ます。IBD患者の就労及び就業継続のためには、雇用者の理解と職場における合理的な配慮が欠かせませ
ん。就労によって社会参加と自立を図り、生きがいをもって人生を送ることは、病気のあるなしに関わらず人間にとって大切なことです。積極的な啓発活動をすすめて病気への無理解が解消されることを望んで
おります。

 近年は、インターネットの普及により医療情報が入手しやすくなり、SNSによる患者どうしの交流が容
易になりました。その影響もあってか、患者会の会員数は減少傾向にあります。特に発症したばかりの若
い患者が、何に困っていてどのような支援を必要としているのか、患者会として状況の把握が困難となっ
ております。これからの患者会は、保健所をけじめとする関係機関と連携をしながら、様々な課題の解決、
難病患者のQOL改善という共通の目標に向けて一緒に活動していければ良いと考えております。