防災情報の高度化事業
 昨年秋に募集が行われていた総務省の「災害情報伝達手段等の高度化事業」に、茨城県常総市の提案事業が認められ、今年から整備がスタートします。
 常総市の防災情報伝達システムは、高齢者、外国人、市外からの来訪者に的確に防災情報を伝達するために、1.防災行政無線 の戸別受信機とテレビ、テロップ表示盤などを連動させて分かりやすく表示する機能拡充や、2.防災情報のプッシュ通知(多言語対応)等を行うスマートフォンアプリの整備を行って、各機能の有用性の検証や課題抽出及び対策の検討を行うものです。事業予算は数千万円で常総市の負担はありません。戸別受信機など新たな機器はその範囲内で設置します。モデル事業として終了した後もそのまま使うことができるのが特徴です。
 関東・東北豪雨(2015年9月)では、激しい雨音で屋外拡声機による防災行政無線の放送が聞き取れないという苦情が多数あり、どのように確実に、迅速に情報を伝えるのが大きな課題でした。併せて、スマホを使わない高齢者などには、、屋内に戸別受信機を設置し情報弱者にも対応します。
 市民が自らのスマホに専用アプリを入れると、防災無線で流した避難勧告などの情報がスマホの音声や文字で伝わる仕組みです。地図上で避難所の場所や経路を表示する機能も付ける予定です。
 一方、スマホを持たない高齢者らが住む家には、屋内に戸別受信機を設置します。聴覚に障害がある場合は受信機と家庭用テレビをつなぎ、画面に文字情報が表示されるようにします。さらに、常総市内に多く住むブラジル人らに対応するため、避難勧告など防災無線の放送内容をポルトガル語や英語などに翻訳してスマホで見られるようにします。
 常総市は「豪雨を教訓に、あらゆる市民に情報が伝わる仕組みを構築したい」としています。総務省の「災害情報伝達手段等の高度化事業」は、昨年4月の熊本地震を受けて国の昨年度補正予算に盛り込まれました。災害情報の効果的な伝達手段を開発するモデル事業として公募され、茨城県内では、井手よしひろ県議も連携し常総市、境町などが応募しました。最終的に、常総市など7自治体(6市町、1県)の提案が採用されました。