昨秋、開催された「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」 は、77万6千人という目標を大きく超える来場客を迎えました。5月に行われた県知事と開催6市町の首長などで構成する実行委員会は総会を開き、次回開催を2年後の2019年(平成31年)とすることを正式に決定しました。茨城の県北地域の活性化のために、県北芸術祭が今後大きな役割を担うことが期待されます。
このほど、県北芸祭術祭2016の総括報告書が取りまとめられましたので、その概要を紹介します。
参考:茨城県北芸術祭2016総括報告書(PDF版)
県北芸術祭2016は、 平成28年9月17日から11月20日までの65日間開催されました。地域文化の振興と創造性の育成、茨城県北地域のブランディングと交流人口の拡大、地域の産業・経済の活性化の3点を目的として掲げました。
総合ディレクター には、東京森美術館館長の南條史生氏を招聘しました。地域芸術祭の先駆けとして有名な横浜アートトリエンナーレを立ち上げるなど、日本現代美術界の重鎮を総合ディレクターとして迎えられたことは、県北芸術祭成功の大きなポイントでした。また、南條氏が取手市を中心として長年積み重ねられてきたアーカスプロジェクトにも中心的に係ってわってきたことも、 アートティストの発表場所を新たに提供するなど芸術祭の質的充実に大いに寄与しました。
次回、県北芸術祭2019においても、引き続き総合ディレクターを務めることが決定し、継続性の担保や美新たな展開を図るために摘切な判断であると評価します。
県北芸術祭2016は、県北地域を4つのエリアに分け、32会場で開催されました。22の国と地域から85組のアーティストが集いました。展示された作品数は109点に上りました。
総来場者数77万6千人は、全国第2の規模
来場者数は延べ77万6481人であり、国内で開催されている地域芸術祭では瀬戸内国際芸術祭に次いで全国第2の規模となりました。会期最終日である11月20日には、一日の最多来場者数3万3903人を記録しました。
会場別の来場客数では、日立駅が9万6880人、袋田の滝5万6498人、大子駅前商店街5万1976人、天心記念五浦美術館5万1658人、常陸太田市鯨が丘商店街4万8711人などが顕著でした。
来場者の傾向としては、女性が60%、男性が40%となっており、年代別では60歳以上が26.9%と高かったものの、30歳〜50歳にかけては20%前後であり、大きな偏りは見られませんでした。
居住地別では、県内76.8%、県外23%と県外からの来場者や外国人客にどのようにアピールしていくかが大きな課題として残りました。
会場への交通手段は、県内からは自家用車が93.61%、県外からは69.8%と圧倒的な割合を占めました。県外客や若い来場者を迎えるためには、鉄道や週遊バスなどの公共交通の充実を図る必要があります。
滞在日数は、県外からの来場者の場合、日帰り29.41%、1泊2日42.51%、2泊3日14.7%となっており、県外来場者を増やせば宿泊者数は確実に増加することがわかりました。
来場した方々の満足度をみてみると、とても満足したが48.3%、やや満足したが39.7%と合計で89%にも達しました。
次回開催した場合に、また来たいと考えた人は83.9%ありました。こうした、大きな期待に応えられるよう、次回の万全な準備を進めていくべきです。