人事院勧告:年収で16万3000円減
 人事院は8月8日、2003年度の国家公務員の給与について、平均4054円(1.07%)引き下げるよう内閣と国会に勧告しました。民間企業の給与抑制を受けて、公務員給与が民間を上回る「格差」を是正するために、二年連続の「マイナス勧告」となりました。ボーナスも0.25か月分引き下げ、年4.4か月とします。平均年収では、16万3000円の減額となり、過去最大幅の2.6%減となります。

官民給与の逆格差を是正するため、二年連続で月給を引き下げる。行政職は平均4054円(1.07%)引き下げる
ボーナスを年0.25か月分引き下げ、年4.4か月とする。
配偶者の扶養手当を月500円引き下げ、1万3500円とする。
通勤手当は一か月定期券から割安な六か月定期券分の一括支給に変更する。
今回の改定で、平均年収は過去最大の16万3000円(2.6%)減で、5年連続の引き下げ。

●官民格差是正は当然の流れ
 国家公務員の給与は民間に準拠することを原則としています。人事院の調査では、長引く不況の影響で、ベースアップの中止や定期昇給の停止、賃金カットなどを行う企業が多く、公務員給与が民間を上回る逆格差(1.07%)が生じています。月額給与のうち、基本給で、平均3459円。残りは、扶養手当の配偶者分を月500円減の1万3500円に改定するほか、住居手当も住宅の新築・購入から6年目以降(月額1000円)は廃止することにしました。
 また、物価が高い都市部に勤務する職員を対象にした調整手当に関連し、地方に異動しても前任地の高い調整手当を支給する異動保障については、支給期間を現行の3年間から2年間に短縮し、さらに、2年目の支給割合は8割に引き下げます。
 この制度を悪用し、東京など都市部に一か月未満の「腰掛け異動」を行い、地方で調整手当を受給するケースが相次いで発覚したことを受け(いわゆるワンタッチ受給)、新たに「6か月超の在勤」を異動保障の受給要件とする再発防止措置を講じました。
 この人事院勧告が完全実施された場合、国、地方を合わせた公務員の人件費は、計約6690億円が節約される見通しです。財務省の試算によると、政府の今年度一般・特別両会計予算の人件費は計約2310億円削減されます。
 また、総務省試算では、地方公務員について人事院勧告に準じて給与改定が行われた場合、地方財政計画に対する都道府県と市町村の人件費は約4380億円の減少になる見込みです。

●公明党の主張実り、定期代・異動保障など改善
030808teiki この勧告は、公務員には厳しい内容ですが、民間の給与水準と比べれば引き下げ勧告は当然です。
 通勤手当は一か月定期券から割安な六か月定期券分の一括支給に変更することなど、遅きに失した感があります。
 物価水準の高い都市部で勤務する公務員に月給の3〜12%を上乗せしている調整手当があります。この手当を地方転勤後も三年間支給する「異動保障」について、支給期間を2年間に短縮しました。1年目は全額支払うが、2年目は80%に減額する。6カ月未満の勤務は異動保障の適用外としました。制度の仕組みを悪用した運用が複数の省庁で行われていました。短期間だけ都市部に異動させて調整手当を受ける資格を得させたあと、地方に転勤させるケースが2002年度だけでも、107件もあった。例えば海上保安庁は43人を横浜などに一週間だけ異動させて、月給の10%の手当を上乗せしていました。これは、組織ぐるみの「闇手当」にほかなりません。完全廃止に向けて検討を急ぐべきです。

●行財政改革に背を向ける日本共産党
 それにしても、時代錯誤の政党があります。日本共産党は機関紙赤旗で「賃下げは公務員の生活をさらに悪化させ、国民の暮らしと日本経済にもはかりしれない悪影響を与えるものであり、到底容認できません。雇用者所得7兆円減 人勧による賃下げは、七百五十万人に及ぶ公務関連労働者だけでなく、農協、病院、私立学校など広範な労働者に波及し、さらに日本の労働者全体の賃下げにもつながります」(2003/8/9主張)と、論じています。自らを支持する労働組合を養護し、国民感情を踏みにじる暴論としか言いようがありません。

参考:人事院勧告のHP

支援組織との連絡協議会を開催 →衆議院選挙拡大対策会議を開催(走行距離85km)




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