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消費税率アップ、特別減税廃止、保険料負担増のトリプルパンチ
97年度予算政府案は国民いじめ予算

 新進党が提出した消費税率据え置き法案の否決によって、1997年4月よりの消費税率の5%へのアップが事実上確定した。

 12月25日決まった1997年度予算政府案は「財政構造改革元年」という触れ込みに反し、公共事業などの歳出の本格的な見直しは進まなかった。その一方、増税とともに医療や教育など生活に密着したところで国民に負担増を求めている。

 97年度予算の政府案は消費税率の引き上げや特別減税の打ち切りとともに、医療保険の一部保険料の引き上げや自己負担増が織り込まれており、国民の負担は大幅に増える。

 4月から消費税率が5%に上がることに伴い、年間に国民が支払う消費税は約5兆円増える(徴税に時間がかかるため、国の税収増は9年度で3兆3000億円の見通し)。消費税の逆進性(所得が低い層ほど消費税の影響が大きい)を緩和するための施策も見送られた。政府は、65歳以上の低所得者1000万人を対象に年間1万円の臨時特別給付金を支給することを決めたが、単なるその場しのぎとの批判は強い。

 民間シンクタンクの試算によると、給与収入700万円の夫婦と子供二人の平均的なサラリーマン世帯は年82,000円の負担増になる。

 また、所得税・住民税の特別減税(所得税1兆4000億円、住民税6000億円)の廃止により、平均的なサラリーマン世帯は年6万円近く納税額が増える。

 また、3年に一度評価替えが行われる固定資産税も、改革が行われ、茨城県などの地方においては、住宅地の9割程度が結果的に増税になると思われる。全国の住宅用地は、据え置かれるところを除いた76%が、税負担が96年度よりも増え、かなりの土地が数%程度の増税となるといわれている。特に、町村では、9割以上のところが増税となる。

 社会保障負担も増える。厚生年金の保険料はすでに96年10月から上がっているが、これが一年間丸々適用される。

 国民年金保険料も97年4月から月額12800円(現行12300円)となる。

 以上のような税金や社会保障費が国民の収入に占める割合(国民負担率)は、96年度の見通し37.2%を2ポイント近く上回る39%程度に増加すると計算されている。

 そのほか、医療保険料の引き上げも深刻だ。

 中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険の保険料率は97年5月から8.6%(労使折半、現行8.2%)に上がる。

 更に保険医療費が大幅に引き上げされる見込みである。

 96年11月に国の医療保険審議会が出した答申によると、一般のサラリーマンなどが加入する健康保険組合などの本人負担(患者負担)が1割から2割に引き上げられる。また、薬剤一品、一日分につき15円の加算金も課せられる。3種類の薬を3日分投与されると、15円×3種類×3日分で135円の追加負担となる。

 高齢者医療では、外来の患者負担を月額1200円から一回500円(月4回まで)に変更。薬代も別途とられるため、月に二回以上通院する患者は負担が増える。

 こうした国民(患者)に大幅負担増を強いる、保険制度改正法案は通常国会に提出され審議されることになっている。

◆国民の暮らしを圧迫する1997年度予算案

項 目


負 担 増


現 状

税 金消費税
5%への税率アップで、


年間8万2000円の負担増
 
 所得税・住民税
特別減税の打ち切りで、


年間5万9900円の負担増
 
 固定資産税
都市部以外のほとんどの住宅地で数%の負担増
 
医療・福祉高齢者医療
外来受診1回当たり500円

1カ月につき5回目から無料
月額1020円
 医療保険・本人負担
組合健保など被用者保険2割1割
 医療保険・薬剤
1日1種類当たり15円の加算。

例えば3種類の薬剤を3日処方すれば135円
 
教 育国立大学入学料
98年4月の入学者から

27万5000円
27万円
 国立大学検定料
98年春から


3万3000円
3万1000円
夫婦子供2人の給与収入700万円の世帯




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